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スライム転生物語  作者: 黒頭白尾@書籍化作業中
第三部 ギルド編

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第十九章 連戦

「予選?」

「はい、そうですよ」


 オレは続けて試合の為、倉庫に戻らずミラに抱えられるようにして闘技場に留まっていた。


「午前中にやっているのは予選です。これまでの功績がある場合や明らかに強い参加者は午後の本選から参加するみたいです」


 どうりでゴブリンなんて雑魚が二回戦に出て来るわけだ。そもそもほとんど雑魚しかしないならそれも頷ける。


 考えてみれば倉庫にいるすべてのモンスターが戦いに出るとネイ達があそこで隠れていられるわけがなかった。運び出すときにモンスターが変死していたら流石に怪しまれるだろうし、何かが起きたと言っているようなもの。


 あの猪のモンスターは本選から参加と考えればずっと放置されていても何ら不思議はなかった。


「ゴラムは良く倒せたな」


 本選から参加のモンスターがどれだけ強いかはしらないが、あの傷でよく勝てたものだ。と、感心すらしてしまう。


「それで、後何回勝てば本選なんだ?」

「二回です。本選出場すれば賞金がでるので頑張ってくださいね。ただ無理だけはしないでください」

「了解、稼げるだけ稼いでくるさ」


 命の危険を冒してまで金を稼ぐつもりはない。適当なところで負けてしまうのもありだった。


「ギルドマスターの予測では昼の休憩時間に取引が行われるみたいです。それまでには救援部隊を送り込むらしいので出来る限り倉庫内で隠れていて欲しいそうです」

「もしあそこから逃げなくちゃならなくなったら?」


 あの倉庫では見つかったら袋の鼠。見つかってまであの場にいるのは下策だろう。


「緊急時にはオズさんの判断に任せるそうです。あくまで情報収集なので無理せずオズさんだけ退避することも構わないそうです」

「……余程の事がない限りあいつら連れて逃げると思うから報酬上乗せしてもらうように言っといてくれ」


 この言葉にミラが笑う。何がおかしいのか。


「いえ、オズさんならそう言うと思ってましたから」

「うるせえ。ミラだって同じ状況なら同じことするだろうが」


 そこまで話したところで対戦相手がやってきた。


「ってまたゴブリンかい」

「この辺りで一番捕まえやすいんですよ」


 そうは言うが、これなら一回戦のキマイらのほうが手応えがあった。こんなの体当たり一発で終わりだろうに。


「まあ、ちゃっちゃと終らせるか」


 互いに檻から出て試合開始が告げられる。


 策を練る必要もないのでオレは特に何も考えずに一直線にゴブリンに向かって体当たりをする。だが、ゴブリンはこの攻撃を地面に伏せることで回避したのだった。


「マジかよ」


 別にそれで勝敗が変わるわけがないが、この行動には少なくない驚きを与えられた。


 いくら適当に力を抜いていたからと言っても前のゴブリンは身動き一つさせずに息の根を止めることが出来たのにこいつはしっかりと躱したのだ。それも運ではなく狙って。


(面白いな)


 スライムでもオレみたいな異端の奴はいるし個体差があるのは当然。こいつはゴブリンの中でもやるやつなのだろう。


 それに今更気づいたが後ろの魔獣調教師があれこれ指示を出していた。もしかしたらその指示でオレが体当たりをするのがわかっていたのかもしれない。なにせこれまでの戦いは基本的に体当たりばっかりだったし。


「油断は禁物だな」


 自分では気付いていなかったが気を抜きすぎていたようだ。それを教えてくれたお礼も兼ねて少しばかり本気を出すことにしよう。


 オレは触手の一本伸ばすと拳の形を作る。そしてそのまま驚いた様子のゴブリン顔面に叩き込む。一度は何とか身を捻って躱したが、そのまま曲げて放った二撃目で顎をクリーンヒット。


 すぐさま追撃しようかと思ったが完全にのびているようなのでやめておいた。運のいい奴だ。


(あと一勝で本選か)


 その前にややこしい問題が起こらないことを願う限りだった。

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