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スライム転生物語  作者: 黒頭白尾@書籍化作業中
第三部 ギルド編

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第十二章 休息

 それからの三日間は順調に依頼をこなして、銀貨五枚近く稼ぐことに成功した。


 一人の冒険者が一度に受けられる依頼は三つまで、ミラとチャットを合わせると六つの依頼をオレ達は同時に受けることが出来たのだ。


 そのおかげかいちいち戻って依頼を報告するという手間が少なかったため、どんどん依頼をこなすことが出来たのだった。


 ちなみに現在、ミラとチャットに銀貨一枚ずつを渡して好きに買い物させている。ある程度の貯蓄は必要だが、だからと言って皆で稼いだ金の使い道を全部オレが決めるのも横暴だし。


 銀貨一枚とは渡し過ぎな気もしたが、自分達で働いて稼いだ金だ。リフレッシュする意味を込めて多少使ってもいいだろうと判断したのだ。


 二人が仲良く買い物に行っている間オレは宿で留守番である。今回は用事があったので付添は辞退させていただいた。


 オレの用事とは前に肉屋と約束したミスリルの精製のことだ。すっかり忘れていたが、渡すと約束してからもう何日も経過してしまっていた。


 そのことを肉屋に指摘されたオレは、急遽ミスリル精製に取り掛かった次第である。対価を支払わないと後が怖いし。


「それにしても難しいな」


 純ミスリル精製。これをスキルで覚えているし、使用可能なのは間違いないのだが中々うまくいかない。下手すればミスリル生成の時よりも難しくなっている気がする。


 純、と付くだけあってより価値が高いようだし、作り出す難易度も上がっているのだろうか。


 精製に取り掛かってから三時間、体内でミスリルが出来る気配はまだない。ほんの僅かずつ何かが集まって形を作ろうとしているのだが、そうなるにはまだまだ先は長そうだった。


「一つ聞きたいんだが、これはどれくらい作ればいいんだ?」


 このペースだと、サイズによっては数日どころか数週間は掛かりかねない。幸い、体内に作り出したミスリルはスキルを止めても消えてなくなることはないようなので保存しておくことは可能だ。そうでなければどれだけの時間身動きが取れなかったのだろうかと思うと恐ろしくなる。


 これではミスリルを売ってぼろ儲けとはいかない。こっちに力を入れるより依頼をこなした方が金も入るし、力も手に入る。断然、依頼の方が効率はいいだろう。


「前にオズ殿が作り出した程度で十分ですな」

(ってことはパチンコ玉くらいか)


 ただ、あの程度の大きさの物を作るのにどれだけの時間と体力を使ったか。今回は更に難易度が上がっているし、気が遠くなりそうだった。


「まあ、気長にお待ちしておりますよ」

「……了解」


 今回に限っては肉屋が言っていることは正論なので何も言い返せない。しかもこうして時間が掛かることも了承してもらったのでは、こちらは感謝するしかないだろう。


 なんとかランディの依頼を受けるまでには終わらせようと決めて、集中していると、


「そう言えば、チャット嬢とは仲直りは出来たのですかな?」


 肉屋が話しかけてきた。こいつ、早く出来なくてもいいのだろうか。


 まあ、話しかけられて無視する意味もないので答えはするが。


「表面上は一日で元に戻ったよ。ただ、あれは納得したわけじゃないだろうがな」


 空気が悪くなることを嫌ったのか、それとも決着を先延ばしにしたのかは知らないが今のチャットはもう怒っているようには見えない。


 けれど、絶対あれは覚えている。間違いなく内面ではついて来るための方法を考えているに違いない。


 勝手な憶測だが、外れている気はしなかった。


「まあ、それは置いておくにして」


 と、オレは少々強引に話を打ち切った。チャットがどうするかは悩んでも仕方ないし、その時になってから対応すればいい。オレの答えは安全を確保できるまで、と決まっているのだから。


「ギルドマスターから連絡が来ないよな。大会は明日だってのに」


 あれから三日、何回か依頼を受けたり報告したりでギルドに行ったのだが、その話が出ることはなかった。一体いつになったらそのスパイ活動が開始されるのやら。


「オズ殿の心配はもっともですが、それは考えても仕方ないでしょう。向こうの指示があるまで待機する以外はないのですから」

「まあ、そうなんだけどな」


 出来るなら事前に情報を聞いて準備とかしておきたかったのだが。


 そこで扉がノックされる。誰か来たようだ。


 慌てて檻の中に入ると、扉が開いた。


「って、ミラ達か」


 入ってきたのは買い物から帰ってきたミラ達だった。ただ、その後ろにもう一人いる。


「カーラが来たってことは、ようやくか?」


 このオレの言葉にカーラは頷く。ただその表情はかなり真剣だった。


「かなり厄介な状況になってね。詳しい話はギルドに来てからだ」

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