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スライム転生物語  作者: 黒頭白尾@書籍化作業中
第一部 転生編

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第三章 スライムの群れ

 亀のように進むスライムA(名前ないから勝手に命名)について行くことしばらく、オレは洞窟に辿り着く。そこには予想通りこいつの仲間であるスライム達がうじゃうじゃといた。


 正直見た目は気持ち悪いの一言。いや見た目はそこまで気持ち悪い訳ではないが、白く濁ったゼリーみたいな生物がこれでもかと洞窟内にいるさまは生理的嫌悪感をどうしようもなく引き起こすのだ。


 まあ、オレもそのゼリーと同じ存在なのだが、そこは見ないことにする。


 洞窟内にいるのはどいつもこいつも白い普通の奴だけ。パッと見ではオレみたいに色が違う奴も明らかに形が変わっている奴もいない。どうやらここは通常スライムの巣のようだ。


「なあ、これから何するんだ?」


 オレはスライムAに聞いてみた。


 連れてこられたはいいが洞窟内のスライムは特に何をするでもなく眠っているだけ。まさか、オレにもここで休めなんて言うのだろうか。


「モウスグ、カリ、ノ、ジカン」


 片言でわかりにくいが今こいつ狩りと言ったか。こんなのろまで知能も低そうな奴らに狩りなんて出来るのだろうか。


 まあ、スライムと言えどモンスターの一員だしできなくはないと信じよう。こいつらも出来ないことをしようとはしないはずだし……たぶん。


 スライムAがオレを置いて洞窟の中に入っていってしまったが、その後についてはいかなかった。未だ意識的には人間のオレにここで休むのはハードルが高すぎる。とりあえず入口から中の様子を観察することにした。


 そうして注意深く観察してみると、この洞窟のスライム達の色は白一色でも形にはわずかだが違いがあることに気付く。スライムAもそうだったが角張っていたり、三角形を彷彿させるようなほんの少しだけ頭頂部と他二箇所が尖っていたり、はては鏡餅のように僅かだが段々になっている奴もいた。


 どいつもあくまで極端に言えばだが。普通に見ている分にはプルプル揺れる体もあって中々見分けがつかない。


 とりあえず、このままでも暇なだけだし一番近くにいる少しだけ大きくて角ばってる奴に話しかけてみた。


「ちょっといいか?」

「アア?」


 相変わらずの明らかに知性が感じられない返答。どうやら多少形が違ってもこいつもスライムAと同じようだ。


 少なくともオレのように元人間だったかのような、人間臭さは感じられなかった。


「お前、ステータスとスキルを教えてくれない?」


 とりあえず同じスライムの物を確認してあのスキル、未熟な進化の可能性を得ているのはオレだけなのかを確認しときたかった。異世界から転生した恩恵だったら秘密にするべきだし、皆に備わっている物ならこれがなんなのか情報を得ておきたいからだ。


 そう思って問うてみたが、


「ス、ステータス? ナンダ、ソレ?」


 この反応からしてまったくわかってないらしい。どうやらこいつらにステータスを開くなんて考えすらないようだ。


 いや、もしかしたらこいつらにステータスがない可能性だってあるのか。とにかく確認してみよう。


「ああ、じゃあオレの言った通りに念じてみてくれ」

「ワカッタ」


 知能がないせいか素直にこちらの言う事を聞いてくれるので話がこじれないのは助かった。オレとしても何となくの感覚なので、うまく説明できなかったが何回かステータスと念じさせると、


「アー、デタゾ」


 ようやく成功した。どうやら知能の所為で出せるか出せないかの問題はあるが、どの魔物にもステータスは存在するらしい。


「本当か!? なんて書いてある?」


 のろのろと話される内容を聞いてオレは他の数匹にも同じようにしてみた。こいつだけが特別なんて可能性もなくはないからな。


 そうして十匹ほどから情報を得た結果、色んなことがわかった。


 まず、未熟な進化の可能性というスキルはどのスライムも生まれた時から習得しているようだった。オレだけではなかったのは残念だがこれならある程度の知識がある奴に出会った時に情報が仕入れられるだろう。


  一応、こいつらに聞いたが案の定知らないとのことだった。まあ、ステータスの事すら知らないのにこれを知っているわけないか。

 

 二つ目に形が違う奴はほとんど例外なくレベルが上がっているようだ。大体レベルは二から五と低いことに変わりはないが数値が高い奴ほど低い奴に比べて形が変わっている。


 このことからレベルが上がればさっきのオレみたいに種族的な進化はなくても外見に何らかの変化が現れる可能性が高そうだ。今後の参考にしよう。



 三つ目は少なくともこの群れの中にオレと同じような人間並みの知性を持っているやつはいないということ。恐らくこの感じだとスライムという種族そのものがあまり賢い種族ではないのだろう。所詮ザコ敵ということだ。


 そうこうしている内、何の合図もないのに急にスライム達が洞窟の外へと移動を開始する。どいつもこいつも例外なく、だ。いったいどこに行くというのだろうか。


 そこで運よく先程会ったスライムAを見つけられたので近寄って話を聞いてみることにした。


「なあ、どこに行くんだ?」

「イマカラ、カリ、ノ、ジカン」


 そういやさっきそんな事を言ってたっけ。しかし、それにしてもこれだけの集団で狩りに行くとは。洞窟に残っている奴は一匹たりともいない。普通、オスが狩りに出てメスが巣穴で子供を育てたりするんじゃないだろうか、こういう場合は。


 いや、スライムにオスメスやら狩りの常識を求めるのがまず間違いなのか。


 オレは少しの間迷ったが、狩りとやらに付いていくことにした。正直、何が起こるかわからないしその言葉にも恐怖を感じないでもないが、ここでじっとしていたって何も変わらない。


 時間制限があることだし少しぐらいの危険は覚悟しなければ。それに一人で行動するより、群れの中に入れば何かあった時に選択肢が広がるし。


 とりあえず他の奴よりは親しいスライムAにオレは付いて行くことにした。

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