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スライム転生物語  作者: 黒頭白尾@書籍化作業中
第二部 妖精編

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第三章 消えた肉屋

 眩い光に埋め尽くされた視界が元に戻るのは意外にも早かった。


 反射的に目を閉じてしまった後に自ら視界を消すという愚かさに内心で舌打ちをして、すぐに目を開いた時には先程までの光が嘘のように消えていたからだ。どうやら光に紛れて攻撃をしようとしたわけではなかったらしい。


(だったら今のはなんだったんだ?)


 刹那の時間だけ目潰しする理由として考えられるのは隙を作るか逃亡するためくらいしか思い付かないのだが、変わらぬ姿で倒れる妖精達を見る限り逃げる方はない。


 だったらチャットだけを今の一瞬で魔法か何かで強奪したのかと思って慌てて振り返ってみると変わらぬ姿で怯えているのでそれもないようだ。


「ミラも大丈夫か?」


 一先ず考えるのは置いておき、ミラの傍まで駆け寄る。チャットも不安そうにミラの周りを飛んでいた。


「ちょっと体が痺れるくらいですし、大丈夫ですよ」


 一部分を強調した言い方でその言葉の本当の意味は嫌と言うほどわかる。


「う、悪かったって」


 まさかあそこまで強力になっているとは思わなかったのだ。

 

 結果として敵を殺すことなく無力化できたのだから最善の策だったと思うが、それでもわざとではないとは言え、攻撃に巻き込んだことには変わりがないので何も言えない。オレだって逆の立場なら理解は出来るが不満はあるだろうし。


 最初は顔を顰めていたミラだったがやがて堪えきれずにぷっと吹き出すと笑い出す。


「冗談なんだから本気で謝らないでください。ああでもしなきゃ妖精達を殺さなきゃいけなかったかもしれないのは分かってますから。もちろん今度からは気を付けてくださいね」

「了解です」


 このままゆっくりしていたいがそうも言っていられないので、すぐに倒れている妖精達に近寄ってみる。もちろん警戒は最大限して。


 このまま逃げてしまいたいのは山々だが、チャットが何故追われているのかを確かめない事にはずっと追われるなんて展開もあり得る。最悪は南の街まで逃げてそこでチャットを保護してもらえばいいのだがあくまでそれは最後の手段だ。


 それに今チャットを見捨てたとしても既にこうして敵対してしまった以上向こう側からしたら既に狙う対象になっているかもしれないし、情報を得ておいて損はない。


 とりあえずまたいきなり攻撃されても敵わないので広範囲に麻痺吐きしておき、体の自由を奪うだけはしておいて近くの一体に話しかけてみた。チャットという事例もあるし、話が出来るはずだ。


「お前達は何でチャットを狙ってるんだ?」

「……」


 その後もいくつか質問したが返ってくるのは無言のみ。言葉が通じてないのかと思ってミラにも話しかけてもらったがこちらも同じ反応だった。


「これじゃ埒が明かないな」


 そうぼやくものの何か有効な手段があるわけではない。


「肉屋、お前は何かわからないか?」


 困ったときの肉屋なので、相変わらず透明なままでどこにいるかわからない肉屋に話しかける。


 だが、今までは必ずと言っていいほど返ってきた憎たらしい言葉が聞こえてこなかった。


「おい、肉屋?」

「肉屋さん?」


 ミラも不思議がって呼びかけるが返答はなし。あの肉屋がこの対価を得られる状況でふざけて身を隠すなんてことをするとは思えない。となると、肉屋はこの場にいないということだ。


「まさかあいつ、さっきの光でやられたのか?」

「そんな!」


 思わずつぶやいた言葉にミラが驚きの声を上げる。ミラは少なからず肉屋にも恩を感じていたし、そうじゃなくても旅の仲間が死んだなんて思いたくないだろう。


 もしかしてあの光は肉屋のようなアンデット系の奴を滅ぼす聖なる光みたいなものだったのだろうか。だとすればオレやミラにダメージがないのも当然だ。


(……いや、それはありえない)


 まず肉屋は戦闘に参加してなかったし、戦いが始まってからは身を隠していたから妖精達が肉屋のことを認識していたとは思えない。例えなにかスキルでその存在を察知していたとしてもわざわざあいつを狙って攻撃するだろうか。あれが最後の抵抗として攻撃なら普通、実際に戦っていたオレやミラに向かって放つのが妥当のはず。


 わざわざ隠れていた奴に向かって攻撃してもオレ達が残ってしまっては意味がない。


 それに肉屋は商人である限りあらゆる攻撃が効かないと言っていたではないか。それが本当なら聖なる光であろうと無効化されてしかるべきだ。相変わらずオレから肉を徴収する腐れドケチ商人なのだからそのスキルがなくなったとも思えないし。


 だとするならば、


「攫われた、か?」


 死亡説でもなくこの場にいない理由、あり得るとすればこれぐらいしか思いつかない。攫われたとするならばあの光はオレ達の眼を潰すという役割をしっかり果たしているし辻褄が合っている。


 だがそうなると、何故肉屋をさらう必要があるのかと言う新たな疑問が出来てしまうのだが。それにあの肉屋がそうそう簡単に攫われるとも思えないし。


「あーわからん!」


 いくら頭を捻っても一向に答えが出ないのでもう考えるのは止めた。情報が足りなさ過ぎて結論が出ないのならばまずは情報収集する、それだけだ。


 とにかく今この場に肉屋はいない。攫われた可能性があるのなら助けに行かないわけにはいかないだろう。


 あいつの力を借りなければならないことは今後も増えてきそうだし、何よりまだグーラの分の肉をあいつに貸した状態で逃げられてなるものか。

 となると、まずやることはチャットから情報を得ることだ。ミラに頼んで何かわかることはないか聞いてもらうと、


「助けて、だそうです」

「……はあ」


 自然と大きな溜め息が出た。


 つい数日前に厄介事に巻き込まれたかと思ったら、またこれだ。しかも今回は仲間が人質になっている可能性まである更にややこしい状況。


 ここまで来るとオレを転生させたのが神様なら、そいつは相当オレの事を苛めて楽しいらしい。


 そんなのに屈してなるものか。


「わかったけど、とりあえず話を聞いてからな」

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