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スライム転生物語  作者: 黒頭白尾@書籍化作業中
第二部 妖精編

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第一章 夜の合間

 オレは火を焚いて野宿の準備をした後、夜の空を一人で見上げていた。すぐ傍でミラは眠っており、要するに今は見張りをしているのだ。


 明日の昼には南の街に着くだろうから、しばらくの間だが野宿はこれで終わりになるはず。


「本当に、よく一人で旅なんてできるよ」


 この世界ではもしかしたらそれは特別なことではないのかもしれないし、もしかしたらもっと若い子供でも当然のようにしているのかもしれない。


 けど、このあどけない寝顔を見てしまうとどうしてもミラがそういう戦いという世界にいるというのが違和感を覚えざるを得なかった。こんなスライムなんかが考えるのはおこがましいのかもしれないが、彼女が戦わないでいられるようにいてくれたらと思わずにはいられない。


「何を考えてるんだか」


 ミラはミラ自身が望んで旅をしている。なのに、それを否定するかのようなことを考えるのは優しさなんかじゃない。これは単なるエゴ。ミラが傷つくのを見たくない、そういう自分自身のエゴを正当化しているに過ぎない。


「名付きになっても性格は変わらないってか」


 触手を操作して手を作り出す。グーラとの戦闘を経たおかげか、ついにここまでコントロールできるようになったのだ。


 その作り出した手で寝ているミラの頭をゆっくり優しく撫でてみる。加減が若干難しかったが、手を動かす感覚は忘れてないのですぐに慣れた。


「んー」


 ミラは気持ちよさそうな顔していた。こうしていると父と娘のようで何だか変な感じだ。


(それにしてもオレとミラはどういう関係なんだろうな?)


 肉屋とは商人と客としての関係が出来上がっているし、今後もそれが変わることはないだろう。今はグーラの肉などの担保があるから裏切る心配はないが、それがなくなればどうなるかはわからない。


 それに対してミラとの関係は、はっきりしていないのが現状だ。一応オレが命の恩人ではあるが、それだけで済む間柄でもない。共に死線を潜り抜けた訳だし仲間というべきなのだろうか。ただ、それも何故かしっくりこない。


 こうして旅をして一緒に過ごす内にお互いのこともなんとなくわかってきたし、最初のほうにあった余所余所しさはほとんど消えたといっていい。現に今日だってミラがムキになったのはある面からみれば、それだけ心を許してくれているということでもある。


 今後、彼女とどういう風になっていくのだろうか。


「って、何バカなことを考えてるんだか」


 ミラとは仲間であって、それ以上でもそれ以下でもない。それがすべてだ。


 それ以上考えるのをオレは意図的に放棄して見張りを続けるのだった。

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