第二十九章 白の世界
気が付くと、オレは何もない場所にいた。
辺り一面真っ白で他には何もない。空も大地も曇り一つない白であり、それだけで構成された世界だった。
そもそも地面というものがあるのかもわからない。なにせすべてが白いのが。一応自分が立っているのだからあるはずなのだが。
「ここは……天国か? それとも地獄か?」
少なくとも元の世界でも異世界でもない。こんな場所見たこともないし漂う空気が明らかに違う。
また異世界に転生かと思ったが体はスライムのままだし、色は銀色。ミスリルだ。まだスライムのままで生きているのだろうか。
「いやーそれはないだろ」
全身から限界を超えた熱を放出したのだ。スライムはどうだか知らないが人間であれば何割かそうなっただけで助からないと言うし、まず助かることはないだろう。
だとすればここは一体どこなのだろう。まさか本当に天国とかなのだろうか。
そう思っていると、後ろから音がする。何かの金属が落ちる音だ。
振り返ってみるとそこには一振りの剣が落ちていた。確かにさっきまでは何もなかったはずなのに突然現れた剣、はっきり言って不気味だ。
空を見上げても何もないとなればいったいどこから降って来たのやら。そもそも降って来たのかすら不明なのだが。
このまま、ここにいても何も起きそうにないのでとりあえず剣に近寄ってみる。元より死んだ身だ、何も怖がることはない。
鞘もなく剥き出しで置かれた大振りの剣には何か文字が書かれていた。不思議なことにそれは見たこともない文字だと言うのに意味が解る。まるで頭の中に流れ組んでくるかのようだった。
そこに書かれていたのは、
「オ、ズ、ワ……ル、ド。オズワルド?」
そう呟いた瞬間、剣はまばゆい光を放ち始める。
「な、なんなんだ!?」
そのまま光りが強くなり目を開けていられなくなる。そうして眩い光がオレを飲み込んでいった。




