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スライム転生物語  作者: 黒頭白尾@書籍化作業中
第一部 転生編

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第一章 これからどう生きよう

 結論から言って夢じゃなかった。まぎれもない現実だ。

 

 オレはどうやらこのゼリーのような液状の生物に転生したらしかった。いや、マジで。


 どういう体の構造なのか皆目見当もつかなかったが歩こうと意識すれば歩ける。厳密には足ないし、歩くじゃなく跳ねるだが。


 体の形はほぼ完全な球体状のようで色は薄く濁った白、黒い点のような二つの目と切れ目が入っただけのような口があり、それにわかりづらいが匂いも感知できるし鼻もあるようだ。


 よく見てみると、口と目の中間あたりに針の穴より小さな穴があるように見えなくもない。肉眼で捉えきれるギリギリの大きさだった。


 あれから記憶を辿ってみたもののやはり事故で意識を失ってから記憶はない。こういうのによくある神様が現れて転生することを告げるとかもなかったし、寝て起きたらこうなっていたって感じだ。


 しかしそれにしてもまさか物語の中でしか起こりえないと思っていた転生なんてものが自分の身に降りかかろうとは。人生、何が起こるかわからないものである。


 なんにせよ、あのまま死ぬよりは生きているだけでマシなので文句はない……いや、やっぱり文句はある。


「何でよりによってこんなんかな」


 こういう時の転生先って人間で凄腕の人に拾われて幼い頃からの特訓でスーパーマン的な感じになるのが普通じゃないのか。少なくともこんな明らかに弱そうな化け物になるなんて聞いたことない。


 他人の命を助けた褒美ならもう少しましな存在でも良かったんじゃないだろうかなんて神様に恨みを持つ。神様が転生させてくれたかもわからないんだけどな。


「はあ、これからどうしよう」


 ちなみに今オレは独り言を言っているつもりだけど、実際に声は出ていない。なんか鳴き声っぽい物が出るだけだ。正直、だからどうしたって感じだ。


 時間を掛けて周囲の様子を探ってみたものの他に何かがいる気配はない。人どころからオレと同じような奴もいない。いや、いたらいたで困るのだけど。


 今、わかっていることは主に二つ。オレがこんな変な生物がいる元いた所とは違う世界に転生したことと、


「ステータスねえ」


 そんなゲームの中でしかないと思っていたものが表示される世界に来てしまったという事だけだ。ステータスと言ってもHPやMPがあるわけじゃない。


 種族とレベルと名前にスキルとやらが乗っているだけだ。これは何か出ろと念じたら勝手に出てきた。自分の意思で出し入れ自由らしく見えるものの触れはしない。まさに、ステータスウィンドウそのものだ。


 ちなみにオレの現在の表示は


『名前:なし

種族:スライム(レベル1)

スキル:「体当たり」「未熟な進化の可能性」』


 以上だ。


 どうやらこのゼリー状の生物の種族はスライムというらしい。確かに理科の実験か何かで作った奴と感触が酷似している気がするし妥当な名前だろう。


 レベルがあるのは驚きだが一じゃたかが知れているし、普通に敵として登場する時はこんな雑魚キャラ、AとかBとかで表示されるだろうから名前なんてあるわけがないのだ。想定内の表示である。


 体当たりもなんとなくわかる。唯一の攻撃方法なんだろう。


 ただ、最後の進化の可能性とやらは皆目見当もつかなかった。一体どんな効果があるのか、使おうと念じても何も起きない。例に体当たりと念じてみると体が勝手に動いて目標にした木に体当たりしたし、使い方に問題があるようではないらしい。


 だとすれば使用するのに何か条件でもあるのだろうか。しばらくの悪戦苦闘と試行錯誤の末、わからないので後回しに決定。


 そうこうしているうちに結構な時間も過ぎていて腹が減ってきた。どうやらこんなゼリー状の生物改めスライムでも腹は減るらしい。


 いきなりスライムになったわけで、当然食料とか都合のいいアイテムなんて持ってない。つまり、食い物は独力で得なければならないようだ。


 こんな見るからに非力そうな奴に狩れる獲物なんているのだろうか。


 最初から詰んでいる気がしてならない。どう考えてもこのままのたれ死ぬ以外の未来がイメージできないのだが。


「はあ」

 

 いくら恨み言を言ったところで腹が膨れるわけでもないので早々に愚痴は止めにしてオレは食料を探すことにした。


 いくらスライムに転生したからってあきらめたくない。どうせ死んでいた身だ、こうして生きられるだけマシだし。水さえあれば生きられるなんてこともあるかもしれない。なにせスライムだし。

 

 そこでオレは閃いた。


(こいつって肉食? 草食?)


 獲物を狩らなきゃいけないとばかりに思い込んでいたが、そんなことはないのだ。草食ならその辺の草を食ってればいい。それならスライムでも充分生きていけるはずだ。


 というわけでオレは近くにあった適当な草を口で引っこ抜く。そのまま食べてもよかったのだが、何となく一度、間をあけて覚悟を決めてから食ってみた。


 そしてその味は、


「マズ!」


 苦い。口がヒリヒリするし正直とてつもなく不味い。だがギリギリ食える。本当にギリだが。


 他に食うものがあるわけでもないのでオレはそれをむしゃむしゃと食った。腹が減ったままでは戦は出来ない。まあ、スライムに戦なんてものがあるのか甚だ疑問だが。


 そうして腹いっぱいになるまで頑張って草を食った。途中何度か吐きそうになったが我慢した。スライムが吐く物はなんなのかなんて検証したくもないしな。


 腹いっぱいになったけど体調はかなり悪くなった。なんだか意識も朦朧としてくる。

 てか、考えなしにバクバク食っていたけど毒がある危険性を失念していた。まあ、食ってしまった時点で手遅れだが。


 体が動かない。どうやら本格的にヤバいらしい。


(もう、ダメかも)


 オレはそのまま、またしても意識を失った。

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