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スライム転生物語  作者: 黒頭白尾@書籍化作業中
第一部 転生編

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第十一章 スライム虐殺劇

 意外にもあれだけ動揺していたのにもかかわらず、道を覚えているもので簡単に巣穴に到着してしまった。もちろん草むらの陰から様子を窺うようにしている。さすがにばれてなくても堂々と行くのは躊躇われたし。

 

 相変わらずほとんどのスライムが狩りの時間でない間は巣穴で眠っているようだった。今も起きて動いている奴は数えるほどしかいない。

 

 やることは決まっている、無駄に長引かせても覚悟が鈍るだけだ。

 

 オレは巣穴の入り口まで行くと、洞窟内に向かってゴブリンから簒奪したスキルを使ってみる。


「がああああああああ!」


 あのスキルを使うことを意識しながら全力で吠えた。使ったのはもちろん、小鬼の威嚇の鳴き声だ。


 威嚇、つまりこれから襲うと言う意思表示だ。もちろん奇襲せずにこんなことしたのには理由はある。


 それはこのスキルの効果を試すためだ。使ってみないといまいち効果の程がわからないスキルは結構あるし、そうじゃなくても数をこなさないとマスター出来ないようなスキルもある。


 スライムなんて敵ではないし、それらを出来る限り試してみることにしたのだ。


 威嚇の効果かスライム達は目を覚ましたものの襲ってくる奴はいなかった。よく見れば目を回している奴が結構な数にのぼる。どうやらこのスキルは成功すると相手を混乱させるようだ。


 その他にも試してみたことがあるので容赦なくやりたい放題で巣穴のスライムを蹂躙していく。


 結果、


『レベルが14に上がりました

規定レベルに達したため「微麻痺生成」「微麻痺付与」を獲得しました

また、この種族におけるレベル獲得スキルは完了しました

条件を満たしたため「液状体操作」「刺突」「投擲」「鞭打ち」「麻痺毒吐き」「スライムスレイヤー」「同族キラー」を獲得しました

上位スキル「自己液状体操作」「麻痺毒吐き」「スライムスレイヤー」「同族キラー」を獲得したため下位スキル「簡易自己液状体操作」「毒吐き」「麻痺吐き」「スライムキラー」「同族殺し」は自動的に上書きされます』


 となり、


『名前:なし

種族:パラライズスライム(レベル14)

スキル:「麻痺毒吐き」「微毒耐性」「言語・スライム族」「未熟な進化の可能性」「共食い」「同族喰らい」「微毒生成」「微毒付与」「スライムスレイヤー」「同族キラー」「跳躍・弱」「突進」「肥大」「収縮」「未熟者(ビギナー)鑑定眼(アナライズ)」「攻撃上昇・極小」「防御上昇・極小」「速度上昇・極小」「魔力上昇・極小」「体力上昇・極小」「幸運上昇・極小」「ゴブリン殺し」「プレスアタック」「言語・ゴブリン族」「棍棒の扱い方」「小鬼の威嚇の鳴き声」「簡易液状化」「自己液状体操作」「物理軽減・極小」「微麻痺耐性」「矢を見切る(まなこ)」「逃亡補助」「孤軍奮闘」「虐げられし者」「微麻痺生成」「微麻痺付与」「刺突」「投擲」「鞭打ち」』


 となった。

 

 ザコとの戦闘シーンなんて無駄以外の何物でもない、全カットだ。

 

 刺突、投擲、鞭打ちに関しては触手での攻撃方法である。どれも便利だが中でも一番使い勝手が良かったのが刺突だ。

 

 液状体操作で先を尖らせればスライム程度の相手なら簡単に貫けるし、丸くすれば相手を殺さないようにも利用できる。しかも先端から麻痺や毒を発生させられるので、相手の体内に直接毒を流し込んだりすることも可能なのだ。

 

 これで回復系の何かを体から精製できるようになれば大変便利なので、早く覚えたいものである。


 後、なんとか殺し系のスキルの能力も判明した。その名の通り、指定された種族に与えるダメージが多くなるのだ。明らかに前よりスライム達への攻撃が効果的になっている。


 獲得方法もこの分ならどれだけある一定数の種族を倒せばその効果がアップしていくってところだろう。


 これは逆に言えば相手がスライムキラーとかを持っていた時はかなりの脅威になるということだ。覚えておこう。


 さて、次にやることは進化するために模索することなのだが、


「……ワンパターン化してきたな」


 なんかこう、せっかくスライムとは言え、異世界に転生したっていうのにイベント事が少なすぎやしないだろうか。仲間のスライムに会ったり、人を助けたりとかそれっぽいフラグは立てているにもかかわらず、だ。


 そんなゲームのように簡単に進まないのはわかってはいるが、もっとこう革新的な出来事が起きてほしいものだ。


(まあ、といっても転生して三日も経ってないんだもんな)


 そう考えてみると高望みなのだろうか。地道にコツコツが一番の近道、そう思って頑張ろう。


 巣穴から外に出てみると、いつの間にか雨が降り始めていた。結構強くて木々が茂っている森の中でも濡れるくらいだ。


 霧も出てきているし、ただでさえ見通しが悪い森が余計にその厄介な特性を増していた。


「今、出るのは危なそうだな」


 見通しが悪いということはそれだけ奇襲を受ける危険性も高くなる。こっちも奇襲しやすくなると思いがちだが、生憎感覚などは前世の人間の頃と変わりない。


 つまり、よくある気配察知とか出来ないし、視界が潰されればほとんど周りの事なんてわからないのが現状である。


 それにスライムが温度の変化に強いのかもかなり疑問だ。よくあるパターンだと炎であったり熱に弱かったりするが、水に濡れたり冷やされたらどうなるのかは想像もできない。


 なので、例に触手を伸ばして雨にしばらく濡らしてみる。水に濡れる分には問題はなさそうだ。ただ、段々と冷えが体の方にまで侵食してくるのがわかる。それと同時に体中から力が抜ける感覚のような、動く気力がわかなくなってきた。


(やめといた方がいな)


 液状であるせいか、スライムはやはり熱の変化には弱いらしい。そうじゃなきゃわざわざ巣穴に籠ってないか。


 休んでいる時に雨に濡れないように巣穴を作ったと考えれば、あいつらみたいな仲間意識もあまりなさそうで人を襲う事しか考えてないようなモンスターがここにいたのも納得できる。


 もちろん弱った状態で散策なんて怖い真似はオレは絶対御免なので、先人達の知恵に習ってここで休むことを決定。その先人達を今さっきここで惨殺したことなんて記憶の遥か彼方へ送っておいた。


 睡眠は充分にとれているから寝るのももったいない、という訳でオレは獲得していても未だに使いこなせないスキルを鍛えることにした。


 簡単に言えば触手のコントロールだ。ここでの戦いで前より多少変化に幅が出来たが未だに太くしたり伸ばしたりが限界で、自分の思った通りの形に出来やしない。手の形を作るなんて遥か先のようだ。


 触手を操るのも慣れが必要みたいだし、雨が上がるまでの間それを徹底的に鍛えることにしよう。


 そう思ったのだが結局雨は夜になっても止まず、一晩を巣穴で過ごすことを余儀なくされることになるのだった。

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