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スライム転生物語  作者: 黒頭白尾@書籍化作業中
第一部 転生編

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第十章 夜は明ける

 目が覚めて思ったことは恥ずかしいという一択だった。

 

 あの後、散々涙も流せず泣き続けたオレは疲労もあってそのまま眠ってしまったようだ。太陽が昇り始めていることから一晩ここで寝過ごしていたらしい。

 

 それにしても大の大人が自分の境遇を嘆いて、挙句の果てには泣きわめくなんて情けないにも程がある。人生の汚点がまた一つ出来てしまったようだ。


 ただ、散々泣いたせいか今はスッキリとしていた。泣いても喚いてもしょうがない、それで何かが変わることなんてそうはないのだ。


 ブラック企業で散々社畜をやらされていたせいか、気を取り直すことだけは取り柄である。てか、そうじゃなきゃやってられなかった。引きずってウダウダしている奴ほど首を吊るか、電車に飛び込むかの二択を大抵選択するものだし。


 大人になるってことはそういう感情を後回しにすることでもある。純真じゃいられない代わりに理不尽にも耐性ができるようにする、それがある意味での成長なのだとオレは思う。


 オレもいい大人だ、それぐらいできないでどうするって話だ。


 それに、冷静に考えてみればスキルで人の言葉を話せるようになるかもしれないし、オレと同じように人と争う事を嫌うモンスターだっていないとも限らない。


 そうじゃなくてもこの世界にはオレの知らない別の可能性だってあるかもしれないのだ。

 

 都合のいい考えからかも知れないが、所詮オレが知っているこの世界のことなどほんの僅かで、すべて正しいなんて決まっていない。ここで絶望して立ち止まっていてそのもしかしたらの可能性を潰えるようにしてしまったらバカ以外何物でもないではないか。


 結局のところオレは死にたくない、生きていたい。だったら戦わないわけにはいかないのだから。


「さて、泣き言はここまでだ!」


 頬を手で叩いて気合を入れることは出来なかったが、気持ちは切り替わった。やるべきことをやる、それが最善の手のはずだ。


 とりあえず、色々あった所為で忘れていたが進化できるはずだ。ネオスライムで得られるものは全部得ているはずだし、すぐに取り掛かることにしよう。


『時間制限スキル「未熟な進化の可能性」が発動しました

パラライズスライムへの進化許可を確認しました

これより進化を開始します……

進化に伴い新しいスキルを獲得しました

スキル――「麻痺吐き」「微麻痺耐性」を獲得しました

条件を満たしたため「矢を見切る(まなこ)」「逃亡補助」「孤軍奮闘」「虐げられし者」を獲得しました』


 進化完了、これで進化も三回目となった。


 パラライズスライムになったから体のサイズはスライム時の大きさに戻っている。もちろん肥大化は出来るので大きくなろうとすれば可能だ。なので、そのことに関しては問題ない。


 力の方に関してもどうやら今まで得た力はそのままになっているようで力が減衰していることもない。むしろ、パラライズスライムに進化した分か力が漲ってくるぐらいだった。


 これなら種族的に弱い奴に進化するのも恐くない。レベルを上げてスキルを覚えたらどんどん次の種族に進化できるな。


 スキルに関しては毒吐きと同じように麻痺効果のある液体を吐けるようになったこと以外に目立った変化はない。まあ、矢を見切る眼とかはそういう状況にならないと効果を発揮しないのだろう。孤軍奮闘も何となく想像はつく。


 ただ、それにしても虐げられし者ってなんなのだ。効果もわからないこともだが、自覚はしているがこうもスキルで客観的に示されるとなんか、こう、辛い。何で気を取り直して進化したのに、こんな追い討ちをかけられなきゃならないのだろうか。


「辛いわー」


 と、冗談にできるくらいメンタルは回復したのでいい傾向だ。


 さて、ここからの行動は当然レベル上げだ。


 しかし、そこで問題が一つ。一晩ここで無防備にいたのに襲われなかったのは幸いだった。だが、逆に言えばそれだけ周りに敵がいないという事の証拠にならないだろうか。


 バカな自分を反省するのは当然のこととしても、そうなったら非常に困る。同じモンスターだから襲わなかったという説に期待したいところだが、その期待が外れた時どうするか。


 今、確実に敵であり、なおかつオレが倒せる相手。出来ればレベルが良く上がるのが好ましい。


 さすがにこんな望み過ぎな条件に合う相手なんていないだろうが、少なくとも前者の条件に近いものはないだろうか。


「……って、いるじゃん」


 よくよく考えればすべての条件に合う相手がいた。


 それは巣窟にいるスライム達だ。


 あいつらならオレが負けることがないのは確実だし、一体から得られる力はゴブリンより劣っても数でそれはカバーできるはず。


 そして、まぎれもない敵だ。仮に向こうが、オレが裏切ったことを知らずにいたとしても少なくともオレはああやって敵対行動をしたし、そのつもりだ。

 

 今更、味方面なんて出来ないし、敵に容赦するのはオレの主義じゃない。


「……やりますか」


 いつ時間切れがくるかわからないから躊躇している余裕ない。今にして思えば、これは実にいい言い訳だ。大体の行動をこれで誤魔化すことが出来る。


 また、色々耐えきれなくなって泣き叫ぶ時がくるかもしれないがその時はその時だ。限界まではとりあえず動く。


 嘆いて何も変わらないのは元の世界も今も変わらないようだしな。

 村を出てからだいぶでたらめに進んでしまったからまずは周りを観察しながら進み、見知った場所に戻れるようにする。


 そう決めたオレはまた来た道を辿って、巣穴を目指していった。

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