表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔女の店  作者: サエナギ
PR
7/10

7


 机に積み上げた果樹の説明書。3冊全てに軽く目を通し、私はある結論に至った。

 ほぼ、同じ。今、全てを読み込む必要は無し。

 どうも、この世界の植物。今のところ言い切れるのは果物だけではあるが、同じなのである。今まで見知った果物と見た目、味ともに。書いてあることを流し見た限りではあるが、違いが見つけられなかった。中にはなんじゃこりゃな果物も記載されてはいたが、今のところそれを使う予定はない。

 それに、食堂で食べた食事も馴染みあるものであった。使われていた食材も疑問をもつものは何も入っていなかった。食材店であっても見慣れないものはそうそうなかった。このことから、おそらく野菜の説明書に関しても今は読み込む必要はないだろう。  

 けっして、本棚一列を野菜の文字を背負った本が占拠しているからと言うわけではない。国語辞典サイズのものが10冊、並んでいるのから目をそらしたわけではない。


「畑見に行こ」


 説明書を本棚に戻しさっさと階段を下りる。さっきみた水やりの様子だともう終わってそうな気がするし。それに、さっき見た畑の様子がちょっとおかしかった。とりあえず無視してみたけど、早めに確認したほうがダメージ少なそうな気もする。

 扉を開ければ、出かけた時よりも少し冷たくなった風が頬を撫でる。空を見てみれば太陽の位置が少し変わっていた。思ったより説明書で時間を使っていたらしい。外に音がない分、時間の経つのがわかりにくい気がする。前の世界は音が溢れていた。窓の外からきこえる子供の声、漏れ聞こえるテレビの音。道路を走る車の音。時間を感じる音に溢れていた。

 ここには、それらがない。早めにこの時間感覚になれないと日々の生活にも支障をきたしそうだ。


「体内時計の正常化が最優先だなぁ。あとは・・・・・・」


 ガンッという音と足先に感じた衝撃で、畑に着いたことに気づく。幸い靴のおかげで痛みはなかったが、どうも考えに没頭しすぎて周りが見えてなかった。

 時間感覚に関してはゆっくり修正するしかない。今は、目の前の畑を優先しよう。

 昨日よりも更に畑らしく姿を変えた畑にもはやため息も出ない。どうやら、テラスから見えたものは錯覚ではなかったようだ。

 いま、私の目の前には畑がある。昨日耕し、種を蒔いた畑が。青々とした葉を茂らせるという異常成長を見せつけるようにそこにある。陽の光に、葉についた水滴が光っている姿はなんとも綺麗だ。

 だが、あまりにも異常である。中には実をつけているものすら見受けられる。


「あれ、苺かなー」


 確認のため近づいてみると、やはり苺であった。しかし、私の知っている苺とは少し様子が違う。

 以前いちご狩りに行ったことがあるが、そこに実っていたのはサイズの違いはあれど形は似たようなものしかなっていなかった。

 いま、目の前にある苺。種からここまで育ったことも実っている数も少し異常だが、どう見ても数種入り乱れてなっている気がする。これが、複数の株に分かれていたなら種が数種類だったのだろうと納得できる。しかし、1株に数種類は勘弁して欲しい。なんせ、果物に限らず、野菜も1つの種類に様々な品種があるのだ。もしかすると、トマトなんかも似たような感じに実るきがする。なんか、疲れてきた。

 少しばかり現実から目をそらしたくて、視線を背後に向ける。

 フラワーガーデンがあった。立派な薔薇のアーチ。テーブルを囲むように咲き乱れる花。ほとんどが見たことない花ばかり、全て満開だ。

 一晩で満開。

 花と言うのは、芽が出て育ち、蕾から花開くまでのこの過程も育てることの楽しみだと思う。少しずつゆるんでいく花弁も乙女ゴコロをくすぐるものだろう。

 こう、なんというか。この世界の植物は、慎みを持ったほうがいい気がする。あと自重という言葉を教えたい。

 

「攻撃力が半端ない。精神面への」

 

 まぁ、ここまで言っときながらなんだが。

 苺は収穫した。手間がかからないならいい、と自分を納得させた。

 それに、美味しそうだったんで。後で苺タルトでも作ります。ジャムも作ろう。幸いなことに大きなボウルからあふれそうな量が収穫できている。品種でわける必要はあるけれど、どれも完璧に熟している。

 夢だったんですよね、フラワーガーデン的な所で優雅にお茶とかしてみるの。絵的に黒髪平凡顔の私がそれをしてるのは微妙ですが、ここには私しかいませんので気にしません。

 それに倉庫の確認もしてみたら、いろんな品種のオレンジやらりんご、ブドウにレモン。ほかにも山ほどの旬を無視した果物がしまわれてました。材料には事欠きません。ドライフルーツなんかも作ってみたい。

 

 「お腹すいた」


 そういえば、お昼ご飯はまだでした。

 まずはこの空腹を満たしましょう。そのあとはレッツお菓子作りです。

 自動水やりのおかげで精神は削られましたが時間は余ってます。有用につかわなくては、やりきれません。

 


 ちなみに、ボウルは自動で飛んできました。入れ物欲しいという私の心の声に精霊が応えたようです。

 やめてください。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ