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威力偵察 1-2
包囲状態で無為にしとれば手も無く殲滅される、されたな。
「当然だろ」
「それは」
生き延びる、努力が肝要だ。
最後まで、あがき続ける、意地の悪さがな。
「でも」
「逃げるんだよ」
え。
ぽかんと、虚を突かれ、口をあけて。
「でも訓練で」
「禁じとらん」
囲まれた、危険だ、ムリだ、それが判るならせめて、囲みから脱するくらいの根性がなくてはな。
「軍事にいう、機動の原則だ」
「機動の、原則」
戦闘力の柔軟な適用を通じて、敵を不利な地点に位置させる。
自身が不利位置であれば、それを覆すべく。
「わしらの仕事は、確かに、戦う事ではない、ないが、一度、戦う事になったら、手も、気も抜いてはいかん、いいか」
抜き身の刀身の視線で、師匠。
「戦いというのは、相手を首にする事じゃ」
「首に、する」
「息の根を止めて、その首を落とすことじゃよ」
手刀で喉元を薙いだ。
「いつでもそうする、される、覚悟、でだな」