12/16
威力偵察 1-1
おー。
やってるやってる。
一人の少女を囲む、人影が3。
「じゃあ、いっくよー」
「……来なさい! 」
包囲の中、逆手に片手を掲げ、くいくい、と気丈に応酬。
その背後から無言で、火球が飛ぶ。
しかしそれは泡が溶けるように、少女の背中に達する事なく中空に散った。
「はーいっ!! 」
正面の少女が輝く槍状の刺突、打ち掛かる。
それをさばいた身体の先には残る一体の影。
手刀の切っ先がぴたりと喉元に。
「ほーい、天森 創、討ち取ったー」
瀬戸くんに、さっそくの洋子ちゃん、そして紺野サブ。
「むりですよー、ズブの素人で、3対1とか」
さすがにむくれてみせる、天森。
「無論、ムリさ」
にべもなく師匠、モクさん。
ココがドコか、といえば、どこでもない。
モクさんが築いた仮想空間、想念場。
VR、のようなものといえば、まあそうか。
「だったら」
「中で棒立ちしとっては、な」
え、という表情。