インターン 1ー10
「RSN以前と以後での最重大要素は、その活動が組織的であるか否か、です」
組織的/非と記し、丸く囲んだ。
「前・RSN期に於ける本事案の脅威度は、獣害、例えば市街地に出現したヒグマ等がもたらす危害を越えるものではありませんでした、無論」
がおー、と書いて、上からバッテン。
「術者の魔法が国財枢要、議員等要人、発電等重要施設に向けられる可能性は常に存在し、その危機阻止こそが当局の、本事案対策での基本目的となりました」
テロ、と二文字に要約し、再度バッテン。
見かねた洋子ちゃん、おずおず手を挙げながらそうちゃんあのねと。
「親切丁寧に御進行のトコロ大変忸怩たるゴメンねなんだけど、国会でも学会でもないんだしもっと、えー、テヌキ、じゃないなあー」
ちら、とこちらに諾否の視線が来たので、軽く頷いて。
「ではぶっちゃけ」
と一転。
「ウェンクエプレイしてて偶然まほー遣いになったのは、我が身可愛さもあってか国がブチ切れるよーな事はしませんでした、これはめでたしで、それが」
すらりと胸ポケから抜き取った物証、宝倶を掲げ持つと。
「これこの通り、私ていどの野次馬JKにまでPBの連中はバラ撒いてます! チュートリアル終了、ガチマジ危険がアブナイモードで本編開始! 何があってもおかしくない激ヤバなのが現在です、御清聴ありがとうございました! 」
一礼、皆控えめに拍手。
挙手し。
「少しだけ補足したい」
前に出て、続けた。
「実は、本件はRSN以降各国が注目する、国際事案となっている」
天森、挙手。
「事件当夜の、各国大使館への影響、からですか」
「正にその通りだ」
続けた。
「RSNは東京のど真ん中で勃発した。当初の、大規模停電発生という認識で、事態把握を目的に在日公館、駐日大使各国本国との連絡、報告も多数行われ、東京という世界有数、本邦首都機能への信頼性への毀損、説明への問い合わせも殺到した」
各員を眺める。
「幸い、辛うじて集団幻覚という医学上の領域に問題を持ち込み、公的には一応の決着は為したが、これに各国は必ずしも十分に納得も満足もしていない。友邦である北米の情報局、魔法、に関しては歴史的豊富な素養を持つ欧米各国他、各情報機関が真相確認に向け活動中、との情報だ」
「ほーん、やっかいやねえ」
紺野サブ、一言に要約。
そう、ホント、厄介。
「外部の全般状況として補足は以上になるが、ここでこれ以上どうこう出来るハナシでもない、着眼大局着手小局、眼の前の仕事を確実にこなしていこう、何か質問があれば」
ゆうて。
国内国外ここまで状況が混沌であるので、何の質問も意味は無いのだが。