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南雲蒼

 「えーっと…どこから話そうか…」


 自身のそう遠くない過去と向き合うべく皆と向かい合う。前提がどこにあるのかを模索しながら話を進めていく蒼だった。


 「大前提の話だ。パラベラムって会社知ってるか?」

 「わたし知らない」

 「うさぎもです」

 「うさぎは確かにわからないかもな、パラベラムって武器や兵器の製造、販売をメインにやってた結構デカい会社だろ?」

 「デカいなんてもんじゃない。今あっちの戦場にある全体の武器や兵器のうち五割のシェアを占めてる。生粋の戦争屋だ。自分の手は汚す気はないみたいだったがな」


 蒼の声色に込められる怒気が少し強くなった。


 「全戦場で五割!?とんでもない会社じゃないですか!」

 「コイツらを味方につけないとそれだけでかなりキツい戦いになる。国家間の争いでもだ。だから実質的に世界を牛耳っているといっても過言ではない」

 「なるほどね?」

 

 なんとなく規模の大きさを把握する日皆。足りないピースを埋めるかのように話を進めていく蒼。


 「会社についてはわかったけどゼロドーンって何?」

 「兵器の開発計画だ。極秘裏に行われていた」

 「おぉ、陰謀論めいてきたな。ほんとに実在したのか?」

 「したさ。なんせ潰したのは俺だからな」

 「は?」


 あまりの回答に素っ頓狂な声を上げた御影、

実際のところ実在するのかわからない計画を潰したと言われてもなんと返せばいいのかわからないのが普通だろう。

日皆とうさぎの二人は、はてという風に顔を見合わせている。

 

 「でもさぁ、一介の学生風情がどうやってそんな計画を嗅ぎつけて潰すまでやるようになるんだよ」

 「そこはあまり重要じゃないし話すには少し長すぎる。掻い摘んで説明する程度でいいか?」

 「構わねぇ」

 「……俺は昔、ハッカー集団の真似事をしていた。その時に今回の計画をたまたま見つけたんだ。近年いきなり軍需産業で成り上がった会社だったからな、あまりいい噂は聞かなかった。」

 「マジで?いやまぁ突っ込みたいとこは色々あるんだけども結局ゼロドーンってなんなんだよ」


 自分から問いただしておいて、現実感のなさにかなりの疑問が湧いてくる御影、うさぎと日皆の二人はやはりはてという表情を浮かべて話を聞いていた。


 「ゼロドーンはな、地球の大体半分を吹き飛ばせる超兵器だ。開発こそされなかったが企画は持ち上がっていたし予算もかなり注ぎ込まれる予定だった」

 「地球の半分!?核の何倍の威力なんだよそれ…」

 

 完全に蚊帳の外となった日皆とうさぎ。話こそ真面目に聞いているもののスケールの大きさに少し思考を放棄した。


 「正直な話、現時点での人類の技術力じゃそこまでの破壊力を持った兵器は開発不可能だと考えていた」

 「なるほどね。でも、こっちに来て考えが変わったってワケか」

 「あぁ、実際こっちの世界の技術のレベルはわからないが想像以上であるならかなり現実味を帯びてくる。権能ギフトなんてものもあるしな」

 「でもどうやって潰したんだよそれ」

 「ん?あぁ、予算になる予定の金をばら撒いたんだよ。流石に桁が違いすぎたからな。後進国や復興国に適当にばら撒いた」

 「とんでもねぇ…でもそれだけで止まるもんなのか?」

 「完全には止まらんだろうな。ただの引き延ばしだ。まぁ三十年分ぐらいの足は引っ張れただろ」

 「そういえばここに来る前、朝方ニュースになってた気がする。確かCEOが辞めたんだったか」

 「CEOが辞めたところでな、ガーデンに黒幕がいる可能性があるのならそっちを潰した方が早いだろう」

 「確かにな」

 「俺が知っているのはこれぐらいだ」

 「なるほど。現実世界の企業の弱体化がこちらの世界にも影響したということですね?」

 「そうだろうな。ケリは付けさせてもらう」

 

 静かに闘志を燃やす蒼を側に日皆が意識を取り戻す。底抜けに明るい声は、これからの不安を感じさせない安心する声だった。


 「じゃあさ!作戦会議しよっか!」

 「作戦って言っても相手のこと何も知らねぇだろ?」

 「でも今みんなが出来ることを知っとくのは役に立つと思うんだよね」

 「それはそうだな」

 「じゃあはじめますか」

 

 わずか前の重かった雰囲気をぶっちぎり一転して楽しげなムードに切り替わる。いつかの自己紹介の続きの様だった。

 

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