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転生ミスで弱小盗賊団の頭になっちゃいました。やり直しは出来ないと言われて頭に来たので地味スキルで生き抜いてやろうと思います。  作者: 駄犬X
序章

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22 防御スキル

 22 防御スキル


 俺とスネア、フィネスはホーンボアを連れて小屋に戻る。


 テジー、ヒュージ、ガイ、ラスツが焚火を囲んでいる中で見覚えのある顔があった…。少し遅い昼飯を食っているのか、そいつは男達がドン引きする程、肉を喰らい、スープを豪快に飲んでいる。


 …まぁ、生きてるとは思ってたけど…。


 そもそも能力者とは言っても人間だしな…。天使が人間に負けるわけないよな…。俺は、ドジ子が頭ボサボサのまま皆の輪の中で、一人猛烈な勢いで昼飯を喰っているのを見た。


「…ぁ、アニキ無事だったのか?」


 ヒュージの言葉に全員俺を見る。テジーから能力者の事を聞いていたのだろう。みんな俺が戻ってきたので安堵したようだった。


 そんな中で一人能天気なヤツが口をモゴモゴさせながら俺を見る。


「おかえりなさい。グランジさん、無事でしたか?敵の能力者は殺ったんですか?」

「いや、そんな事より、二日酔いだったのにどうやってあの場に来たんだよ?しかもホーンボアまで連れて…」

「あぁ、それはですね肉体は二日酔いでしたから、思念体を使って飼い馴らしたボーアちゃんに乗って行ったんですよ」


 …思念体ね…それで上半身吹き飛ばされても大丈夫だったわけね…。しかしまた壊滅的なネーミングだな。


 …ボーアって…ボアを伸ばしただけじゃねぇかw


 俺は溜息を吐いて肩を竦める。


「…まぁ、一応お礼は言っとく。来てくれて正直助かったよ」


 そう言いつつ、俺はテジーを見る。


「…テジーもスマンな。今度からちゃんと話を聞いてから行くよ。まさか俺以外に能力(スキル)持ちがいるとは思わなかったからな…」

「グランジが無事で良かったよ。能力者については俺も噂でしか聞いた事がなくてな…それでも伝えておかないとそろそろ危険だと思ってたんだよ」


 テジーの後に、ドジ子が相変わらずもしゃもしゃ食べながら話を続ける。


「それでですね、わたしとスネアさんが伝達に行ったわけです。ホント、ギリギリ間に合って良かったですよ。それで敵は殺ったんですか?」

「あぁ、気が逸れてた瞬間に石を投げて心臓に大穴開けてやったよ…」

「そうですか。ザマぁですよね。全く、人が苦労して発動した思念体を吹き飛ばすなんて…アレ、結構難しいんですよ…」


 …さっきから『殺った』とか『ザマぁ』とか、天使が使う言葉じゃない気がするんだが…。


「…取り敢えず、今回の一件で今後の課題も見えてきた。もう一度ロキシアに当たる前にスキルを磨いておく。後の二人の能力者も俺が必ず仕留める…」


 俺の言葉に、口の周りを肉の脂まみれにしたドジ子が、うんうんと頷いていた…。どうでも良いけど時々、口周り拭けよ!!


「どっちにしても明日はグリッドの所に上納金持って行く日だぞ?どうする?グランジがスキルの練習するなら俺とヒュージが代理で行ってくるぞ?」


 テジーにそう言われて思い出した。そういえば金持って来いって言われてるんだったな…。


「…いや、俺が行く。グリッドがどんなヤツか直接、確かめたいからな」

「最初の上納金の時に会ってるけど、グランジは記憶失くしてるからグリッドの事は覚えてないよな。スネアの案内でグランジと俺の三人で行くか」


 テジーの提案にヒュージが俺を見て言う。


「アニキ、俺達はどうすればいい?一応、明日から村の大工が来てくれる予定なんだ」


 そうだ。砦の建設も頼んでたんだったな…。俺はこの三日間でギャングから毟り取った金をヒュージに渡す。


「ヒュージは大工の手伝いで木材伐採、それと金を預けるからその都度、必要な分だけ大工の棟梁に渡してくれ」

「解かった」


 続いて俺はガイ、ラスツにマジックアイテムの鞄を渡す。


「この三日程で集めた装備諸々でそろそろ鞄が一杯になりそうなんだ。ガイとラスツはバズリンに行ってこの中の者を全部、金に換えて来てくれ」

「解かりました。ではわたしが預かります」


 そう言うのでガイに鞄を預けた。


「では僕は値段交渉してより高く売れるようにします」


 ラスツの言葉に俺は頷く。


「グランジさん、わたしは何をすればいいですかぁ?」


 食事を終えてのんびり水を飲みながらドジ子が聞いてくる。…うーん、そうだな…ドジ子には何して貰うかな…。


 フィネスには領都シェフィールドで引き続きロキシアファミリーの調査をして貰うとして…。俺はその時、ふと思いついた事をドジ子に聞いてみた。


「ドジ子様、アンタさっき思念体がどうとか言ってたよな?」

「…えぇ、それがどうかしましたか?」

「…その思念体は見えない様に行動する事は出来るのか?」


 俺の問いに、事も無げにドジ子が答えた。


「えぇ、出来ますよ?見え無い様に切り替えるだけなので。ところで思念体を使って何をするんですか?」

「フィネスと領都に行ってロキシアの能力者について調べて来て欲しいんだ」

「えぇ、では思念体(見えないバージョン)で行って調べてきますよ」


 俺はドジ子の言葉に頷く。


 しかしドジ子のヤツ、最初は他人のステータスしか見れないとか言ってたから使えないヤツだと思ってたけど、ホーンボアを回復させたり、思念体で行動したり天使としての基本的な能力?は持ってたから少し安心したわ…。


 本当にステータス見る能力だけだったら役に立たない絶望天使だもんな…。そんな事を考えつつ、俺はフィネスにも指示を出す。


「フィネス、さっき俺が言った通り天使ドジ子様と領都へ行ってロキシアの情報を探って来てくれ」

「了解でやんす!!」


 俺は皆に明日からの行動を指示を出した後、スネアとフィネスと共に少し遅い昼飯を食べる。その間、テジー、ヒュージ、ガイ、ラスツ+ドジ子に砦建設の為の木材伐採に行って貰った。


 この三日、俺が街のギャング達と遊んでいる間に、テジー達がリフレ村に行って砦建設及びその増築の話を付けてくれたようだ。


 事前に大工達から指示された量の木材を少しづつ用意していたらしい。俺はこれからの戦に備えて、昼からスキルの練習をする事にした。



 俺は遅い昼飯を食べた後、湖を少し下った広い場所で箒を回す。今回は前でくるくる回すのではなく、少林拳に出てきそうな左右で交互にくるくる回すヤツだ。


 これによって自分自身の周りに空気の流れを起こす事が出来るか、そしてそれがスキル化するか試してみた。


 とにかく俺は一心不乱に箒を回す。しかし空気の流れは出来るものの、すぐに消えてしまって流れが続かない。


 俺が考えているのは身体の周りで空気の流れを作り出して、遠距離からの攻撃に対する防御や、隠れて接近する者を感知するような感じだ。


 余り根を詰めてやっても上手くいかない時はどうにもならない。俺は一旦休憩しつつ、どうすれば『掃除』のスキルから防御技を派生させる事が出来るかという事を考える。


 しかしいくら考えてもどう空気を動かせば流れが続くのか分からない。…やっぱり実践しながらじゃないとダメか…。


 休憩しつつ考え込む俺の前に、伐採をさぼっているドジ子が来た。


「どうです?スキルは発現しそうですか?」

「…いや、まだどうやれば良いかを考えてるところなんだが…」

「…そうですか。スキルは一朝一夕で発現するモノじゃないですからね。夏見さんみたいにここ最近連続で発現する事なんてそうそうないですよ。だから気長に気軽にやった方が良いかと思いますよ?」


 ドジ子の言葉に、俺はとにかく実践してみる事にした。


 俺は立ち上がると、再び少林拳の棒術使いみたいに箒を回してみる。ドジ子はひたすら箒を振り回している俺を見ている。


 暫く、箒を振り回す俺を見ていたドジ子が指摘する。


「…夏見さん。難しく難しく考えていませんか?いくら考えて箒を振り回してもスキルは発現しませんよ?良いですか今までスキルが発現した時の事をよく思い出して下さい…」


 手を止めた俺の前で、ドジ子が話を続ける。


「今まで何かを考えてました?スキル発現で一番重要なのは考える事ではなく、意識して強くイメージする事なんです。考えるんじゃないんです、感じるんです!!」


 …ドジ子がブルー〇・リーみたいな事言ってる…。


 しかし、ドジ子の言う通りだ。たとかに今までスキルを発現した時、俺は考えていたのではなく意識をしていた。能力者に抵抗する為に、必死になって考え過ぎたようだな…。


 考えるんじゃない、感じろ!!か…。


 俺は目を閉じる。イメージするのは俺の身体の周りを激しく流れる空気だ。俺は箒をゆっくりと回しながら、空気を掃いていく。俺の身体の周囲を流れる空気がどんどん増えて行く。


 その空気の流れは激しさを増して乱気流の如く、俺の身体を護る…。俺は強くイメージしながら、丁寧に箒を回す。


 それを何度も何度も繰り返す。俺の中でロッ〇ーのテーマが流れる。俺はひたすら箒を回し続けた。

そして俺は、回転させていた箒を止めると、カッと目を見開く。


「…どうですか?スキルは獲得出来ましたか…?」


 ドジ子が期待を込めた目で見て来る。


「…いや、全然。今日はもうやめとくわ…」


 良い感じに空気の流れは出来るんだが、箒を回し続けないと勢いと流れが持続出来ない。


 ちょっと練習しただけで出来るようになるとか、そんな都合良くいかんわな…。まぁ、これに関しては少しづつ続けてどうなるか…だな。


 スキルが獲得出来たらラッキーくらいに考えておこう…。俺がそんな事を考えていると、目の前のドジ子がサッと顔色を変えた。


≪…夏見さんッ!!後ろですッ!!≫


 座ったまま振り返りつつ、俺はソレを箒の柄で弾いた。黒く細長いペーパーナイフのような武器だ。


 その黒い男?は地面から上半身だけを出して俺を背後から襲ってくる。突き刺し、切り付ける攻撃を、俺は全て箒の柄で受け流す。そいつは眼だけが見えて、他はシルエットの様に全身、真っ黒で影の様だった。


 振り返りざま、俺はそいつを箒の先で薙ぎる。しかし、そいつは水に沈んでいく様に一瞬で地面の下に消えた。

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