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転生ミスで弱小盗賊団の頭になっちゃいました。やり直しは出来ないと言われて頭に来たので地味スキルで生き抜いてやろうと思います。  作者: 駄犬X
序章

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21 先生、お願いします。

 21 先生、お願いします。


 昼前。俺は領都近くの森にいた。昨日の威勢の良さだとドジ子も付いて来るのかと思っていたが、酒を一気に飲み過ぎて二日酔いで起きて来れなかった…。


 まぁ、ドジ子はいてもいなくても作戦に支障はないので、まずは誘き出しから始める事にした。フィネスが領都シェフィールドに紛れ込み、情報を流している。スカベンジャー商会のグランジが、交易でこの辺りを通過する、と言う情報だ。


 まさか街のギャングがやられっぱなしで黙ってるなんて事はないだろう?そんな事を考えていると、街に出入りする人達の中から、ヤツらが三十人程出て来た。手には皆、棍棒を持っている。


 …マヌケ共がッ!!ヤツら情報に釣られて罠とも知らずにノコノコ現れやがったw!!その時、俺の頭の中で暴れん坊過ぎる将軍様のテーマ曲が始まる。


 さて、成敗してやるかw!!


 俺はマジックアイテムの鞄からズタ袋を出す。この鞄はかなり優秀だ。野球の硬球サイズの石をわんさか詰めたズタ袋が入る。その上、重さを全く感じない素晴らしいアイテムだ。


 俺はズタ袋から石を三つほど出す。そして俺を探してチンタラ歩いているヤツらに、スキル『ダストシューター』を使って三つ連続で投げ付けた。


 ゴウッ!!と言う凄まじい音と共に剛速球になった石が、三人の腹に当たる。


「…ギャァッ!!」

「…グワッ!!クソッ、何だ!?何が起きてる!?」

「グフッ、石だ、クソッ、どこからか石が飛んできてるぞッ!?」


 突然の見えない襲撃にパニックになった男達に、俺は更に麻痺弾を投げ付ける。当たった瞬間に、麻痺剤が濛々(もうもう)と拡がっていく。


 麻痺剤で咳が止まらず、目や鼻を押さえて悶絶するヤツらの前に出て行く。


「…ヤロウッ、クソッ…目がァッ…!!」

「…ゲホッ、グッ…クソッ、何モンだよッ…!!」

「何モンだとッ!?貴様らッ、()の顔を見忘れたかッ!?」


 …と、言った後に気付いたんだがコイツら全員、麻痺剤で目をやられてたんだったな…。俺の顔見えるワケねーか…。まぁ良い。


「お前ら…。良く聞いてボスに伝えておけ!!スカベンジャー商会のグランジが来てやったぞ!!俺を捕まえて殺したければ何人でも連れて来いッ!!」


 良し!!聞こえてるかどうか解からんが取り敢えず伝える事は伝えたし、やっちまうか…。


 俺は背中の箒を取り、くるくる回す。同時にヤツらが二メートル程、宙に浮いて行く。そして俺は箒を止めると、一気に森の木々を目掛けて箒を横に振った。


「成敗ッ!!」


 浮いていた男達はその瞬間、森の木々にぶつかっていく。悶絶するヤツらの肺から空気を抜いて酸欠を起こさせて気絶させた。


 俺は箒のスキルを使って、ヤツらの懐にある金を巻き上げた。更に男達を森の中へと吐き集める。


 その後、街から出て来たフィネスと一緒にヤツらの身ぐるみを剝いでいく。パンツ一枚を残して金品全て巻き上げて鞄にしまい込んだ。


 男達は街道の方へ、全員掃き出しておく。そして俺とフィネスは森の中に消えた。



 次の日も同じ様に情報を流し、森の別の場所で待ち伏せる。暫く待っていると今日は人数が増えていた。見たところ五十人程か…。ヤツらは手に棍棒を持ち、方円陣の様に展開して周りを警戒していた。


「良く警戒しろよ?どこから来るか分からねぇからな!!」


 俺は思わず笑ってしまった。ヤツら何も解っちゃいないな。俺は森の見えない場所から、石を投げる。しかし今回は、真直ぐヤツらに投げるのではなく、上空に向かってありったけの石をどんどん投げた。


 スキル『ダストシューター』は相手に意識を向けていれば、どこに投げようが対象に向かって飛んで行くのを既に確認済みだ。


 男達がピリピリと神経を張り巡らせる中、突如頭上から降ってきた石にヤツらが混乱する。


「…グワッ!!うっ、上だッ!!上から石が降って来てるぞッ!!」

「そんなバカなッ、どうやって上からッ!?グフッ…」


 上から流星の様に降ってくる大量の石に、ヤツらは混乱を極めた。その瞬間、俺の頭の中に声が響く。


≪スキル『スターダスト』獲得しました≫


 試しで上に石を大量に投げていたのがスキル化したようだ。俺は混乱するヤツらの前に出る。


「はい。今回もカモがネギ背負ってご苦労さん。ではさようなら!!」

「…テメェッ!!グランジだなッ!?こ、このままじゃ済まさねぇからなッ!?グハッ…」


 そう言って石の雨に撃たれながら凄む男。…よくもまぁ、そんな状況でイキれるよな…。感心するわw


「ハイハイ、精々頑張って言ってろよ?お前らザコギャングが何人来ようが俺の敵じゃないんだよ!!」


 そう言い聞かせた後、俺はヤツらを箒スキルで五メートル程浮かせて下に叩き付けた。


 グッタリしたヤツらを、箒スキルで森の中に掃き込んで、フィネスと身ぐるみ剥がしていく。金に換えられるものを全て剥ぎ取って鞄に入れた。


 そろそろ鞄の容量が八割程埋まっている。明日からガイ、ラスツに頼んでバズリン方面へ、メキシス達の装備と一緒に諸々売りに行ってもらうか…。


 そんな事を考えつつ、パンツ一丁の男達を街道に掃き出して俺達は森の中へと消えた。



 翌日。フィネスに同じ様に情報を流して貰い、昨日とは別の場所で待ち伏せをする。街から出て来たヤツらは三十人程に減っていた。


 いたずらに人数増やしても混乱に拍車が掛かるし被害が増えると踏んだのだろう。ダムドはそこまでおバカさんではないようだな…。


 今回は手法を変えて、箒のスキルで突風をぶつけて混乱させる。突然の強烈な風の襲来にに男達はまたもや混乱を極めた。


 石が飛んでくるとばかり思ってそれだけ気にしていたようだ。バカなヤツらだ。毎回、同じ手法使う訳ないだろ?パターンになるとすぐに手を読まれるからな。


 そう思いつつヤツらを見ていると、違和感に気付いた。集団の中心にマカロニウェスタンみたいな恰好をしたガンマン風の男がいた。


 男達が混乱する中、一人だけ突風を受けながらも冷静に周りを注視している。その男は俺が視認した瞬間、反応して森の中にいる俺の方を見た。


 男はすぐに俺の方に腕を伸ばし、手を銃のように見立てて向けて来た。俺は危険を感じてすぐにその場所から移動する。


 その瞬間、俺のいた場所にあった木がバァンッという大きな衝撃音と共に弾け飛んだ。


 これはッ…!?


 俺はザコギャングに紛れて様子を窺うその男を良く見る。男達が混乱する中、指先ガンマンは一人だけ冷静に周りを見ていた。


 それを見た俺は、直感的にそいつが俺と同じ能力者だと思った。思わず舌打ちをする。


 チッ、俺だけが特別って訳じゃないのか。この世界に俺の他にも能力者がいる事を知って俺は気を引き締めた。これは恐らく『先生お願いします』ってヤツだな。ここでアイツを仕留めないと後々めんどくさい事になりそうだ…。


 俺は指先ガンマンを仕留める為に、手元に石を二十程用意する。意識を向けて上に石を投げようとした瞬間、ヤツが反応した。


 俺はそれを見てすぐに『スターダスト』から『ダストシューター』にスキルを切り換えた。俺が投げた石が、俺と指先ガンマンの間で激しく弾け飛ぶ。


 思ったよりも反応が早いな…。石じゃなくて箒のスキルに変えるか…。俺は森に隠れたまま、箒を手に持って指先ガンマンに意識を向ける。


 しかしそのちょっとした動きにヤツは即反応した。俺はすぐに森を移動する。

大きな破裂音と共に、俺がいた場所にあった木が大穴を開けていた。


 チッ、ちょっとした動きでも感知するのか。めんどくさいヤツが来やがったな…。どうするか…。


 考えている俺の後ろから突然、激しく低い足音が近づいてくる。まさかッ…既に森の中にギャング達が潜伏していたのか!?


 そう思って俺は思わず後ろを振り返る。そこにはギャングの集団ではなく、巨大ワイルドホーンボアが迫っていた。


 …ちょッ、うおォォォォォいィィィッ!!なんでこのタイミングでコイツがここに居るんだよオォォォォッ!!


 しかし、巨大ワイルドホーンボアは高速で俺を通過していく。その瞬間、その背中に何者かが乗っているのが見えた。


 ワイルドホーンボアはその勢いのまま、ギャングの群れに突っ込んでいった。よく見るとその背中に乗っていたのはドジ子だっだ…。


 きちんとホーンボア用に装備を付けている。蹄鉄、鞍、鎧、更に兜を付けていてより狂暴に見えた…。


 …何でアイツがアレに乗ってここに来てんのw?


 混乱するザコギャングの中、冷静に俺を探していた指先ガンマンもこれにはさすがに驚いていた。ホーンボアの背に乗るドジ子が俺を振り返る。


≪今です!!能力者の気が逸れている内に、石を投げて下さいっ!!≫


 呆然と見ていた俺は脳内に響くその声にハッとなる。俺はすぐに石を掴む。しかしその目の前で、振り返っていたドジ子の上半身が指先ガンマンのスキルで弾け飛んだ。


 …オイッ!!そんなッ、嘘だろッ!?ドジ子…ドジ子オォォォォォォッ…!!


 俺はその瞬間、頭の中が沸騰した。許さねぇッ!!アイツは絶対俺が仕留めるッ!!


「一発必中ッ!!ダストシューターァァァッ!!」


 ワイルドホーンボアの出現で気の逸れていた指先ガンマンの心臓を狙って、俺は全力で石を投げた。瞬間、超剛速球が唸りを上げて一直線に飛んでいく。石は指先ガンマンの心臓を貫通して穴を開けていた。


「…そんなバカな!!…この俺が石投げ野郎如きに…」


 そう呟いた後、指先ガンマンはその場に倒れた。俺は興奮を抑えきれず箒を取り出す。俺は箒を回転させつつ、残ったザコギャングをサイクロンさせて地面に叩き付けた。



 フィネスが指先ガンマンとザコギャングの身ぐるみを剥いでいる間、俺は目を閉じる。


「…ドジ子。安らかに眠ってくれ…」


 その傍で、ドジ子と一緒に来たスネアが、ザコギャングを食べようとするワイルドホーンボアを必死に静止していた。


「ダメだ!!こいつらは食べたらダメなんだ!!」


 スネアの言っている事が解かったのか、フスンッフスンッと鼻を鳴らすとザコギャングを鼻で小突いたり、足で蹴ったりしていた。


 俺達はギャングの金目の物を巻き上げて身ぐるみを剥がしつつ話をする。


「スネア、お前は何でここに来たんだ?」

「カシラ、テジーさんからの伝言です。ロキシアファミリーにはあともう二人、能力者がいるそうです」


 テジーがやたらと心配していたのは政務官や軍関係だけではなく、能力者の存在も知っていたからなのだろう。


 いずれも暗殺を目的とした能力者で、一人はどこからともなく現れると言うヤツ、もう一人は良く解っていないらしい。既に俺は狙われているらしい…。


 俺は自分以外の能力者の登場に驚きはしたものの、後の二人も返り討ちにしてやろうと考えた。


「先程の能力者ですが、意識を向けると対象がいる場所を感知する様です」


 …そうか。それで俺が意識を向けた瞬間に撃って来やがったんだな…。厄介なヤツだったが、ここで仕留めたのは幸いだったな…。


 しかし、残り二人の用心棒を倒すには、近距離の攻撃も遠距離からの攻撃も防御する必要があるな…。


 そんな事を考えつつ、俺達はザコギャング達の身ぐるみを剥いで、金目の物をあらかた巻き上げると俺の鞄にしまい込み、ワイルドホーンボアを連れて山の小屋へと戻っていく。


 俺は一度足を止めて森の中から外を見る。


 ドジ子、仇は取ってやったからな。安心して眠ってくれ…。

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