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転生ミスで弱小盗賊団の頭になっちゃいました。やり直しは出来ないと言われて頭に来たので地味スキルで生き抜いてやろうと思います。  作者: 駄犬X
序章

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11 悪魔降臨

 11 悪魔降臨


 戻ってきたフィネスを加えて、俺達は夕食を始めた。


 ちゃんと村に行って、インナー上下三枚づつ貰ってきたようだ。焼いた肉を食いつつ、フィネスからの報告を聞いた。


「ヤツらは大体、五人から十人前後で行動しているようでやんす」


 フィネスによると商隊の規模や、交易商品、護衛が付いているかどうかによって、その日のメンバー構成を変えているようだ。


 護衛が付いている場合は、基本的に手を出さないようだが、傭兵や、ハンターの人数によっては、襲撃を決行するらしい。


 まぁ、襲撃の成功率が低いとヤツらにとってもリスクだからな…。確実に勝てる時だけ、と言った感じだな。


 俺達はまだグリッド盗賊団に所属してから一週間も経ってないそうだ。だからなのか、特に襲撃の指令などは来ない。


「襲撃場所は大体、各都市間の街道の真ん中辺りでやんすね。どちらからも救援や討伐が来る前にカタを付けるようでやんす」

「襲われた方はどうなんだ?拉致されたり、殺されたりしてるか?」

「基本は、そのまま逃がすようでやんす。ただ、渋ったり武器を持って戦おうとする者は殺すようでやんすな…」


 ふむ。殺しは最低限、拉致は積極的にはしてないようだ。大商人とかだと後から捜索隊や討伐隊を出す可能性もあるだろうからな。


 かなり慎重に襲撃行動している。グリッドはバカでは無いようだ。


「…報告ご苦労。引き続き明日からも情報収集してくれ」

「了解でやんす!!」


 続いて増築に関して、食べながら話す。


「小屋の壁、床板、木窓と窓枠は俺達でやるからな。それ以上の事は村から職人を出して貰おう」

「グランジ、それは良いんだが金はどうする?いくら村の大工職人と言っても金出さないとやってくれないぞ?」

「そうだぜアニキ。そこん所は、大工やってたアニキ自身が良く解ってるだろう?」


 俺の言葉に、金の心配をするテジーとヒュージ。


「まぁ、増築はまだ先の話だ。小屋の補修と補強が先だからな。金は心配するな。一応、考えてある」

「グランジさん、グリッドのヤツらに納める分も考えないとですよ」


 ラスツにそう言われたが、当然そこも考えてある。


「大丈夫だ。当然そこも含めてある。金の他にヤツらからの要求はあるか?」

「今の所、俺達は所属したばかりだから要求されてるのは金だけだ。そこに何か他のも付けて持って行けば大丈夫だ」


 テジーの言葉に、俺は頷く。


「取り敢えず金と毛皮、肉辺りを持って行くか。次にヤツらのアジトに行くのはいつだ?」

「今月のは納めたばかりだからな…次は一カ月後くらいだな…」


 テジーの説明に、俺は考えを巡らせた。一カ月もあれば、色々準備出来そうだな…。用意が出来次第、盗賊潰しをぼちぼち始めるか。



 夕食後、ヒュージとガイ、ラスツ、フィネスは小屋に戻って休む。俺とテジー、スネアが焚火の周りに残っていた。


「…カシラ、俺にちょっとしたアイデアがあるんですが…」

「何だ?言ってみろ」


 俺はスネアに、話を促す。


「昼過ぎに石を投げてましたよね?アレに付いてなんですが、山の中に毒性や麻痺、幻覚作用を起こす強い植物やキノコがあるんですよ」


 そう言って籠いっぱいに入った、毒々しい色の草やらキノコやらを見せる。俺も昨日、使えると思って採集してたヤツだな。


「カシラも昨日、集めて周ってたみたいですが、これを煎じて粉末にして張り子の様な球に仕込んで作れば、猛毒弾、麻痺弾、幻覚弾が出来ますよ。投擲に攻撃の幅が広がるかと思うんですが…」


 俺はテジーを見る。


「面白そうだな。やってみるか?」

「確かに、いいアイデアだな。しかし、張り子と粉末だけだと、軽くて距離を飛ばせない…問題はそこだ。ある程度の重みが無いと…」


 テジーの指摘に、スネアが答える。


「そのままだと確かに飛びません。だから中に目潰し用の砂利と混ぜて使うのはどうでしょう?」

「それなら行けそうだな。スネア、幾つか試作品作れるか?」


 俺の言葉に、スネアが頷く。


「えぇ、任せて下さい。罠と一緒に幾つか作ってみます」


 麻痺弾や幻覚弾が使えれば、石単体よりも足止め出来る確率は格段に上がるだろう。

俺とテジーは、スネアに火の番を任せて、小屋に入って休む事にした。



 翌日からも小屋の補修材料を作っている合間を縫って、石投げを続けた。


 的は木で組んだプラカードから、木の枝に吊るしたものに変えた。プラカードだと、当たって倒れてしまうからだ。


 的が倒れると一々、立て直しに戻るのも面倒だし、いまいち威力の程が解らないので木の枝から吊るす事にした。


 そして俺は少しづつ、石を大きなものに変えていく。やはりと言うか大きい石だと、威力はかなり良い。最終的にソフトボール大の石を投げる練習もした。距離を少しづつ伸ばしてみたが、離れると威力が落ちる。


 今の所、有効ダメージが入るのは射程20メートルと言った所だ。俺はひたすら、威力を上げる為に的に向かって石を投げ続けた。


 石投げを始めて、雨の日も風の日も、雪は…季節的に降っていなかったが、とにかく、どんな日にも俺は石を投げ続けた。


 俺の中で、ロッ〇ーのテーマ曲が、ずっと流れ続けていた。そして1週間が過ぎた…。


 クイックモーションで投げた石が、的に当たった瞬間。


 パキィッ!!と高く、大きな音を上げて木の板が派手に割れる。ついに、的を割ったのだ。俺は思わず雄叫びを上げた。


「うおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉッッ…!!」


 俺の中のロッ〇ーのテーマも、クライマックスを迎える。俺は迷わず、走り出した。


「エェイ〇リィアアァァァァーンッッ!!」


 叫びながら走る俺に、男達の顔は引き攣っていた…。



 夜中を過ぎて明け方に近くなる頃、いつもの様に俺は火の番をしつつ、見張りをしていた。


 俺が火の番をしていると向こう側に、いつの間にかドジ子が無言で立っていた。メラメラと燃える炎が、下からドジ子の顔を照らす…。


 …何でいつも突然なんだよ!!そこに立つのは止めろ!!驚いて心臓が止まるだろうがッ!!


 俺の心の声を他所に、ドジ子は真剣な顔で俺を見る。真剣な顔が下から炎に照らされて余計に不気味で怖い…。


≪…夏見さん、的当ての方は順調ですか…?≫

≪あぁ、何とか的を割ったよ。命中精度はかなり高いし、これで俺も何とか攻撃出来る…≫

≪そうですか。所でお金を集めるお話してましたよね?≫

≪…あぁ、それがどうかしたか?≫

≪夏見さんの作戦は、どういったものでしょう?良ければ聞かせて頂きたいのですが…≫


 ドジ子の言葉に、俺は暫く考えたがコイツから情報が洩れる事は無いから大丈夫だろう。俺は俺が考えている金集めの作戦をドジ子に話す。


≪ヤツらが襲撃に掛かる前に山の中で、変装した俺達がヤツらを襲ってやろうって計画なんだ。その為に罠を使って足止めした後に、麻痺球で無力化してやろうと考えてるんだ…≫


 ドジ子はふむふむと俺の話を聞いている。


≪その後、身ぐるみ剥がして売れるものは売って、全員街の衛兵に渡して賞金貰うつもりだ…≫


 ドジ子は俺の話を聞きつつ、何かを考えているようだ。


≪夏見さん、わたしの考えを話してもい良いですか?≫

≪…あぁ、どうぞ…≫

≪夏見さんの作戦は悪くないと思います。思いますが…≫

≪…何だよ?≫

≪成功率は五分五分と言った感じがします。山の中では不確定要素が多いです。罠を仕掛けても誘導しなければ掛かってくれない可能性もあります。更に…≫


 無言のまま話を聞く俺の前で、ドジ子が話を続ける。


≪麻痺球を使っても麻痺の範囲がどれだけ広がるか解りませんし、風があった場合、麻痺剤が流れてしまいます…≫

≪…ふむ、確かにそうだな。ではどうすればいい?≫


 俺の言葉に少し考えてから、ドジ子が話す。


≪いっそ襲うの止めませんか?むしろ襲って貰う方が確実に相手を集める事が出来るかと思います≫


 ドジ子の提案に、俺は暫く考える。俺はなんとなくドジ子が言わんとしている事が解った気がした。


≪…つまり、襲われるような状況を作り、そこで一気に無力化…って事か?≫

≪そうです!!その方が確実だと思いませんか?≫

≪確かに…。良い作戦だな…≫


 そう言ったものの、俺はヤツらをどう集めて、どう無力化するのかを考えた。ヤツらにとって襲いたくなるようなモノ…。


 俺が考えていると、俺の頭を除いていたのか、ドジ子がある方向を指さす。


≪夏見さん、アレです。アレで誘導するんです≫


 ドジ子が指差していたのは湖だった。湖?何で湖…まさか…水か!?しかし水持ってて盗賊が襲って来るか?


 酒ならあり得るだろうが…と言おうとした俺は(ようや)く、ドジ子の真意に気が付いた。酒を用意するのが一番いい。…けどヤツらの注意を引く程の…となると酒樽レベルになる。


 酒樽に酒入れてなんて、金がかかり過ぎてダメだ。だから樽だけ用意してダミーで水を入れておく。それなら金も掛からない。


 そして…。その作戦の全容が解った俺は鳥肌が立った。


 …コイツ。もしかしてかなりの切れ者か…と、ドジ子の顔を見ると、悪代官並みのスゲェ悪い顔をしていた…。


(ようや)くお解り頂けましたか?最後は麻痺剤を溶かし込んだ、酒を飲ませればいいんですよ。これで安全に一気に無力化です≫


 本人はにっこり笑っているつもりなんだろうが、焚火を挟んでその顔を見ると、悪魔が笑っている様に見えた…。


 コイツ、天使辞めて悪魔に転職した方が良いんじゃないだろうかw?不気味に笑うドジ子を見て、俺はそう思った。

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