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春 その四

 2車線区間が過ぎ、狭いくねくねの酷道区間になる。

 と、対向車。バスだ。この酷道でも、バスが走っているのだ。

「なんちゅうタイミングの悪さだ」

 オレは思わず苦笑する。2車線区間を過ぎてから出くわすなんて。少しバックして待避所に逃げて、対向車のバスを生かせる。

 運転手さんは左手を上げて謝意を示してくれ。オレも会釈して。発進。

 ここからは川沿いというか、崖を削って道を造った感じになる。よくここに住んで、道を造ったなあと、毎度感心させられる。

 ふと、県道の脇道があって、墜合峠おちあいとうげと書かれた標識が見えた。この県道から、また別のお気に入りスポットの墜合峠に行けるのだが。そこは来週に行く予定だ。

 しばらく走っていると。道端に人がいるように見える。

 が、これは人間ではなく、案山子だった。

 布で作られて大きなぬいぐるみ然としているが、顔が描かれ服も着せられて。なかなかリアルな作りで。後ろから見れば、人間と思い込んでしまう。

 しかも案山子は一体だけではない。さまざまな装いの案山子が、たくさんいた。

 集落の公民館は、案山子展示館にもなっていた。さながら案山子村だ。

 いつのころからか、案山子を創り、展示して。道行く人を驚かせ、あるいは楽しませ。それが口コミでひろがり、酷道マニアのみならず、多くの人が知るところとなり。様々なメディアでも取り上げられたりして。

 今や完全に観光地化していた。

 だから、ここらへんになると、それまでの静けさや、(もちろんいい意味での)寂しさはどこへやら。

 カメラやスマホを手にした観光客でにぎわっている。

 停まって写真を撮ろうと思ったが、駐車スペースはいっぱいだったので、やむなくそのまま通り過ぎた。

 そこからまた、ひたすらの酷道。 

 だがしばらく走っていると、変化が起こる。上がったり下がったりだったのが、上り坂だけになる。

 刀山が近いということだ。

 ミライースは軽四。非力な車ではあるが、Sレンジにして、けなげに上り坂を上ってくれる。

 もうここらへん、どう表現すればいいのか。

 とにもかくにも、ひたすらな酷道だ。

 そんな酷道の上り坂を上ってゆくと、神社やお寺が見えてくる。

 ついに来た。

 刀山。

 ここらへんになると、標高は1400メートルになる。

 神社やお寺があり、食堂や民宿もあり、ロープウェイ乗り場や駐車場もある。ここからさらに上に上ろうと思えば、ロープウェイに乗って上がらないといけない。

 刀山は登山スポットでもあり、登山客も多い。

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