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行動上限があるミツキくんは最強になりたい  作者: 人形さん
一章 転生は呪いと一緒~僕の呪いは自由を与えないみたい~
8/58

8話目



8話



 それは降知の儀式をする日。僕が魔法全科の本をお母さんから貰ってから半年くらいが経過した事だ。何でも、人生を左右する大事なイベントと言う事でお父さんとお母さんが過剰なくらい準備をしていたのだ。


 もし準備をしなければ、直ぐに家を出発しても魔法は貰えるらしいのだが。・・・僕としては直ぐに魔法を貰いたかったけど、子供の成長をしっかりした状態で迎えてほしいのか結構時間がかかった。


 「よし行くぞ!」

 「はい。行きましょ」

 

 それはお父さんが張り切っている声だ。だが、緊張しているのか声がこわばっている。それとは反対にお母さんの返事は緊張していないのか、いつも通りである。


 そんな中僕は・・・凄い緊張していた。お父さんとは比較にならないくらい緊張したいるのであった。だって、これからの人生が決まってしまう事をするのだから緊張しない方がおかしい。それに、この魔法全科の本の中で見たある魔法が授けられたら・・・僕はコストを支払わなくてもいいかもしれないのだ。


 だから、その魔法を授けられるように、今は祈っている。・・・・もし授けられたら今までのベッド生活とは違い普通に生きることが出来るかも知れないのだから。


 さあ!行こう!早く行こう!


 ちなみに、魔法を授けられるのは法則性はまだ見付かっておらず本当にランダムだと言われている。なので祈っても意味があるか分からないが。


 僕はその緊張を表に出さないように、今日のために用意してくれた馬車に乗って現地へ向かうのであった。





 そこは空想図書館。

 この世の全ての本があると言われている場所だ。・・この図書館は魔法で出来ていると言われているが、創設500年がたったいまでも無くなることが無い不思議な場所。本来魔法とは術者がいなくなるとこうかが無くなるのでなぜいまだにこの図書館があるか分からない。


 「それじゃ、行ってきな。」


 お父さんとお母さんははその図書館の前まで一緒に来ると、そこに残って僕だけ入る事となった。何でも降知の儀式は子供一人で行わなければいけないらしく、これから先は担当のひとと子供以外は入れないみたいなんだ。


 その事は本で知っていたから、慌てることなく入っていく。だが、僕が行くのは普通の方の扉からではなく、裏口からだ。何でもお父さんが色々手配してくれたらしく、特別制度を適用してくれたんだそう。


 なんでも、僕の様な呪いを持っている人は一般的に非難の対処らしく、普通に入っていくと汚らわしいと追い出されてしまうかも知れないらしいのだ。


 実際に昔の事ではあるが、呪いを貰ってしまった子供が降知の儀式に来た時、その担当の人が、「神の御膳の前にこんな忌子を連れて行くなんて」と、拒否して降知の儀式をさせてもらえなかったことがあったんだと。


 だけど、その行動は全ての人に祝福を与える神のお言葉に反しているとして、大きな非難が殺到したそうだ。だから、そんな事がもう一度起きないように、一部の人に適応する特別制度が出来上がった。


 ちなみに一部の人とは、僕の様に呪いを貰った人や、四肢が欠損していたりする身体的障碍者。他にも色々あるが主なのはこんな感じだ。


 なのでその制度を適用してもらって、僕は裏口から入っている。


 その裏口に入っていくと、そこには人がいた。何も言わず僕はお父さんからもらった制度証明書を見せると、なんでこっちに来たのか分かったのか何も言わずに僕を奥へ連れて行ってくれた。


 その制度証明書には僕が呪いを貰っている事や、どんな呪いなのかが書いてある。なので、何の反応もせずに連れて行ってくれるのだろう。もしここで何かアクションを取られっると、魔力を支払わないといけないから。


 僕はいつもよりもちゃんとした正装を着てるからか、結構足取りが重くなっている。服自体が重いのと・・・その宇久を汚さない層に歩くのがまだ子供の体では難しいのだ。


 すると場所に着いたのか、本が詰まっている本棚が置いてある場所に連れてこられた。魔法全科に書かれていた空想図書館の降知の儀式のやり方だと、大量の本で囲まれている部屋に連れられて大勢の人でやるらしいのだが・・・僕一人で行うからか、目の前には本棚分の本しかない。


 何でもその降知の儀式は絶景みたいなので見てみたかったが・・まあ、残念である。


 「それでは始めさせていただきます。そこでお立ちになってお待ちください。」


 すると、さっそく始めるのか僕に合図をするとその担当の人は腰にある本を取り出して、その一ページから読み始めた。だが、何と言っているのか僕には分からない。


 多分この儀式をするための言葉なんだと思うけど・・・。


 すると僕の予想が合っていたのかその詠唱?が数ページ進むと、本がひとりでに本棚から浮かびながら出てきた。多分魔法だと思うんだけど・・・見ていて幻想的で思わず感動してしまう。


 だが、まだ儀式は終わっていないので待たなくてはいけない。・・・そう言えば、これって魔法なのかな?魔法を授ける魔法って意味が分からないんだけど・・・。


 そう思った瞬間僕の疑問はある事で解決された。


 『存在【神】に対しての干渉を確認。

スキル 制限 の効果により魔力を50徴収します。』


 そう、『制限』の発動によってだ。だが、僕はなんで魔法が授けられるのか知ったと同時にとある事を聞いたせいで思わず身構えてしまった。そのとある事とは、「魔力を50徴収する」と言う表示だ。


 僕が今まで生活している中で一度に50もの魔力が取られることは無かった。そして、前に大量の魔力を取られた時・・その時は保有量50のうち10もの魔力を一度に取られた時なのだが、取られた瞬間、僕は思わず倒れてしまい数日間寝込んでしまった。


 今は魔力量が増えたおかげで10程度を一度の徴収で取られたとしても大丈夫だが・・・今回は一度に2分の1も取られるのだ。1度にそんなに大量に取られたらどうなってしまうのか。


 徴収された瞬間口から血反吐を出して、膝から崩れ落ちてしまった。一度に大量の魔力を取られたおかげで、体が拒否反応を出して臓器が傷ついてしまったのだ。


 僕はその徴収で傷つけられたおかげで真面に立つことが出来ずにいた。体の中が、ボロボロになっているような感覚で、今すぐ意識を落としたい。そんな状態である。


 だが、そんな僕の状態を無視してなのか、担当の人は詠唱を止めていない。お父さんが制度証明書になんて書いたかは知らないけど・・・確かにここでやめてしまうと、もう一度この儀式をしないといけないから、また大量の魔力を取られることになる。


 なので、僕としても早く終わらせてほしいの気持ちでいっぱいだ。


 そしてその気持ちが届いたのか、担当の人が持っている本はもう数ページでわりになりそうだ。


 早く、早く、


 僕の頭の中はその言葉でいっぱいいっぱいになっていた。体は痛いし、一度に魔力を大量に消費したおかげで魔力の感覚が変になっていた。おかげで真面に思考をすることが出来ない。ただ、早くこの瞬間が終わって欲しいと言う気持ちでいっぱいになっている。


 すると、地面に倒れている僕の周りに、さっき本棚にしまってあった中の数冊が空中に浮いて回っていた。だが、その事に気を割けない状態でどんな本が回っているのか分からない。ただ、数冊回っていること以外は。


 「・・・終了しました。」


 すると儀式がやっと終わったのか、担当の人がこちらを向いた。すると僕が倒れていることを知らなかったのか言葉にならない様子で驚いて対処をしようとしていた。


 儀式の途中に僕が倒れてた事は知らなかったのかな?と思ったが、今の反応を見る限り知らなかったのだろう。なぜ分からなかったのかは知らないけど・・・多分集中していたのかな?さっきの詠唱をするのは集中をしなければ行けないのだろう。


 「治療を開始します!!」


 すると、慌てながらも僕の状況を改善しようと何かをしようとしていた。


 さっき儀式のために使っていた本を持って数ページめくった後また詠唱をし始めた。またもや何を言っているのか分からないけど、どうにかしてくれるのだろう。・・・もしさっきみたいに『制限』が発動したらどうしようかと思っていたが、反応する気配はなくそのまま詠唱が進んでいく。


 【神聖術 命の水】


 すると、詠唱が終わった瞬間その人が自身の腕の血管をきり血を流し始めた。なんなんだと思ったが、今の僕は喋れない状態なので何も出来ない。ただ見守っているだけ。


 その人はその垂れ始めている血液を僕の口に垂らし始めた。多分僕のためにやっているのだと思うけど・・・何も出来ない人の口に急に血をたらし始めるのは何をやっているのか分からないから説明してほしいと心の底から思っていた。


 だって、この血液は飲んだ方が良いのかとか・・・そもそも詠唱をしていたりしたから魔法関連の術なんだろう。だからこの人の行動に従えばいいんだろうけど、今の状況は本当に分からない。


 そんな思考が止まる事無く頭の中で回っていると、口の中の血液がそろそろキャパオーバーになってきた。僕は飲まないようにしていたから、当たり前と言えば当たり前なんだけど・・・飲んだ方が良いのかな?


 だって、この人何も言わないから分からないんだよ。・・・しょうがない!飲むか。このまま、口の中で溜めていても何も起こらないだろうから、それに魔法的な物なんだろうし!僕はそう信じるよ!


 僕は決心してその血を飲み込むことにした。だが、案外ねっ転びながら何かを飲むのは難しいらしく、飲むのに苦労する。そのおかげでさっきまでは気にしないようにしていた血の味がダイレクトに感じてしまうし、気管に意気そうでむせそうになるし。


 だけど、僕の考えは合っていたらしく担当の人は早々とうなずいていた。・・・なのでしょうがなく全て飲み干す事にする。これでこの臓器の傷がなおらなかったら恨むからな!と念を送りながら。


 「ゴクン」


 それは僕が最後の一滴まで飲み込んだ音だ。すると、その飲み込んだことが魔法の条件だったのかさっきまで死ぬほどいたかった体の中が回復していくではないか。少しずつではあるが痛みが引いてきて、もう立ち上がれそうなくらいまで回復してきている。


 『【神聖術 命の水】動作および条件の達成・干渉を確認。

スキル 制限 の効果により、魔力を10徴収します。』


 「ふぅ、飲み込んでくれてよかったです。」

 「凄いまずかったですけど。」

 「はは、よく言われます。血の味に慣れている人はこんな所には早々いないですから。」


 すると、もう完全回復をしたおかげで体はばっちりになった。だけど、魔力はちゃんと減っていてさっきの神聖術?や他諸々のおかげで魔力量のそこか見えてきた。確かにここまで負傷している状態からの回復は凄いが、それでも魔力を10も持っていくのは酷くないか?


 だってその前に、神の干渉とか言われて50も持っていかれたんだぞ。流石の僕の魔力量でも無くなる時は直ぐに無くなってしまう。


 それにしても・・・神聖術ってなんなんだろう?魔法とは違うのかな。今度調べてみよ。今この人に聞くのは魔力量的にダメそうだからね。それに今はそれよりも授けられた魔法を知りたい。


 僕はそこで一旦会話を切り上げて、僕の周りを回っていた本を手に取る。今は回ってはいないが、すぐそこに置かれてあった。一冊は古びている本が丁寧に保管されていたんだなと分かる本で、もう一冊は高貴で威圧感のある装飾がされている、一切傷がない本だ。




【行動上限があるミツキくんは最強になりたい】をご覧いただきありがとうございます。もしよければブックマークや評価をしてくださるとうれしいです。


投稿時間 7時&17時で毎日投稿です。

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