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行動上限があるミツキくんは最強になりたい  作者: 人形さん
3章 出会いの始まり~僕に会いたい人は多いみたいです~
49/58

49話目






 49話


「あ!ジェームスくんいた!」


 僕はジェームス君がいると思わしき門の前に行くとなぜか疲れたように座り込んでいるジェームス君がいるので、声をかける事にした。何をしているのか分からないけど……魔法を使用していないところを見ると、もうスタンピードは解決したのではないかと思う。


 まあ……それはキング級の魔物がいないと言う条件があればの話だけど。


 僕はさっきキング級がいるという情報をメソミア王国の暗躍部隊総隊長から貰ってしまったので、そうやすやすと解決するはずがないと分かっている。


 本当にキング級がいるという場合だけど。


「え、、きょ、教授。どうしてここに?」


 ジェームス君は僕がここにいないと思っていたのか、挙動不審になっている。それにその顔は酷く疲れたような感じであり、いつもよりも10歳くらい老けているように感じる。だからこそ僕は気付いてしまった。なんでこんな所で座っているのかを。


 ・・・これは本当にキング級の魔物がいるみたいだね~


 そんな事を思いながらスタンピードを殲滅しに行ったジェームス君にはキング級は解決できないと分かっているので、しょうがないと今回は身を案じる。


「ジェームスくんならスタンピードをもう殲滅出来たんじゃないのかなって思ってね。」


 だけど、今は僕が暗躍部隊総隊長と出会った事をばらしたくない。…これはジェームス君が僕の助手になった理由でもあり、ジェームス君自身飲み込めていないトラウマでもあるからだ。


「…っ!…………すみません。俺の力では解決できませんでした。」

「え!どうしたの?もしかして、キング級の魔物でも出たのかな?」


 この様子だと、本当に思いつめてしまっている様なので早く撤退させてもらいたい。これ以上ジェームス君をここに滞在させたら、トラウマを引き戻してしまいそうだ。だから、少々会話の内容が変な風になってしまうが、僕から情報を引き出そう。


「っ!……はい。…どうしようもなく。」

「……大丈夫大丈夫。ここには僕が要るから、最悪な事にはならないよ!」


 ……ヤバいな。ジェームス君自分の事を追い込みすぎてる。・・・でも、、、キング級がいるとなるとそれはしょうがない。


 思わず涙がこぼれてしまいそうなくらい目を張らしている様子に、僕は一呼吸置き情報を整理する事にした。本当にキング級がいると分かった今、僕がやらなければいけない動きが決まったからだ。


「僕が倒すんだから。キング級を」


 ジェームス君の目をしっかり見て安心しろと念を送る。すると、それが効いたのか体から力が抜けて……そしてその場に座り込んでしまった。安心してしまい、この場が戦場だと言う事を忘れて、子供の様に道の途中で座る。


 でも、それはジェームス君にとって無意識なのだろう。安心しきって力が入らなくなった体はその場からもう動かない。だけど、今はそれでいい。


 だって、

 ジェームス君のトラウマの元凶はそのキング級なのだから。


 これ以上働かせると心が壊れてしまうだろう。


「ジェームス君はそこで休んで僕の雄姿を眺めていな。」

「・・・え・・・あ!」


 何か言いたげであったが僕はわざと無視をして、早く移動をする為にいつもの魔術本を取るのではなく、ポケットから適当に折り曲げられた紙を3枚取り出し、とある魔術たち《・・》を発動する。


 ジェームス君のために早く騎士団の人たちを助けないといけないしね。


【魔術 存在硬化】

【魔術 肉体硬化 待機】


 その魔術を使用した瞬間僕の特別な器官に魔術によって変形させられた第二内魔力が何重にも膜を作り保護をする。それと同様に、僕の体にも第二内魔力によって保護がされた。さながら、絶対に傷つけられたくない物を運ぶ時のようである。


 そして、


【魔術 転移・・


 僕はジェームス君が見せてくれた空間魔術を元に作った魔術を使用した。


「それは!」


 くくく!ジェームス君も驚いているようだ。…この短期間で作るのは少し骨が折れたが、でも、少し興が乗ってしまい止められなくなったんだ。だから、出来てしまった。だけど、前々から一緒に研究をしていたテーマではあったから、出来ないという通りは無いんだ。だって見たのが初めてと言う訳ではないから。


 それでも、たいへんだったけど。


「じゃあ僕は少し行ってくるよ!」


 そう言い僕はその場から消えるのであった。驚くジェームス君の顔をおいて。



 ☆


 空間が裂けた。何もないその場所に亀裂が入り、その中から粒子のような小さい物質が波の様に出てきてその場を埋め尽くした。その様子はまるで何かに浸食されたようであり、キング級の魔物に攻撃されていると勘違いしてしまう程の光景だ。だが、それは一瞬だけであった。


 一秒もしないうちにその物質は集まり、収縮し、そして、人の形になった。


「成功かな?」


 僕だ。

 その亀裂から粒子のようになって出てきたのは、【魔術 転移】によって分解された僕であったのだ。


「だ。誰だ!」


 すると、その場にいた見覚えのある人が僕の方を向いて戦闘態勢に入っている。多分その魔術の様子に驚いてしまっているのだろう。僕もこの魔術を作っていた時は、あまりに非人道的である事からさせ制しているだけで怖かった。


 だって、自分の体を一度分解した後結合するんだよ!怖いじゃん。


 それに、一手でも間違えたり誤作動を起こしたら簡単に死んでしまう。これ以上の危険性が伴う魔術h久しぶりに作った。それも、こんな緊急で作るなんて、。


 まあ、でも、ちゃんと計算して……そのうえで【魔術 存在強化】【魔術 肉体強化】を使用したかrあ大丈夫だとは思っていたけど。


 ちなみに、なんでその2つの魔術を使っていたかと言うと、この【魔術 転移】によって空間の狭間を通り抜けるためだ。


 空間のはざまと言うのはこの世の物理法則とは結構仕様が違って、何もしないでそこに入ると肉体が分解されてしまうのだ。ちなみに、僕がさっき狭間から出てきた状態は分解されている状態だ。


 で、その状態のままでも生きるために【魔術 存在強化】を使っている。魂と言われる特別な器官に魔力を干渉させて空間の狭間でも自己の形状を保てるようにする。


 まあ、でもその時は意識とか無かったし死んでいると言っても過言ではないかも知れない。でも、その後【魔術 転移】の効果によって分解された体を運んで規定の場所で狭間から出ると、その場所に分解されたまま出てくるのだ。


 で、そのあと【魔術 肉体強化】を自動活性化させると、僕の体を記憶した魔力が体の物質を元通りにするんだ。


 ・・・結構怖いでしょ?


 でも、僕の中では結構画期的な移動方法だ。だって間違えさえしなければどんな距離でも一瞬で移動できる。もちろん狭間の中で移動する距離はちゃんと計算しとかなきゃいけないけど、それは何とか出来る範囲だ。


 僕はちゃんと成功した事を確認できた事を知ると思わず顔から笑みがこぼれてきた。だって、これまでの魔術を研究をしてきた集大成のような物なんだから。・・・まあ、ジェームス君の研究結果を取ってしまっているから僕の成果とは言い難いかもしれないけど。


 それでも、空間の性質とかを調べるのは苦労したから今は一安心している。


「そこを動くな!」


 だけど、そんな事をしている場合ではなかったようだ。目の前ではギルド長が武器を持って僕wおけん制していた。……前にあったk十があるからもしかしたら覚えていないかな?と淡い気持ちで転移してきたんだけど……覚えていなかったみたい。


 残念だな~。

 そんな気持ちでギルド長の前に堂々と立つ。ここで腰が引けてしまっては、好きとみられて攻撃されてしまうかも知れないからね。


「え~僕の事覚えていないの?」

「・・・誰だ。」

「……はぁ。。まあ、合ったのは緊急の時だったし一瞬だけだもんね。それなら際ど自己紹介をさせてもらうよ。僕は第一魔法学園特別科所属ミツキ・アトラスコールだよ。以後お見知りおきを。」

「!!」


 すると、僕の事を思い出してくれたようでギルド長は驚いたようだった。直ぐに武器を下げて、長という立場なのに、下に出るように頭を下げてくる。こんなに感謝をされるほどだったのかと思わず感動をしてしまう。


 だけど、今はそんなことしている時間はない。


「でさ、聞きたい事が有って来たんだよね。」

「いくらでも聞いてください。」


 ギルド長は親切にしてくれる。


「騎士団の事を聞きたくて……いま突撃しているあの人たちってこの国的にはそのまま放置した方が良いの?」


 だから聞いてみる事にsチア。あの暗部の総隊長が国の危機だとかほざいていたので、少し気になったのだ。だからそれを知っていそうなギルド長に少し話を聞きたくて来た。もしあの騎士団の人たちは放置した方が良いだとか、見殺しにした方が良いだとかの理由があるのならば、この国のためにそうする。


 一番はメソミア王国が滅亡しないように立ち回る事だ。


「……出来ればでいいですが、死人を出さずに撤退させたいです。・・・この突撃は少々無策に飛び込んでいると言う部分はありますが……このスタンピードで時間稼ぎをしたと言う実績を詰んでおきたいのです。

 ですが、それをするにも今の騎士団には実績があまりにもないのでここで、死人が出てしまうと騎士団が撤廃させられてしまいます。なので…出来ればもう撤退させたいと思っています。」

「・・・ん~」


 あ~めんどくさい。でも、なんで暗部が僕をサポートに回させてキングを討伐させようとしていたかは分かった。つまり、騎士団に実績が欲しかったのだろう。だから、かたくなに僕を主戦力として数えなかった。


 ・・・これは総隊長に悪い事をしたな~。そんな事だったら言ってくれればよかったのに。

 そしたら魔術式くらいは渡したから。…いやいっちゃいけないんだよな。あくまで僕は自分からサポートに回った風にしたいんだと思うし、それにこれは政治だから言質をとられると………みたいなのもあるのかも知れない。


「ありがと、ギルド長は休んでいていいからね。」


 なので、僕はこのあとの方針が決まった。正直ややこしくてめんどくさいけど、それでも、それをしなきゃ今後、この国がやばいことになってしまうだろう。


 それなら多少のめんどくさいは跳ね除けてやってやるさ。


 そう思いながら僕はギルド長がいる門から飛び降りて魔物がいる前線へ突撃をすることにした。飛び降りるとき、相乗以上に距離があったから、ヒアっとしたが魔術があるので平気!


「魔術 肉体強化」


 その魔術を発動すると、今度は第二内魔力ではなく魔術によって変質させた第一内魔力が体の表面のみならず内側まで全てに侵食した。するとどうなっただろうか。


 門から落下した僕は地面に接触したと同時に重低音が響いた。それは何も対策をしていない人ならば死んでしまうくらいの衝撃である。


 だけど、僕は大丈夫。

 肉体強化によって強化された僕の体はその衝撃に臆することなくしっかりと立っていた。怪我は一切見られない。


 ……これが肉体強化の一端だ。もちろんこれくらいなら肉体硬化でも出来たと思うが、あちらは体の形状を固めること以外はあまり役に立たない。


 だから、使用した瞬間僕は動けなくなるし、喋れなくもなる。第二内魔力は変化を嫌うんだ。


 でも、だからといって肉体硬化が弱いというわけではなく。さっきの転移の時みたいに体がばらばらになっても魔力さえあれば元通りにだってなれる。それは肉体硬化にしかない特性だ。


 それに、肉体強化で使用している第一魔力は使用用途が多いせいであまり使用したくないんだ。この第一内魔力がなくなったら使用できない魔術は他の魔力を使う魔術に比べて歴然として多い。


 まあそれほど第一内魔力が使いやすいという事はあるんだが。


 ……僕はしっかりとちゃんくちできたことを確認すると、そのまま肉体強化を解除することなく突撃していく。


 できれば前回のスタンピードのように広範囲殲滅魔術を使いたいんだけど、それをしようすると、残り少ない僕の魔力がすぐに切れてしまう。そんなことをしてしまったらその間の魔物の対処はどうするんだという話になる。


 だからできるだけ長く時間をかけてこの戦いを進めたいのだ。できれば僕の魔力がそこをつかないように。


 それに、魔力切れにならないのであれば、持ってきた魔力回復薬がたくさんあるのでそれを使える。


 もちろん一度に多くは使えないので時間をかけてではあるが。まあ、そんなわけで今回は省エネモードで行かせてもらう。


 そう言いながら僕は魔物の中へ突撃していった。





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