48話目
48話
「報酬は」
僕はその事を聞いた後まずはと言う事でそれを聞いた。
「確かに僕はそのキングを倒すことが出来る術を持っている。だけど、それを使うには大量の資源と大量の犠牲が必要だ。生半可な報酬では動く事は出来ないよ。」
僕の魔術の中には、前回のスタンピードでつかった【魔術 絶対零度】よりも強力な魔術がある。だけどそれを使うには……普通の報酬ではダメだ。
「・・・いや、今回ミツキ教授にお願いしたいのは討伐では無いんだ。」
「?」
「お願いしたいのは僕らがキングの魔物を倒している時にサポートをしてほしいんだ。」
僕はそのことばに驚いてしまった。
僕の予想とは違った物であったからだ。そもそも前回のスタンピードはこの国では対処する事が出来なかったから僕が殲滅したのだが…それが出来ない国にキング級の魔物を倒すことが出来るほどの戦力がいるのだろうか。
それに、サポートをしろだなんて……なんでそんな面倒くさい事を僕がしなくてはいけないのだろうか。そもそも、僕はこの国に対して神様の事以外は興味が無いので、教会さえ残っていればいいのだ。たとえ、国自体が無くなっても良い。
だから、わざわざサポートという立場に回りたくはないのだ。
「嫌です。」
だから、ちゃんと行ってやった。
「なんでなんだい?サポートだけやってもらえればイイんだよ?もちろん、主戦力として計算に入れているわけではないから」
「それが嫌なんです。僕は自分ひとりで解決できるのであれば、手を貸しますが、足手まといを率いて動くのは苦痛でしかない。」
「・・・そうかい、この依頼を受けてくれれば君の知名度を上げることを保証しようと思ったんだけど…」
それは僕が知名度を上げてほしいと、勘違いしている。・・・僕はこれ以上知名度をあげられると、『制限』によって、死んでしまうのでそれは僕にとってデメリットなのである。
でも、それを知らないようなので、僕はわざわざ言わない。だって、それを言うことで僕にとってのメリットを提示できるとは思えないから。
たとえ、国の力を使ったとしても。
「…僕もう帰っていいですかね?これ以上話していても何もなさそうですし。」
「・・・」
すると、総隊長はだんまりになってしまった。これでは何も言うことが出来ないだろう。
そう思い、かえることにした。
そんなとき大きな声で僕を引き止めてきた。
「まて!!」
その声は先程までの余裕ある、ものではなく焦りが読み取れる。なぜこんなに焦っているのかわからない。
でも、その顔は怖いものであった。さっきの怖いとは一風変わった強面である。だから僕は思わず止まってしまった。
なんと言われようとも止まらないで帰ろうと思っていたけど、足がすくんでいる。僕自身人から怒鳴られる経験があまりないので、しょうがない。でも、それは教授としての姿としては見るに耐えなかった。
「何ですか?」
でも、それ以上は無様なことになりたくないと、気を張って対応する。幸いにもその姿は我慢をしているようには見えていない。
「相応の報酬はちゃんと出させてもらう。だから、サポートに回って欲しい。」
「……いやだと言っているでしょう?なんでそれが分からないんですか?」
「…」
だんまりだ。これではさっきと同じである。…こんなわがままのような事を言われるとは思ってもいなかったが…でもそれはどこまでも、考えた末の言葉だということは理解できる。だが、サポートに回る事は僕は出来ない。
「そうですか。だんまりですか…」
僕はその姿に失望している。だって、何か他の条件を出せばいい物を一度断られた事を再度提案してくるのだ。これが、総隊長の姿なのか…これがさっきまで子億王の代わりに発現をしていた姿なのか…そういう風に失望する。
例えばだが、これがアルンガルド王国第一騎士団団長 ヘレクス・アルカリオおじさんならば、もっといい案を出してくるだろう。
そもそもだ…
「そう言えば……あなた方は僕にサポート能力があると勘違いしていませんか?」
「…」
「僕に誰かをサポートしながら戦闘をする事なんて出来ませんよ?それは、魔術的要因でもあり、研究が進んでいない事も挙げられますが。」
そう、僕はサポートをするということが苦手なのだ。今言ったように、魔術的にダメだと言う部分はある。これはまだ魔法を解析し来ていないからであり、それ用の魔術があまり無いから。そして、一番は今言っていない、呪いに原因がある。そう【制限】である。
僕にかかっている【制限】は僕から他人に干渉すると、その分だけ魔力を取られてしまう。それは魔力を主軸に戦う僕にとってみれば致命的であり、それなら、サポートなんてやらない方が取られる魔力量が減る。
だから、サポートなんて事はやりたくない。さらに言えば、誰かと共闘するということすらやりたくない。
もし、魔物と戦う時隣に誰かがいると、それだけで魔力が取られてしまうからだ。
「分かっている!…だけど、お願いしたいのだ」
「はぁ?」
だと言うのに、この総隊長は僕にサポートを強要してくる。これには流石に意味が分からない。
「・・・再度言わせてもらいますが、僕にはサポートできるほどのキャパはありません。自身で解決をしてくれるとありがたいです。・・・それに、僕はなぜサポートが出来ないかを開示させてもらいました。それなのになんで強要してくるのですか?
出来ないと言っているでしょう?」
「…今のメソミア王国は分断の危機にある。それを繋ぎとめるにはメソミア王国の騎士団がこのスタンピードを止める以外方法が無い。だから、ミツキ教授に手を貸してもらいたいんだ。」
・・・めんどくさいんだけど。
でも、これでなんで僕がサポートに回って欲しいかは分かった……まあ深い所までは分からないけど、それでも、なんとなくは理解できる。
権利とか、そう言う事なんだろう。…誰が解決をしたのか、とか、誰がトップなのか?とか。だから、さっきこの暗部の総隊長が国王の代わりとして発現が出来たのだろう。本来は出来ないはずなのに、この分断の危機に陥っているせいで権利の詳細が散らばってしまっている。
めんどくさ
でも、だからこそ、僕はどうすればいいか分かった。先までは僕の良心が何とかしてあげた方が良いのではないのか?と囁いていたがその必要もなくなったんだ。
「ご説明ありがとうございます。ですが、今回はご希望に添える結果を出せないと判断させてもらい辞退させていただきます。今後何か有りましたらその時は手を貸せるよう精進していきます。ありがとうございました。」
僕は適当に理を入れて立ち去るのであった。今回は止められることが無いようにゆっくり行くのではなく、早歩きでその部屋から出ていく。幸い、そのドロドロの利権争いに巻き込まれないように、断ったので止められはしなかった。
まあ、総隊長さんは頭を抱えていたけど…でも、流石にあの誘い方はダメだよね~。たとえ、上の立場としてふるまわなくてはいけないとしても。
・・・ジェームス君の所に行こ。本当にキング級がいるのだとしたら、何とかしないといけないし。
そう言い僕は懐から魔法式を取り出し、ゆっくり歩いて行くのであった。
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