47話目
47話
連れて行かれたそこは、薄暗いバーの地下で会った。爺さんは僕を連れて裏路地にある気味が悪いバーに連れて行き、変ににぎわっているそこを通り抜けて地下へ歩いてきた。このような雰囲気なので特別な合言葉なんかをいうのかと思ったが、そう言う事は無く完全に顔パスである。
でも、こんな裏組織的な場所に来た事は無いので心のどこかで子供心が興奮している。さすがメソミア王国の暗部である。この爺さんで気をそがれていたが、それらしいことをやっているみたいなので、割と楽しい。
「こちらです。」
そこでやっと口を開いたと思うと、爺さんが手を刺し伸ばしたその先には扉があった。この長い廊下の先には取らピとしか思えない扉がポツンと鎮座している……なんかこれはあんまりだな~。
そんな事を思いながらもその扉には魔力的作為は無さそうなので僕はうなずいて普通に入る事にする。
この闇感溢れる雰囲気に侵されたのか僕も静かである。
トントントン
僕は行儀よくその扉ノックをする。すると、その扉は中に何か入っているかのように途中で音が阻まれた。多分中には物理魔法を防ぐために硬い物でも入っているのだろう。この扉を作った人は警戒心が合って良い発想をしていると思いながら僕はノックを諦める事にする。
でも、信頼を得るためにはこういう所をちゃんとしないといけないよね。と、思いながらも僕は全然信用されたいと思っていない。・・まあ日常的な癖である。
「どうぞ。」
すると、僕の予想とは反して音は聞こえたようで扉の奥から声が聞こえた。その声は緊張感があるが優しく、暗部の人とは思えないような声である。こんな声で喋りかけられたらただの優しい人で、警戒なんてできないだろう。
「失礼します。」
普通の扉より少し重い扉の先にいたのは…その声に合った容姿をしている優しそうな男性であった。少し中性的な顔をしていて、だけど、男性だと分かる。そんな人。
普通に街中にいてもカッコいい人だなで終わりそうである。
「ミツキ教授、来てくれてありがとう。私はメソミア王国暗躍部隊総隊長 ア・ル・ランド・ラ・ア・ミラミレルと申します。」
「うんよろしく。」
僕無礼だと分かっていながらも、少々荒い言葉で返事を返す。まあ、声は僕が怒っていると言う示しと、依頼を受けるのは僕が決める事なんだと言う気持ちを伝えるためだ。
「それで、この爺さんが突然依頼をうけてくれ~っていてきたんだけど、何の依頼なのかな?」
僕は早速だが、本題に入る事にした。そもそも、僕は早くジェームス君が見つけてくれた空間魔術の解読を進めたいので時間をかけたくはないのだ。それに、僕自身依頼を受ける気があまりないので、多少荒く受け答えをしても良いと思っている。
「ははは、そんな急がなくてもいいじゃないかい?少し雑談でもしたいのだけど。」
だけど、その暗部総隊長さんはお話をしたい気分らしい。
「ん~別にいいけど、何か話す事はあるの。」
「そうだね。……まあ、まずは前回のスタンピードを解決してくれた事を私が国の代表として感謝をさせてもらいたい。ありがとう。」
「まあ、別にいいよ。そっちも知名度を上げてくれたみたいだし。」
っち。この人、自分がどれくらい凄いかをさっきから自慢して来るんだけど。なんで暗部の総隊長が国の変わり…つまり国王の代わりに感謝をしているんだよ。……普通そんな事をしたら、反逆で捕まるだろう。
それにこの場は、暗部総隊長として名乗っているわけだから、公式の場なんだ。だから、下手なことは言えないと思っていたのに。
「ええ、ミツキ教授はこの国の英雄ですから。」
その人は悪びれず当たり前のように返事をする。その姿はひりきれているようにも感じるが、どこか狂気を感じる。この人の近くにはいたくないとこおろから思うような。。。そんな感じ。
見た目は普通の人なのに、発現の一つ一つは強く凶器で・・・だから、総隊長と言う立場になったんだと良く分かる。それに、暗部の総隊長と言う事だからなのか……アルンガルド王国第一騎士団団長 ヘレクス・アルカリオおじさんとはまた違う威圧感を持っている。
騎士団と暗部ではここまで違うのかと驚愕する。
「そんな話をしたいんじゃないでしょ…早く本題に移ろうよ。」
だから焦る。もしかしたらこの雑談のかあんで何かしらの現地を取られてしまっているのかもと、もしかしたら言ってはいけない事を言ってしまっているのかも、と。それがその人には出来そうだから、、、怖い。
「そんなにせかすなら、良いけど……私はもう少し話したかったんだけどね。」
「僕はやりたい事が有るから早くしてほしいよ。」
その様子はまるで猿と犬。犬猿の仲と言えるような空気である。
「それなら本題に入ろうか。今回私がミツキ教授に出したい依頼なのだが……今回のスタンピードを制圧する為に手を貸してほしいんだ。」
「・・・どう言う事?スタンピードにはジェームス君が行ってくれたじゃん。」
僕はその依頼の内容があまりにもジェームス君を舐めているようで嫌悪感を示す
さっきここに来る前に爺さんかrあ言われたあのジェームス君を舐めているような言葉。あれは爺さんの独断と偏見だと思っていたのだけど……国全体の共通認識なのかもしれない。
それはジェームス君を近くから見ていて、そして助手と言う大事な立場にしている僕からしたら憤怒ものだ。そもそも、目の前の総隊長はジェームス君が僕の助手だと言うことは知っているはずだ。だって、前回スタンピードを治めた時、僕はジェームス君宛てに来た依頼経由で参戦した。
だから、あまりにもおちょくりすぎている。
「もしかしてさ、僕の事もなめてる?あんまりイラつかせないでほしいんだけど。」
ただ、僕は口が達者な人と討論できるほど、語彙力がある訳ではない。だから、僕はそれに対抗するために、戦いの次元を一つ下げて僕に合わせてもらうようにする。
暴力だ。
僕はその言葉と共に普通の人にとっては莫大と言える量の魔力を放出する。その魔力はこの部屋にいる人にとっては息苦しい程の威圧感として捉えられるだろう。もしこれ以上おちょくる用だったらここを壊してやるという警告として。
「ああ、すまない言葉足らずだった。」
だけど、そんな中でも総隊長は顔色一つ変えずに、返事をする。それは慣れているのか、もしくはその魔力に対して毛ほどにも脅威を感じていないのか。僕にはわからないけど、仕掛けた僕が慄いてしまった。
やっぱりこういう業界人とはあまり話したくない。
「確かに普通のスタンピードならジェームス…アルトラでも大丈夫だろう。だけど、今回のスタンピードは普通の物とは少し毛色が違うみたいでね。」
「……ジェームス君でも対処できないって何?そんなのキング級の魔物位しかありえないよ。」
「そうさ!!私が仕入れた情報ではこのスタンピードには長がいるみたいなんだよ。それが…魔法を使う魔物見たいでね。」
「・・・!!」
それには思わず声が出なかった。だってキング級の魔物なんているとは思わなかったし、それにその魔物が魔法を使うとなるとなおさらだ。そんな魔物がいるのならば・・・スタンピードを対処しようと行ったジェームス君にはどうにもできないだろう。
「だから、私達メソミア王国はミツキ・アトラスコール教授に依頼を出したい。」
【行動上限があるミツキくんは最強になりたい】をご覧いただきありがとうございます。もしよければブックマークや評価をしてくださるとうれしいです。
投稿時間 7時&17時で毎日投稿です。




