4話目
4話
それから6年後。俺は7歳となった。
「ミツキ!降りてこい、稽古つけてやる!」
この声はお父さんだ。お父さんはこの国の門番をやっているみたいで、戦闘に関してはプロフェッショナルだ。だからか、よく俺に稽古をつけてくれようとしてくれるのだが。
・・・ただ、俺を稽古に誘っている最大の理由は・・・貧弱なことにあるだろう。
俺は生まれてこの方、マトモに動いたことがない。・・・いや、言い方を変えると動くことができないのだ。
なぜなのか?
至って簡単な理由だ。・・・動く動作は魔力コストがバカ高い。ただ、前にまっすぐ歩くだけならいいのだが、方向を変えたり、止まったり。。。そんな事を繰り返していると、今まで鍛えてきた魔力もすぐになくなってしまう。
だから、できれば動きたくないのだ。
・・・ただ、お父さんは動かない俺を心配して、読んでくれているとわかっているから、断るのは心苦しい。
はぁ、今日は稽古をするか。・・・他の行動は制限を制限しなければいけなくなるけどしょうがない。。。まあ、お父さんの稽古はためになることが多いからたまにはやりたいと思っていたから。
俺は考えた末に、お父さんの稽古をする事にした。なので、今日は参加すると言う事を返事しなければいけない。普通に動いて、返事をするにはコストが高すぎるのでどうにか工夫をして返事をしなければ行けないのだが・・・その方法として、いつも使っているものがある。
それが
『魔力投射』
俺は自分の魔力を体の外に放出して、それを針状にすることで空気抵抗を減らしお父さんの目の前まで操作しながら発射した。
この方法はなぜか【スキル 制限】の効果で魔力を取られないのだ。・・・ただ、なんで取られないかある程度考えが付いていている。それは、肉体的に動いていないからだ。
この【制限】のスキルが反応するときは必ず、俺が動いたときで合った。反対に俺が何か考えていた時は発動していなかった。なので肉体的に動いた時のみ発動するのだと判断している。
じゃあ、なんで『魔力投射』には反応しないのか?それは・・・多分だが、魔力を肉体的な物質と認識して居ないので無いだろうか。これは結構前から、、多分6年前に魔力を動かせると分かった時からの疑問なのだが。。
まあ、魔力に【制限】は反応しない。と言う事だけ分かってくれればいい。
なので、俺が普段生活するときは【制限】のコストより低いように、魔力を使っている。・・・ここで一つ言いたいのだが、、魔力に反応しないと言っても、魔力は使ったら減るのだ。だから、コストは取られない!!と無差別に使うと、どっちにしても魔力切れになって気絶してしまう。
だから、魔力の管理は結構大切なのだ。
時には【制限】の方がコストパフォーマンスが良い事もある。
まあ、なので使い時は考えた方がいいんだよね。
「ミツキ!早く来いよ!」
お父さんにはちゃんと伝えられたみたいなので、準備して行きますか。
『【起きる】動作および干渉を確認。
スキル 制限 の効果により、魔力を1徴収します。』
『【物質 布】に対しての干渉を確認。
スキル 制限 の効果により魔力を1徴収します。』
『【立つ】動作および干渉を確認。
スキル 制限 の効果により、魔力を1徴収します。』
『【物質 床】に対しての干渉を確認。
スキル 制限 の効果により魔力を1徴収します。』
『【歩く】動作および干渉を確認。
スキル 制限 の効果により、魔力を3徴収します。』
はぁ。。なんで歩くだけでこんなに魔力を取られるかな。・・・今日はもう座れないな。
俺は稽古の準備をする為、渡されている服に着替える。この服は特別な素材なのかすぐ乾いて汗を汗をかいたりする時にはもってこいだ。・・結構前にお父さんから稽古をする為に貰った。
なのだが、たまにしか使わないので少し罪悪感がある。
『【物質 服】に対しての干渉を確認。
スキル 制限 の効果により魔力を1徴収します。』
『【物質 服】に対しての干渉を確認。
スキル 制限 の効果により魔力を1徴収します。』
あ~ドンドン魔力が無くなっていく。どれだけ頑張って魔力を増やしても足りないんじゃないかと思うくらい消えていく。ちなみに現在の俺の魔力量は100くらいだ。
だからぼーっとしていると直ぐに無くなってしまう。・・・今使ったのは8で、その前に少し使っているから、もう10分の7をきっている。今日はまだ夕飯があるから使い切らないようにしなきゃいけないから行けないんだよな。
・・・よし、着替えれた。寝ぐせは、、いっかな。どうせ髪型なんて気にならないだろうし。行こう。
☆
は~い。お父様来ましたよ!結構沢山のコストを使ったので、きついです。
俺がその訓練場に来た時、お父さんはもう準備運動を始めていた。
「お、ミツキ来たか。じゃあ、まずは走るか」
その訓練場は、お父さんが所属している騎士団の物だ。だが、あまり使われていないから・・・と言うか修復が困難な程に壊された為使用されなくなった訓練場だから俺も使わせてもらっている。
何でも修理費用がバカ高いらしく、それなら新しい場所に作った方が安くなるから修理していないとのこと。それに、この訓練場を直そうとしたらこの周りの交通が止まってしまうから、やろうにも出来ない。
そんな不良在庫の様な場所なんだ。
だから、下っ端のお父さんでもこの場所の使用許可を取れたらしい。・・・使用許可を取れたはいいが、ここって修理しなければ行けない状態だから、、結構ボロボロなんだよね。だから、凄い気を付けて走らないと怪我をしてしまいそうになる。
まあ、そんな事は分かって来ているので走るが。
俺はお父さんの言葉に返事をせずに訓練場に入ると走り出した。荷物はコスト削減のため何も持ってきていない。もし持ってきたら、置くのに魔力を割かなければ行けなくなる。
『【走る】動作および干渉を確認。
スキル 制限 の効果により、魔力3を徴収します。』
・・・そう言えば、なんでお父さんに返事を返さないかと言うと、話すのにも『制限』が発動してコストがかかるからだ。ただ、コストが低ければいいのだが・・・話すだけで2ものコストを取られる。
それにそのコストは一度声を出すのをやめると、もう一度コストを払わなければいけない。だから、一度の会話で10~20もの魔力を取られてしまう。だから、話さないのだ。
・・・それにお父さんは俺の、この『制限』を知っているから話さないことくらい何とも思わないだろう。もちろん声を聞きたいと思っているかも知れないが、今は指導してもらう為に訓練場に来たんだ。
声を出してしまったら、反対に叱られるかも知れない。それくらいお父さんは動くことを大事にしている。それは、騎士として活動しているからだろう。・・・もし動けなかったらどうなるか。もし走れなかったらどうなるか。
それはこの世界にいる、魔物から人を守る人だからこそ重要視している。
魔物は前の世界の時によく見ていたラノベで出てきたような生き物と言われているが。。。俺は魔物を見たことが無い。何でも街の中にも無害な魔物はいるみたいなんだが、、知能が人間よりも低い見たいなので・・・もし俺に触れられるとそのまま気絶する以外無くなってしまう。
触られたら『制限』が発動するし、俺が何かしようとしても『制限』が発動するしで、お父さんとお母さんが意識的に遠ざけているみたいなのだ。
まあ、少し見てみたいと思うところはあるが、触られるのは嫌なのでありがたいと感謝している。
・・・そんなこんなでもう30分くらい走ったかな?いつもなら、ここらへんでいったん走るのは止めてお父さんの稽古に入るのだが。
「まだ走るか?」
俺は肯定の意思を込めて『魔力投射』を父さんの前に投げる。
『制限』のスキルは行動の初めにだけ魔力を徴収するから、いったん止めると無駄に魔力を取られる。
それに今日はいつもよりもここに来たのが早かったので時間は沢山ある。あと・・・なんか前回よりも体力が増えたのかいつもよりも走れる。30分はこのスピードを保てるような気がしている。
そこで俺は気が付いた。・・・今の俺って貧弱じゃ無くね?
前世では学生だったので走る機会が多かったが、そのときは30分もかからず疲れていたとおもう。それなのに、貧弱と言っていた俺はその結構だった時よりも走れている。
もしかして、今の俺って健康なの?
確かに、最近はたまにではあるがお父さんに誘われて稽古をしてもらっている。だから、体力が付いたのか?・・・でも、運動量的には転生前より少ないと思うのだが。。。もしかして、筋肉が付きやすいとかそう言う体質なのかな?
稽古を始めてから貧弱とは言い難い筋肉は付いているなと思ってい掃いたが・・・でも生活的には貧弱になるしかない様な事をしているんだよな。毎日布団の中に籠って、隙あらば魔力を使い切って気絶して魔力量を増やすことに専念している。そんな毎日を送っているから、貧弱だと思っていたんだが・・。
「分かった。それなら好きなだけ走っていていいいぞ!」
お父さんもその事を分かってくれたみたいで、許可をくれた。
心の中ではありがとうと返すが、喋ると『制限』が発動するので言葉を返すことは出来ない。
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