38話目
38話
僕は深い眠りについていたような意識を起き上がらせ瞼をあけるとそこは、神様の試練を授かるために儀式をしていた純白の部屋であった。戻ってきたんだなと言う安堵はどこか僕を安心させるものであり、あの神様がいるところとは違って居心地がいい。
神様が意識的にやっているのか分からないが、あの神様がいた場所は神様の威圧感で埋め尽くされており、あまり長い時間その場所にとどまっていたら意識が飛んでもおかしくないような場所であった。
だから、僕は戻って来れた事に安どしている。だけど、それでも神さんと会話をしている時間でその、威圧にある程度は慣れてしまったのか、この部屋の空にが凄い軽い物に感じる。
清々しいと言うか、軽々しいと言うか。一番に言える事は僕は神様と出会う時と比べて心臓が強くなった。今の状態ならお父さんに怒られても怯まない!
そんな意気込みが自然と出てくるその時、僕が起き上がったことに気づいたのか試練をやってくれた女性が僕の事を見ていた。その目は僕が倒れた事に対してそこまで違和感を持っていないようなので、倒れること自体は珍しくないのだろう。
「おはようございます。」
ほら。僕は予想通りと言えばいいのだろうか。助祭さんは当たり前のように僕に挨拶をしてくれた。これは僕が倒れた事に関して目新しい事ではないからだろう。自分自身この考察はもっぱらはずれていることではないと思っている。
「・・・今は何時ですか?」
だが、そこ挨拶には応えることはせずにまずは時間を聞くことにした。僕がこの試練を受けた時間は陽が沈む少し前だったから、気絶・もしくは倒れていたことを加味すると、数時間は立ってしまっているだろう。
もし、そんなに時間がたっているとしたら、今雑談をするべきではないのだ。だからまずは、時間の確認をさせてもらった。
「2時間・・・3時間は立っていないくらいですかね。」
すると、助祭さんは直ぐに時間を確認してくれた。それは2時間と言おうとしていたが3時間に訂正している。
多分2時間30分と少しと思っていたらいいだろう。・・・そんな時間が経ってしまっているなら僕は急がなければいけない。
助祭さんには試練の儀式をしてくれたことを感謝して、少しのお金が入っている包みを渡すと、走って外に出る事にした。急いでいるのはとある理由があるからだ。
僕は慌てながらも急ぐ必要はないと思い、走ろうとしていた足の速度を落とし、その道端にある看板をよーくながら歩いて行く。・・・僕はまだ宿を仮れていないのだ。もう陽が沈んでしまっているので出来れば早くどこかに入れないと受付を閉め切ってしまう。
なので、僕は少し焦っているのだ。出来れば試練を受けることが出来た事や、神様に合った事の余韻に浸りたいと思っているが、それは後でも出来ると僕の自制心が叫んでいるので、先に宿を探すことにした。
確かに僕自身は野宿の経験は乏しく、まだ街中であるから経験としてわざと酒場に入って一晩を超すなんて言う事もやってみたいが・・・僕は今日でそれなりに魔力を消費してしまったので、早く寝て魔力を回復させたい。
人間に備わっている内魔力は睡眠以外での回復方法は今のところ、ミツキが開発した魔力回復薬以外ないと言われている。なので、魔力が生命の源と差支えない人は早く寝なければいけないのだ。
それに、夜のメソミア王国なんて怖いったらありゃしない。昼間でさえ盗人がいたのに、夜になったら何が起こるんだか。
僕はそう思い、一つ忘れていたことを思い出した。
「お金ない」
そう。僕はその盗人にお金を一緒に盗まれてしまっているので宿に泊まる分のお金が無いのだ、だから・・・宿に泊まれない。。。どうしよう。
正直、宿に泊まらないと言う選択肢はない。それはさっきも思った通りの理由もあるのだが、一番は魔力を回復したいから。もし明日この国から帰るとしても魔力が無かったらそんなことは出来ないし、それにこの国に滞在するとしても僕の正体がばれた時の対処が出来なくなる。
だから、宿に泊まらないと言う選択肢はなかったのだ。
だが、今の僕はお金が無いので・・・どうしましょうか。
途方にくれている僕は、仕方ないと思いながらもなぜあの時もっと警戒をしていなかったのか自分を問いただすように、悩ましくすぐそこの噴水の縁に座った。
その縁は噴水の水しぶきで少し湿っており、僕の服の縁と接触した部分は濡れてしまった。だけど、そんな繊細な事にかまうことは出来ないでいた。今はどうやって寝るかを考えないといけないのだから。
「はぁ~。」
そんな感じで途方に暮れる僕のため息が聞こえたのか、その心の隙を付こうとして近寄って来る売春嬢を一蹴して追い払らう。「金が無いから無理」と言って。
ある程度身なりがイイからかそういう人間が頻繁に近寄ってきて、うっとおしい。もう夜の街になんて出たくないと心に決めるほどだ。
そんなふうに思考に励むことも出来ないでいる中、またもや僕に声をかけてくる人がいた。
僕はまた営業系の人だと思い、払おうと思ったが、そちらを向くとそこには昼間にご飯を奢ってくれたおじさんがいた。
どんな運命だろうか。
「お!こんなところにいてどうしたんだ?」
おじさんはそう僕にしつもんを問いかけてきた。
僕はさっきまでのど読んだ空気が気分が切り替わり、知っている人がいるからか心が軽くなっていた。
それには、もしかしたらこのおじさんなら、宿を紹介してくれるかもしれないという淡い気持ちあったからだと思う。
「宿に泊まるためのお金がないことを忘れていて。」
なので、僕は今の現状を話すことにしたのだが、僕のその一言で現在の状況が理解できたみたいだ。
すると、おじさんは何かを探すように、ポケットを探っていた。何を取り出すのかと思ったが、うまく見つかららないらしく手間取っている。
だけど、見つかったようでポケットから手を引き上げると、そこには一枚の紙をつかんでいた。
座っている僕からはその紙になにが書かれているのかわからないけど、ポケットの奥底にあったからか、ぐしゃぐしゃになってしまっている。
僕自身それなりに持ち物とか、整理する方だからその折れ曲がってしまっている紙を見ると少し嫌悪感を抱いてしまうんはしょうがないだろう。
「お!あったあった。」
おじさんはその取り出したものが求めていたものだった御台で、丸めたちり紙のような状態から広げていた。
するとそこには・・・と、イイたいところだけどやはり僕には見えなかった。
だけどおじさん的にはその紙は僕を救う一枚と思ったみたいで一生懸命破れないように紙を広げている。
「ほら!これを持ってギルドに行ってこい!」
渡されたその上には「寝床」と大きく書かれている文字が最初に目に入り、その横にはギルド無料券と書いてある。
つまりだ、この紙はギルドの寝床を無料で使用することができるようになる件ということだ。
おじさんはその権を僕にくれるというみたいで、同仕様もなくなっていた僕はありがたく受け取った。
「ありがとうございます。」
「イイって、俺はもう家を持っているからな。使うことはなかったんだよ。」
このおじさんは自分の家を持つことができるほどの人なんだと驚いた。だって、その見た目はそこらへんにいる普通のおじさんでその日暮らしで、安めの宿に泊まっているような風防なのだから。
だから、一見家を持つことができるほどちょきんができているようには見えなかった。
「まあ、数日前までは俺も宿無しの浮浪者だったんだけどな。」
「え、どうしてですか?」
その言葉は、今の現状とは大きく違うものであった。
「いや、この前スタンピードが起きたんだがその時、結構の人が死んでしまってな。そのとき空いている土地がたくさんできたおかげで、安く買い取れたんだ。」
へー。そんなことがあったんだ。確かに土地なんて誰が所有しているか記録していないと、わからないからしょうがないよね。この世界ってそこらへんが結構ルーズだから書類に残していないことが多いし。
だから、今回のようなことが起きたんだろう。
「土地結構小さいけどな。でも、嫁をもらうには家は必要だし買ったんだ。」
「よかったですね。」
土地が安くなるほど人が死んだことは、あまり好ましく思ってはいないが、土地を買うことができているのはいいことだと思う。
ぼくは、その状態にどう返事をすればいいかわからないが、いまは、良かったと声をかけることにした。・・・だけど、決して死んだ人に対していったことではない。
「そんなわけだから、俺はギルドの寝床は使わないんだ。」
「それならありがたく使いますね。」
「そうしてくれ。」
その後僕はおじさんに感謝をして、そのギルドに行くことにした。
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