35話目
35話
「そりゃぁ残念だな!」
「ホントですよ。身分証にお金まで取られるなんて。。」
僕はおじさんに連れられて近くの居酒屋に入った。
「まあ、ここは俺が出すから好きなだけ食べてけ!」
「ありがとうございます。」
さっきあった時は少しイラっとしたけど、話せばただ心配していた口が悪いいい人だったみたいだ。それに、結構面倒見が良いのかお金がない僕を見計らってご飯まで奢ってくれるらしい。
「じっさん!いつものを2つ!」
「あいよ!」
すると、厨房の奥からこなれたような声が聞こえた。よくここに来ているのか慣れたように僕の分も注文してくれた。僕自身この国に車で栄養食位しか食べていなかったから、こういうご飯を頼んでくれるのは嬉しい。
「そう言えば兄ちゃんはこの国には何をしに来たんだ?」
「少し調べ物をしに来たんですよね。」
「へ~。この国なんて何もないけどな?もしかして学者さんなのか?」
「えっと、魔法学院の教授をやらせてもらっています。」
僕はご飯が来るまでおじさんと雑談をする事にした。まあ、僕の名前さえいわなければこういう会話は楽しい。口滑ったら爆発する緊張感があるけど。
「おお!教授なのか、それだったら奮発しなきゃな!・・・じっさん!俺の連れが魔法学院の教授らしいからなんか出してくれ!」
「おうよ!!」
すると、僕が教授であることをいうと、なぜか興奮し始めた。
「?教授だと何かあるんですか?」
なぜ興奮しているか分からないので、素直に聞いてみる事にした。分からない理由で歓迎されてもいい気分にはならないしね。
「そりゃあ!かの英雄 ミツキ・アトラスコールさまが魔法学院で教授をしているからさ!同じ教授なら歓迎しなければいけないだろ!」
「・・・は、はぁ」
すると、、出てきた答えは僕の事であった。
・・・ここまで僕のことを信仰しているとは思っていなかった。いや校長から英雄と呼ばれているよ?といわれた時は、国が主体となって凄い人だと行って、それについて行っている人がいるのかな?程度に思っていたのだが、一個人の平民がここまで興奮して、教授と言う共通点だけでさらに注文を追加する。
僕が思っているよりも、メソミア王国の英雄視は強いのかも知れない。
「ハイどうぞ!」
すると、もう出来上がったのか、厨房からお爺さんが料理を持って出てきた。
「凄い。」
「そうだろ!ここの飯はすっごい上手そうなんだよな!」
出てきた料理はこの世界の料理の水準で言えば最高と言わざる負えないような物である。正直この世界の料理はあまりおいしくないから、食事自体に楽しみは無かったんだが、こんな美味しそうな料理を見たら早く食べたいと口うねっている。
「まだ、出てくると思うが先に食べちまおう!」
「はい!」
僕は食べ始めた。
☆
「・・・美味しかった。」
「あ゛~上手かった~。」
その出てきた料理は見た目だけでは区ちゃんと味も美味しかった。こんな料理を毎日食べる事が出来たらいいなと思ってしまうほど。
「じっさん!ありがとな。お代はここに置いとくぞ!」
「おうよ!」
すると、おじさんは少なくないお金を机の上に置き僕と一緒にお店から出る事にした。
「・・・今回は食事を奢って頂きありがとうございます。」
「兄ちゃんが困っているようだったしな!それに教授って聞いたら奢らないわけにはいかないだろ!」
すると、やはりと言うべきか。教授と言う立場は英雄である僕の影響を大きく受けているらしい。・・でもここまで、言ってくれると打算で助けたとしても嬉しい所はある。
「そんじゃあ、俺はこの後しごとしなきゃいけないから行くわ。兄ちゃんも今度は取られないように気負付けろよ!」
「ありがとうございます。」
すると、おじさんは時間が押していたのか走って行ってしまった。・・・ご飯美味しかったな。僕の頭はそれで埋まっていた。
だけど、そろそろちゃんと【ア・ランア・ィ・エア】の事をちゃんと調べなければ行けなさそうなので、僕もいくことにする。試練休暇も無制限にある訳ではないしね。
そう思いながら、僕はひとまず国の中心の方に向かっていくことにした。重要な建造物や大切な物がある場所は国の中心部に集中するからね。だからひとまずは中央の方に行けば心配は無さそう。
それに、この国は丁度中央に王様がすんでいる城がある配置だから、観光気分で見に行くのもいいかもしれない。
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