34話目
34話
「さて、教会はどこにありますかね?」
僕は神様のことが書かれている物がどこにあるかわからないので、まずは神を祀っている教会に行くことにした。
そんな感じで歩き出そうとしたとき、見知らぬ声が僕の横を通りすぎた。
「もらい!」
それは7歳くらいの男の子のようだ。そして、僕の横を通り過ぎたとき腰らへんに衝撃が走ったので、なにかされたのだろう。でも、僕は一瞬何をされたか認識できなかった。その一瞬が原因だったんだろう。追いかけようとしてももう見当たらなかった。
「どこいったんだ。。」
呆然としながらも何をされたのか知るために腰を見ると、そこには有るはずの身分証やお金が入った小さな鞄が無くなっていた。
あの子供に取られたのだろう。・・・何ということか。。あの鞄は小さくて可愛かったから気に入っていたのに取られてしまったではないか。
「ははは!兄ちゃんやられたな!」
すると、今の現場を見ていたであろうおじさんが声をかけてきた。
「そうですね。。取られてしまいました。」
「ははは!次は用心しろよ?あの悪ガキ共味占めてくるからな!」
流石に不用心過ぎたのだろう。第一学園はこういうことは起きないから完全に忘れていたが、そもそもまだ日本の感覚が抜けていないのだろう。異世界に転生して17年だがこの世界がどの様な事をしてくるのか理解できていないなんて本当に、異世界で生きているのか疑いたくなる。
でも、僕自身結構な温暖な室内で育てられたからこういう事はそもそもあまり見たことが無いし、やられたことも片手で埋まる程度だ。
まあ、取られてしまったのは不用心だったですむのだが、、、
「どうしよう。」
僕はその鞄の中に入っている身分証やお金のことが気になっていた。もし悪用されでもしたら、、、なんて考えるとどうにかしなければいけないのだが、どこに居るか分からないからどうしようもない。
一応探知用の魔術は存在しているが・・・たまたま切らしており作らなければない。なので見つけるには、頑張って魔術式を書くための道具をさがすか、手あたり次第探すしか無いのだ・・・。
でも僕自身そこまで体力がある方ではないのに、さっきまでこの国に来るのに移動していたので、今すぐベットに横になりたいと思っているくらい疲れている。なので走って追いかけるとかは出来そうにない。
・・・諦めていいかな?
いや、魔法学院で発行される身分証は僕が管轄で作っているから、身分証の効力を無くすことは出来る。簡単に言えば、書かれている文字は特殊な構造で保存されている僕が込めた内魔力なので操作可能範囲内であればいつでも、魔力を消滅させたりそもそも読めなくしたりできる。
・・・でも、一度身分証を壊すと再発行しなければいけなくなるのだ。僕が管轄で作成して中には僕の魔力がはいっても、一つ問題があるのだ。それは学園のとある教師もこの身分証作成に関わってもらっており、その人の魔法によって1人では再構築できないようになっている。
だから、もしここで身分証をグチャグチャにしてしまうと、学園に帰るまでは根の葉もなく身分証を持たない不審な男性になってしまう。これから教会に入るって言うのに、そんな事をしたらもしかしたら、入る事すら許されないかも知れない。
だから、出来ればやりたくなかったのだ。
でもしょうがない。
【魔力操作】
僕の身分証はまだ操作出来る範囲に有るらしいので適当にこねくり回して読めない容姿してしまった。
「はぁ~~~。」
・・・やっちゃった。こんなことしたらもしかしたら教会に入れなくて一度変える羽目になるかも知れないのに。出来れば穏便に返してもらえたらよかったけどね。でも、もし僕の身分証を見て、この国の救世主である僕がいると知られてしまったら。。。
身分証の悪用よりも問題になってしまうかも知れない。僕お体がはじけ飛んでしまうかも知れないのだから。
「おうおう。随分と落ち込んでんな?・・・大切な物でも取られたか?」
「はぃ。。。」
すると、僕の落ち込みぐわいに流石に心配をしてくれたのかおじさんが酒を片手に近づいてきた。
「・・・俺が酒奢ってやっから元気出せ!」
あまりの落ち込みぐわいに心配をかけすぎたようだ。
「ありがとうございます。」
でも、僕は喉が渇いていたので好意に縋る事にいした。・・・そう言えば、お金も一緒に取られちゃったな。
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