33話目
33話
さ、着きましたメソミア王国。
僕は顔が見えないように持て来たフードをちゃんとかぶり、その国に入るのであった。ちなみに今は空を飛んでいたりはしないよ。空を飛ぶことは魔法では難しいみたいだから、もし空を飛んでいる所を見られたら、魔導を使っていると思われて僕がいると知られてしまうかも知れないから。
ちゃんと忘れずに持ってきた、身分を証明するカードを目に正門から入る。
「こんにちは。お兄ちゃんは観光かい?」
「そうだよ。教会に興味が合ってきたんだ。」
「あ~確かにうちの国神は少し珍しいもんな。・・・それじゃあ身分証はあるかい?」
僕は門番さんと少し喋り後ろがつっかえないうちに身分証を出すのであった。
「お!第一魔法学院の教授さんなのかい!えっと名前は・・・」
ふふふ、僕が身分証を出すと毎回魔法学院の教授と言う事を驚かれる。でも僕自身実力で入ったのでそう言う驚かれ方をするのは割と楽しい。身分証を出すときの毎回の楽しみだ。
・・・そんな風に身分証を出すことに快楽を見出していたからだろう。僕はある事を忘れていた。
「ミツキ・アトラスコール?・・・・!!!!!」
そう身分証を見せたら僕が【ミツキ】である事がバレてしまうではないか。これではフードを被った意味が無くなってしまう。でももう門番にはバレてしまった。
「やっべ…」
その瞬間、門番は大きな声を出した。
「ミツキ・アトラスコールが来たぞ!」
その声は控室にいる仲間の門番たちにギリギリ聞こえるくらいの音量だ。こんなことをされては僕が来たことがこの門番以外にも知れ渡ってしまう。これではまたもや、『制限』が発動してしまうではないか!
そんな危機意識があったからだろうか。僕は反射的にとある魔導を発動させた。
【結界術 密音】
この魔導はこの前校長に使ったような【結界術 遮断音】と同じように結界術である。この結界術は先の結界術とは大きく違い、音を漏らさない事に特化している。なので、いま僕が結界術を使った今別室にいる門番たちには声が聞こえていないだろう。
・・・さて、この門番をどうするべきか。幸いにも【結界術 密音】は無色透明なので発動したことが知られておらず、そしていまだに僕の事を知らせようと声を出している。
なので当てるのが難しい魔導でもいまなら簡単に当てることが出来そうだ。・・・正直この魔導は魔力消費が多いからあまり使いたくないんだけど、今の状態を穏便に終わらせようとするならこの魔導しかなさそうだ。
ぼくはいやいやながらもとある魔導を発動させる。
【魔術 忘却】
この魔術は指定した対象の存在を消すというきわめて単純な説明で完結する魔術だ。だけど、その弱点と言えば発射する速度が凄い遅く、1分10秒もかかる程だ。それに魔力消費は多いわ、魔術回路が難解やら、魔術の対象を選択する方法が普通だと無理だったりと、その効果とは裏腹にクソ魔術だ。
でも効果自体はどんな魔術よりも強いので常備はしている。
それで、僕はその忘却の魔術の対象に選択したのは、僕に出会った10分前から今までの記憶である。・・・記憶を対象に取るのは割と難しいが、僕の事を一切警戒せずにいる門番だからこそ選択出来た。
すると、【魔術 忘却】はちゃんと命中してくれた。
「ぐ・・・」
すると門番は一瞬小さく声をだして数秒間停止してしまった。だが、大丈夫だ。記憶がなくなったことによって少しだけ混乱しているだけ。あと数秒したら直ぐに目を冷ます。
「・・・あれ?俺は何をして、、、」
「門番さん!大丈夫ですか!」
僕は大根役者を鍛え上げたかのような演技をしながら門番さんを心配する。
「あ、ああ。大丈夫だ。」
「それなら良かった。じゃあ、身分証は見せたからいかせてもらうよ。」
「ど、どうぞ。」
門番さん自身が、僕の身分証を確認したと自覚させるために、わざと取っていなかった身分証をこれみよがしに取り通過する許可をもらった。
正直記憶を消しても身分証を確認されたら意味がないので、賭けの状態であったがうまく行って一安心だ。
僕は門番さんが混乱している中通っていった。
「ここがメソミア王国か。」
そこは門の外からは一切見てなかった光景が広がっていた。数ヶ月前にスタンピードがあったとは思えないほど活気づいており、建物もほとんど直し終わっている。
前に来たときとは大違いだ。
「・・・こんなところで立ち止まっていられないよな。バレる前に早く行こう。」
正門ではひと悶着あったが、フードを被るという魔力節約によってまだ、許容範囲内である。だから出鼻を挫かれた感じはあるが順調だ。
【行動上限があるミツキくんは最強になりたい】をご覧いただきありがとうございます。もしよければブックマークや評価をしてくださるとうれしいです。
投稿時間 7時&17時で毎日投稿です。




