30話目
30話
「こっちの方が重要なんだからちょっとは待っとけよ。」
「すみません。気分上がっちゃって。」
僕はおじさんに呼び止められてまだ訓練場にいた。出来ればさっきのおじさんが言って事を確認したいと思っているのだが。
「はあ~。まあ確かに早く調べてみたい気持ちは分かるけどな。少しは落ち着いてくれ。」
「・・・でもおじさんだってこの前僕が魔導の事を話したとき試したくて訓練場に走って行ったじゃないですか。あれ結構大変だったんですよ?おじさんに渡した術式が偶々初心者用の事故が起きないように設計した物だったから良かっただけで、もし安全式が書かれていない奴だったら一生魔力を使えなくなっていたかもしれないんですよ?」
確かに僕も悪いが・・おじさんも同じような事をしているので同罪である。まるで自分は大丈夫みたいに説教をしないでほしいな!
「あ~それは、、、まああの後飯奢ったから良いだろ。」
「それは安全とかかわりはないでしょ?ご飯を奢ったからと言って全ての術式に安全式が付くわけでもないんですから。」
「わぁかった。すまんすまん。」
おじさんは途中で言い返せない事が分かったのか諦めて誤ってきた。・・一応僕は教授として生徒に物事を教えている立場だから、危険な事に関しては人一倍気にしている。空hおじさんも同じで、多数の部下を持っている身だから下手に危険な事は出来ない。
もしおじさんが死んでしまったら他国に攻められてしまうのだから。もし攻められなくても、おじさんがワンマンで支えているこの騎士団が保つかが分からない。
だから、危険に敏感だから途中で自分の非を認めてくれた。
「まあ、分かりました。」
「はぁ〜・・・んで、さっきミツキを引き留めたようにもう一つ重要な情報があるんだ。」
「なんでしょう?」
一旦切り替えておじさんの話を聞くことにした。やっぱりおじさんが重要と言うくらいの情報は聞きたいし。
「自分がどんな神様に好かれているか知っといた方が良いぞ。」
「すかれている?神様がわざわざ僕の事を見ているんですか?」
するとおじさんはまたもや知らない事を言ってきた。好かれているとはなんだろう?
「そうだ、その証拠に魔法書は人それぞれ違うだろ?それはその人の事が気になる神様が干渉してきているからと言われているんだ」
「・・えっと、、つまりどういう事ですか?」
「ミツキは特殊な魔法書を持っているから一度調べてもいいかもしれない。もし魔法書をくれた神様の『試練』を突破できたとしたら、他の神様と比べて強力な神聖術を授かるらしいからな。」
へ~完全に初耳だ。てっきり神聖術を授けてもらう神様を決めるのは、今後の自分の目標に照らし合わせて決めるのかと思っていたけど、それ以外の方法もあったんだ。・・でも普通よりも強い神聖術を授かれるなら、その魔法書を授けてくれた神様言った苦難じゃないのかな?
「ただ、これはあんまり推奨されていないから気負付けろよ。」
「なんでですか?強力な神聖術を授かれるならそっちの方が良い気がしますが?」
「まあ、確かに強力な神聖術は魅力的だが・・「神様を慕う前に私たちは自分を見直す」なんて言葉があるんだ。これは盲目的に何も考えない状態になってしまう人に使うんだが、、自分で自分の道を決めなければいけないのに魔法書を授けた神様の試練を受けるなんて、何も考えていないようで運命にただ従っている脳無しだと思われるからな。」
この考えを理解する事が出来るが・・・結構過激なんだ何と思ってしまう。多分この言葉は宗教的な部分から出てきた言葉なんだろうけど、それは前世の世界の宗教とは結構違う感じである。
ほら、世界的に有名な一神教は神が運命を決めている、予定説があったけど、この世界だと運命なんてくそくらえ的な感じなんだろう。
確かに、今まで生きてきた中でそう言う言動はよく目に賭けられた気がする。例えば、学園の殆どの生徒は自立意識が高いし、自己判断がちゃんとできる。それに奇想天外な出来事が好きなところも合った。・・この前のアルカロール教授との戦いも生徒たちはウキウキと身に集まって反対意見なんて何一つなかったし。
だから、僕の感性とは大きく違う。
「それに、将来やりたい事に合わせて『試練』を受けた方が今後のためになると思うしな。将来は騎士になりたいのに学者系の神様の試練を受けても意味がないだろ?」
「確かにそうですね。・・それだと僕は回復系の神様の『試練』を受けたいのであまり関係が無いんじゃないかな?」
「そりゃぁ~神様が決まっているなら良いと思うぞ。だけどミツキはまだ決まってないだろ?それならいろんな神様の話を読んで知る方が良いと思うけどな。ほら、さっき言っていた怪我に関しても回復だと、事が起きた後にしか使えないんだからもし何も考えることが出来ないくらいの怪我をしたら回復は意味がない。
それなら、事前に対処出来る様な神聖術を授かった方が良いだろ?」
・・そう思うと僕は回復に執着していたけど他の神様を見てみるのもいいかもしれない。もしかしたら『制限』の徴収に対応できるような神聖術もあるかも知れないんだから。もし本当にあるのならば、絶対に見つけたいし。
「分かりました。調べてみます。・・・それでどうやって調べたらいいんでしょうか?」
「それに関しては結構簡単だぞ。教会に行って調べてもらえばいい。神様の事は教会が一番知っているからな。もちろん教本に書かれていない神様も教えてくれるから一回行ってみるといいぞ。」
へ~教会に行けばいいんだ。・・宗教に関してはあまり興味が無かったせいか教会に行くことは少なかったから知らなかった。
「あ。そう言えば僕魔法書が二つあるんですけど、そっちもちゃんと見てもらえるんですかね?」
「あ~片方は何も書かれていなかったんだよな?・・・まあ、見てもらえるだろ。」
おじさんにも分からないみたいだ。・・・ちなみにいまだ僕の魔法書の片方には何も書かれていなくて、使いようがない。でも一応は僕の魔法書だからいつも腰のホルダーに入れて持ち運んでいるが。
魔法が使えたらいいけど、今はただの荷物になってしまった居る。
「ありがとうございます。」
☆
と、いうことでやって来ました教会に。おじさんと話したあの後直ぐに教会に来たんです。やっぱり自分の魔法書に関しては少し興味があるし。それに、悪魔との契約何ている魔法を授ける神様は誰なのかが単純に気になる。
だって悪魔だよ?絶対悪性がわのかみさまじゃん。
それに、何も書かれていない方の魔法書はどんな神様が授けてくれたのかも気になる。
「こんにちは。それでは魔法書の鑑定でよろしいでしょうか?」
「お願いします。」
僕は教科の専用の個室にいる専門の鑑定魔法士さんにお願いした。どんな風に神様を知るのかと思ったけど、鑑定系の魔法を使うみたいなんだ。ちなみに、 僕自身鑑定には興味があったから一時期調べて居たんだよね。
やっぱり異世界転生には「鑑定」はあった方がいいじゃない!と思っていたからなんだけど、まあだからある程度は知っているんだよね。だけど、鑑定を魔術にする事はかわなかった。
なんでかと言うと、鑑定と言うのはその特質性から結構珍しい魔法なんだよね。
何が特質しているかというと、鑑定の魔法を使う事で得られる情報の量の多さが尋常じゃないくらい多いんだ。僕はこの情報の量を対処する方法が思いつかなくて鑑定を魔術化する事は諦めた。じゃあ、その情報量とは何なのか?
簡単に言ってしまえば、鑑定系の魔法を使うとその鑑定した物質の詳細が分かるんだ。その情報は頭をパンクさせるほどの密度だと言われている。まあそれは個人によって見ることが出来る情報の量は変わって来るらしいけど、
ただ、そんな情報の密度を何とかしたのが魔法なんだと思う。理解できるように脳の処理を高めるとか、もしくは記憶領域を無理やり広げるとか。もしくは何かを触媒にしてその触媒を鑑定系の魔法に介入する事で情報を選別するとか。
いろいろあるんだけど、その全てが難解で術式化は結構難しかった。だから、鑑定に関しては諦めている節はあるんだよね。・・まあ、それは結構前の事だからいまだと魔術化出来るかも知れないけど。
「・・・えっとこの2冊ですか?」
「はいどちらとも僕の魔法書なんで。」
「へ~珍しいですね」
僕はその鑑定士さんに2札の魔法書を手渡した。もちろんどっちとも僕の魔法書なのではあるが、普通は授けられる魔法書は1冊なので困惑している。僕もなんで2冊授けられたか知りたい。
「そうなんですよ。・・ただ、片方は何も書いていなくて本当に魔法書なのか心配になってきます。」
「確かに授けられた直後は魔法が何も書かれていない人とかは多くいますが、、、、2冊授けられたからなんですかね。まあ、こんかいはそれも調べさせて貰いますよ。」
「お願いします。」
すると鑑定士さんは自信ありげに宣言してくれた。ここまで自身があると頼れるから良いよね。
ちなみにだが、鑑定士さんは鑑定した内容を公表しない事を契約として結んでいる。魔法書は一種の個人情報でもし他人に知られたら悪用されるかも知れないから、教会ではそう言う事はちゃんとしている。
「それでは始めさせてもらいます。時間がかかるかも知れませんがお待ちになってご覧ください。」
「はい。」
すると、目の前で魔法書と高価そうな石を取り出して魔法を使用し始めた。
たぶんこの人の鑑定魔法はその石を介入させて情報の選別。・・もしくは一時的な記憶容量の増強を測っているのだろう。
鑑定魔法を実際に目の前で見るのはなかなかない経験だからこういうのを見るのは結構楽しい。
「【鑑定魔法 調査】」
鑑定士さんが魔法を使用すると、僕の魔法書と石から強い光が出てき始めた。だけどその光は直ぐに止んだ。時間にしては5秒もないくらいだろう。
光が止まったことで僕はそむけていた目を本に戻すと、そこには砕けた石を持った鑑定士さんがいた。
「終了しました。・・情報に関しては直ぐに纏めますので少々お待ちください。」
「ありがとうございます。」
すると、口頭では説明しないのか紙に書き始めた。多分口頭では誰かに聞かれる可能性があるから防犯としての対策と、僕が帰ったとしてもまた確認できるように書いてくれているのだろう。
鑑定士さんの書く速度は類を見ない程早く思わず見惚れてしまうほどだ。毎日鑑定をしているから書くのに慣れたのだろう。僕も毎日書いてはいるけど、こんなには早くない。
「鑑定した詳細はこの紙に全て書かれておりますのでご覧ください。」
僕は渡された紙の束を見る事にした。ただ、2冊分と言う事で量が多いので全て見るのは結構大変そう。
「それでは私は失礼します。このお部屋は1時間貸切っているのでそれまでにはおかえりください。」
「ありがとうございました。」
・・・さて、読みますかね。
☆ 鑑定士A
「お!終わったか。さっきの人学園の教師だって来たから緊張しただろ?」
「・・・」
鑑定士Aは待機室に戻ったが、なぜか虚空を眺めており一切喋らない。だが、同じように鑑定士をやっていると思われる人は反したいのか鑑定士Aの事は気にせずにその口を一切閉じようとはしない。
「やっぱり鑑定の結果はな俺たちにはどうしようもないとはいえ、偉い人は悪い結果が出たら何をしてくるか分からないしな。」
「・・・」
「俺もこの前同じように学園の授業補佐?の人が来て冷や冷やしたぜ。」
「・・・」
そんなこんなまだ喋っているが鑑定士Aはまだ喋らない。と言うか反応を一切示さない。いつもなら直ぐに反応してくれるから、流石に同業者は違和感を感じてきた。
「どうしたんだ?」
「・・・」
「もしかして腹でもいたいのか?それなら我慢するんじゃなくて早く出してきた方が良いぞ。」
「・・・」
「・・・おい!」
流石に違和感にきづいたようだ。その鑑定士は一切反応を示さず突っ立っているのだからもしかしたら何らかの異常状態になったのかも知れない。
「おい!反応をしろ!」
声をかけながら直ぐに近づいて行き何が起きているのか確認しようとする。だが、見た目では反応を示さない・・人形のようになっている不気味なだけでどうすればいいか分からない。
なので、体を揺さぶり大丈夫か聞いてみる。
「おい!」
「・・・!!!」
すると鑑定士の体から力が抜けて膝から崩れ落ちた。
同業者が体に振れた時の事であった。何が起きたのか分からなようで思わず見る事しかできない。だけど、どうにかしなければ行けないだろう。
そう思い、また体に触れようとした瞬間。
「・・あれ、、なんで俺がここに。」
声を出した。違和感を持ちながら。
「おぉ!大丈夫か!」
ただ、まだボーッしているようで自分がどのような状態か理解できていなようだ。さっきまで意識がないような状態だったので喋ってくれたのは嬉しいが。
「・・・なあ、おれ鑑定をしている最中だったんだけど、、、なんで待機所にいるんだ?タロールはなにか知っているか。」
「いや!お前さっきまで意識がないような状態で突っ立っていたんだぞ。何が起きたかびっくりするじゃねぇか。」
「何が起きたか?・・いや俺は何も覚えていないからわかんないんだが。」
すると、鑑定士は何も覚えていないと行った。この待機所までは普通に着たのだからどうやって来たのか覚えているだろうと思ったが・・・もし鑑定士の行動が魔王によるものだったら、、、と思うと一概に否定をすることが出来ない。
「っ!・・お前一回回復士に見てもらえ。もしかしたら変な異常があるかもしれねぇから。」
「あ?・・・まあそこまで迫真に言うなら今度行ってみるか。」
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