29話目
29話
「それでさ、どの神様の『試練』を受ければいいかな?」
と言う事で、僕は『試練休暇』を貰い休んでいるのだが、、そもそも『試練』を受ける前に僕は何の神様から『試練』を受けるか決めていない事に気づいた。。出来れば適当には決めたくないので、僕はある人の所に行き相談をしているのであった。
その人とは僕と昔から仲が良く、たまに研究にも付き合ってくれるすごいひとだ。
「俺はガルド神の『試練』を受けたな。」
「へ~確かに、おじさんにはぴったりだね。アルンガルド王国第一騎士団団長 ヘレクス・アルカリオおじさん。」
「ハハハ!そのために受けたんだからな!」
そう、この人はこの国の騎士団で最上級ともいえるほど位が高い、僕とよくかかわっているおじさんだ。そして、僕のお父さんの上司でもある。
ほら、結構前・・・僕が赤ちゃんだったころに呪いを調べるために、教会に紹介してくれたのもこの人だ。だから、言ってしまえば僕の事をよく気にかけてくれているもう一人のお父さん、、とまでは行かなくともおじさんくらいの立ち位置に入る。
なので、僕自身よくおじさんの所に遊びに来ている。
「カルド神か~。国の神様だよね?」
「よく知っているな。ガルド神は人間の国を守ってくれる神様なんだ。だから、授けられる神聖術も国を守る事に偏った物だぞ!」
「へ~・・・おじさんは『試練』突破出来たんだ。」
「当たり前だろ!」
僕は当たり前だと思いながらもおじさんが神聖術を使ったところを見たことが無かったので、気持ちで気には半々であった。まあ、だけど神聖術を使ったこと頃を見たことが無くても、強い事を知っているから無くても良いんじゃない?とは思ってしまう。
だって、このまえおじさんに聞きたい事が有って魔術で連絡を取ったら、「暇だから今から行く」とか返してきて、第一訓練場から20km離れた魔法学園に5分で付く様な人だよ。これなら準備に10分かかる伝達用に作った魔術よりも早いじゃないか。
なんだよ。魔法時代に肉体で無双する輩は。
「なんの試練だったの?」
だから、興味があった。こんな肉体最強野郎に与える『試練』とはどういった物なのか。
「俺に与えられた試練は簡単だったぞ。たった4か月間を不眠不休でずっと筋トレをしろってだけだったからな。」
「・・・???どうやって達成したんですか。。」
僕はその『試練』を聞いたとき思わず頭がバグりそうになった。だって、不眠不休という事がまずわからないし、それに加えて筋トレをしろと言うのも分からない。さらにはそれを4か月続けるっていうところが一番わからない。・・いや分かる。分かるんだけど、、、それってなんで達成できたの?
いや、だって人間て寝るように出来ている生き物だから寝ないと頭がおかしくなるだろうしそれを4か月続けるなんて人間じゃないよね。
「普通に寝ないでずっと筋トレをしていただけだぞ!最後の方は筋トレを意識しないでもやれるようになっていたな!」
「・・・ぶっ飛んでますね。」
え・・・そんなの聞いたら『試練』突破できるき無くなってきたんだけど。僕に同じような試練出されたら一生達成できないよ。
「まあ、俺の試練なんて聞いても参考にならねぇぞ。他の人に聞いたらもっと簡単な試練ばかりだったし。・・・だから、神様は達成できない試練を与える事は無いんだ。だから大丈夫だ!」
・・・僕の様子を見て励ましてくれたんだろう。
「そう言えばどんな神様の神聖術を使いたいんだ?」
「・・・出来れば回復系の、、それも魔力を使わない奴が良いなって。」
「あ~それは難しいよな。回復系って言ったらビャーミャ神系統だろうけど、それは他人に対しての回復が多いから魔力の消費量は多いだろうしな。」
するとおじさんは僕が知らないような事を教えてくれた。魔力量に関してはそこまで気にしていなかったけど、たしかに見とかなければいけない項目だ。
「他にも回復じゃないが、修復系で直すにちなんだガルダロン神がいるが人間には使えるが使ったら不自然な風になってしまう事が多いらしいし。それに直すのに素材が必要だからな。」
「そうなんです。。。。」
「・・・何かあったのか?」
すると、おじさんは僕の様子から何かを感じ取ったようだ。確かに魔導一筋だった僕が急に神聖術に興味が湧いていたらなんでか気になるだろう。おじさんには隠す必要が無いので、放すことにした。
「前に『制限』によって魔力を徴収される時、一度に多くの魔力を徴収されると体が魔力によって傷つけられるって言ったじゃないですか。・・最近それが結構大きな形で起きて、、何か対策しなければ行けないなと。」
「大丈夫だったのか?」
「はい。その時は何とか。」
終わった風に言っているけど、僕の中ではまだ強く主張している。何て言ったって死んでしまうかも知れない状態になったのだから。その時は何とか無傷で生き残ることが出来たが、、死にかけたと言う大きな衝撃はまだ心の中に残っている。
でも、だからこそ終わった事と思わないとやって行けない。確かに僕はいままで死にかける事なんて日常茶飯事だった。槍の訓練の途中に魔力が切れてしまい危うく頭が真っ二つになった時だって、回復した事を確認しないで動いたおかげで道の真ん中で倒れた時だってあった。
だけど、だからこそ!僕はいろんな対策をしてきた。呪いなんて言う理不尽に人生を振り回されたくないから。
確かにこの世界は理不尽ばっかで、真面な魔法が使えなかったら仕事に就けないし、国の城壁の外は魔物ばっか命の危機何ていう暇さえない。そんな世界に転生しているのだから、命の危機なんて当たり前なのかもしれない。
でも、僕は今この時前で生きてきたのだ。そしてこの先も生きるために呪いを何とかしなければいけない。・・・最近は呪いの対処にも慣れてきてしまいその脅威に少し鈍っている感じがあった。
僕はそれを自覚していてけど、気にはしていなかったし、慣れたなら魔術の作成を呪いよりも先に進めてもいいかなって思っていた節もある。実際その考えから生まれたのが【魔術 絶対零度】だ。
僕の大切な数か月の月日をかけて作った魔術だ。確かにその魔術で助かった命は沢山あっただろうけど、、、そんな時間を使う時間なんてなかったのかも知れない。
もしその月日を呪いの解析に使ったならもう解呪出来ているかも知れないのに。でも僕はこれからのこの世界の為。そう思いながら・・・魔術を作っていた。
「もっと呪いに集中していればよかったな。」
だからこそ後悔だ。もし、あの時と声が出てしまうほど、過去を見直していた。
「・・・?まあ、無事だったならいいじゃないか!」
「結果論ですけどね。本当はもっといい方法があったかも知れないのに。」
もしあの時1級魔力回復薬を持っていたら、・・・もしちゃんと予測していたら、もし研究室にいたら。そんな終わったことが頭に浮かんでくる。
「終わった話を繰り返しても意味がないだろ?ミツキは頭がいいんだから後悔じゃなくて反省をしなければ行けないぞ!」
「!!!」
おじさんの言葉はどこか心に届いた。
死の恐怖を忘れるにはまだ時間がかかるだろうけど、でも僕がやる事が見えた気がする。
「それじゃぁ、反省のついでに良さそうな情報を教えてやろう!」
「なんでしょうか?」
「ミツキは何の神様の『試練』を受けるか悩んでいるんだろう?」
「そうです・・・出来れば回復系の神様が良いなと思っているんですが、良さそうな神様が見付からなくて。」
教会に置いてあった本を全て読ませてもらったが、僕が求めているような自分自身に対して回復する自己中の様な神様はいなかった。
「それなら教会が示していない神様を探すといい。」
「・・・教本に書かれていない神様が居るんですか。」
僕があまり知らないからか、教本に書かれている神様で全員だと思っていたけど。もしかして、書いていない神様もいるんだ。。なんで書かれていないんだろう。
「いるさ!ただ、少し素性が悪かったり、そこに居る信者の好き嫌いで書かれていない神もいる。そして書いてはいけない神もいるんだ!だから、探してみると言い。きっと合っている神が見つかる。」
「へ~。そんな神様が居るんですか・・・神様は悪い事はしないと思っていました。」
そう。教本には確かに神様の事がそれぞれの物語に分けて書かれているが、そこには「人類を救った」「偶々会った動物の傷を癒した」「土地を祝福して作物が育ちやすくした」など、正しい行為と言えばいいのだろうか?まあそんな事がいっぱい書かれていたので、てっきり神様は全員悪い事はしないのかと思っていた。
でも確かに、物語の中の神様は結構人間みたいな性格が多いのに、悪事が全然出てこなかった。戦闘系の神様なら人を殺した位なら書いているのかと思ったけど、そこに書かれていたのは絶対に人に対して力を振るったりしては居なかった。
全ての戦闘シーンが魔物との戦いであり、まるで悪は魔物だと言っているようである。
「・・・でも教本に書かれていないとしたら、どこに書いてあるんですか?」
だから気になった。だって僕は教本でしか神様を知る方法が無いと思っていたけど、それ以外で神様を知る方法があるならぜひ教えてほしい。もしかしたらその書いていない神様の中に僕が求めているような神様がいるかも知れない。
「結構目にすることは多いぞ?例えば子供が読むような絵本には邪神アラバカが書いてあるし・・・ほら、結構前に呪いの子供を見に行った村には伝承で狂戦神ブラマラアララが言い伝えられてたじゃないか。」
「あ、確かに。。」
確かに書いてあった。僕はナチュラル見逃していたが、思い返せばお父さんがくれた絵本の中にも神様が書かれていた気がする。日本ではそう言う物語は五万とあるから、この世界の人との感性の違いで気にならなかったんだろう。
前世との価値観の違いは何とか正そうとしているけど、やっぱり意識してない部分はなかなか難しいよね。たとえ普通に暮らしたとしても。
「まあ、だから適当に調べてみるといいぞ。」
「ありがとうございます!」
僕はおじさんから重大なアドバイスを貰いどこか好調だ。だってぼくが求める神様がどこかにいるかも知れないということなんだから。
なのでさっそく探しに行こうとこの訓練場からでようと思った。・・・そんなとき。
「あ!ちょっと待て!まだ神様に関する情報はあるんだ!」
おじさんが大きな声で僕を引き留めた。
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