27話目
27話
神聖術。それは神が特別な試練を乗り越えた人物に対して与えられる特別な術。それは魔法に類似している点が多々あるが、最大の違いは発動するのに魔力以外の条件があること。そして発動される術の効力が魔法とは比べ物にならない程のものだと言うこと。
例えば僕の降知の儀式を担当してくれた人。あの人は神聖術を発動するとき僕に自身の血を飲ませていた。それは意味がない行為ではなく【神聖術 命の水】を発動するための条件なのだ。
そして条件を達成した事により僕は普通の回復魔法では回復できなかった傷であっても元通りになっていた。それは魔法ではできず、神聖術だからこそ出来た事なのだ。
だから、僕は神聖術と言う物に興味がある。神聖術を研究する事で、もしかしたら僕の呪いに対する対処法も見つけることが出来るかも知れない。希望的観測だと言われてしまうかもしれないが、他の方法よりも神聖術を調べるほうが可能性が高いと思っている。
「ふーんそれがミツキくんの考えね。」
「どうでしょうか。」
ただ、神聖術を調べるに当たりいくつかの壁が存在している。1つ目は神聖術に関わるということ。神聖術は神に与えられる試練を乗り越えなくてはいけないのだが、その試練の困難さから試練を乗り越えた人はほぼ全員神に対して多大なる忠実を誓っている人だ。
だから、合うためには教会にいかなければいけないのだが、、行ったとしても合うことはかなわないだろう。それは神聖術を与えられた人は高い地位を持っているからだ。
だから、合わせてくださいとお願いしても会える存在ではないのだ。
そして、2つ目。
僕がその神聖術を使う人と合ったとしても、研究することは許されないだろう。なぜなら、神聖術とは神から直々に与えられたもので、それを研究するということは、神を信用していないということであり、その行動は万死に値する。
なので頼んでも研究はできないだろう。
ちなみに、魔法に関しては神から授けられているとはいえ、神聖術と比べたら無造作に授けられるから、そこまで重要性はないと言われている。
そして、魔法を研究しているのは神のことをもっと知りたいという事になっている。なっているのだ。
だから、神聖術に比べたら教会の拘束力が少ない。なので研究ができている。
最後に3つ目。
そもそも神聖術を魔導としての形にできるのか?ということだ。これは結構な難題のだが、まあ頑張ればできるのではないかと思っている。
が、神聖術は神から与えられた術で、解析すらままならないかもしれない。それは魔法にも同じことが言えるのだが、魔法はまだ全然解明されていないのだ。
その原因は解析に必要な糸口が一切見つからないということ。もし魔法の解析ができたとしたら、今頃は未来予知なんて誰にでもできるようになっているのではなかろうか。
だから、神から与えられるものは解析ができないのだ。だから、それにもれず神聖術も研究が出来ないのではないのかと思っている。それなら、この魔法学園では何を教えているのか?と思うかもしれないが、魔法に関しては僕のような研究をしているわけではなく、使い方を研究している人たちが多いのだ。
例えば、【魔法 流水】という魔法。この魔法は授かる人が非常に多く、この魔法でできることを考えることは非常に有益なことだ。
だから、そこからうまれた使い方を教えて実践に活かしてもらう。それがこの学園の基本的な勉強内容なのだ。
「いいとは思うけど、神聖術を使う人はどうやって探し出すの?」
「・・・あまりいい方法が思い浮かばないんですよね。教会に行っても見せてもらえないでしょうし、それに教会以外では出会えないでしょうし。」
そう、僕にはこの一つ目の壁を乗り越える方法が思いつかないのだ。だから、一歩目で生きず待ってしまっている。
「それなら自分で神聖術を授かってみても良いんじゃない?」
「授かる?・・・僕が?」
「そう、だって人に頼むことは出来ないって思ったでしょ?それなら頼む以外の方法を考えなきゃいけないじゃない。それなら、自分で取ってみるのも一驚なんじゃないかなって思って。」
・・・・確かに、頼むためには何枚もの壁を乗り越えなければいけない。そしてのし超えたとしても、それは何年後なのか、もしかしたら10年では無理かもしれない。それなら、自分で取って見てもいいのかも。。。
だけど、神聖術を授かるのに必要な「試練」はその難しさから、一生を通して挑戦しても突破できない人もいる。それくらい難しいのだ。
だから、挑戦したとしても僕が「試練」を突破しなければ意味がないじゃないか。
なので、どんな試練が与えられるかは分からないけど、難易度的には試練を突破する方が難しいんじゃないかな?・・・だけど、時間的には断然試練の方が良いだろう。だって「試練」を突破すれば与えられるわけだから、内容によっては10年もかからない。
「流石に『試練』に関しての伝手はないけど、中央教会に行けば誰でも受けられるから良いんじゃない?私も試練受けたし。」
「え、校長も試練受けたんですか?」
それは初耳だ。だって校長が神聖術を使っているところなんて見た事はないし。それに神聖術を付与させる物を持っているようには見えないし。・・・でも神聖術を授かっているなら研究させてもらっても。。。
「校長になる前に防衛手段が欲しかったから「試練」を受けたんだよね。まあ、だけどその試練の内容が直ぐにクリアできる無いようでは無かったから、神聖術は授かってないんだけどね。」
「そうなんですか。」
残念だ。でも校長でも突破できないなんて試練って何をやったんだろう。。
「それなら挑戦してみてもいいかもしれないかな。」
「うん、良いと思うよ。それに神聖術を授けられた人はいろんな保証がされるから。」
「それならいいかもです。」
そう言い僕は神聖な「試練」を打算もとに行くことを決意するのであった。・・もしこの会話を信者に聞かれていたら「神を軽視している」って激怒されるんだろうなとおもう。まあ、でも試練を受けるのは条件はないみたいだし、僕の様な人は多いんだろうけど。
でも、条件が無いのはそれほど神の事を思っていないと突破できない暗示なんだけどね。
☆
「と、言う事が有ってね。大変だったよ。」
「は~何やっているんですか。」
僕は校長が立てるくらいに回復した後、直ぐに研究室に戻ってきた。まあ、色々あった後だから疲れをとるために来たもあるんだけど、一番は魔力回復薬の在庫の確認だね。最近は授業以外で薬を使う機会が多かったから、そろそろ在庫が無くなってきているかも知れないから。
それに、今回の事が合っても何とかなるように1級の在庫を増やして起きたと思って。・・今回は僕のミスで研究室まで戻る時間は無かったけど、ちゃんと戻る時間が合ったら大丈夫だったかもしれない。それならその時のために1級の魔力回復薬を増やしておきたいのだ。
まあ、後は神聖術の試練を受けるために調整もしなければいけない。
「それで、どこの教会に行くんですか?試練を受けられる教会は限られていますよ。」
「え?中央教会に行けばいいって聞いたけど?」
「はあ~。」
僕は校長が試練を受けた中央教会?に行こうと思っていたのだが、何か悪い事でもあるのだろうか?
「中央教会っていうのは、位が高い信者がいる教会の総称ですよ。」
「え、そうだったんだ。」
宗教の事はまったく知らないから、そんな事も知らなかった。だって、僕はずっと魔導とか呪いとかの研究に突っ走っていたから、理論的に解釈できない事はそこまで興味が無かったと言うか・・・いや、この世界は神様と言うのがいるのは知っているよ。それは魔法を授かった時に『制限』が教えてくれたし。それに、神様が凄いのも知っている。
だけど、神様の事を調べても僕の呪いを何とか出来るとは思ってもいなかったし、それだったら魔導の事を調べて呪いを解明したほうがいいのではないかなと思っていたから。
それに、僕は元日本人だったから宗教の事はあんまり興味が無いと言うか。。。
「それに、俺が聞いたのはどの神様に試練を貰いに行くかですよ。」
「・・・??神様って複数いるの?」
え、待って其れすら知らないんだけど。ていうか、どの神様って、、どう言う事?もしかして、僕はずっと一神教だと思っていたけど、多神教だったの?
「当たり前じゃないですか・・もしかしてそれも知らなかったんですか?」
「・・・知らなかった。」
「はぁ~~~。それなら一度教本でも貰ってくるといいですよ。試練を授かるのは人生で一度だけですから何も知らないで試練を授かるのは後悔いしますし。」
・・そっか~。それなら、少し調べなきゃいけなさそうだな。あんまり興味はなかったけど・・・と言うか今も興味はないけど。
「それに、試練を授かる神様によっては授けられる神聖術に偏りがありますから。」
「あ、そうなんだ。それなら回復系の神様が良いな。」
降知の儀式の時に僕の事を治してくれた人の様に、回復系の神聖術を授けられたらもし魔力が一気に取られて体に傷がついても何とかなるかも知れないし。
「それなら、ビャーミャ神の子孫とかを探せばいいと思いますよ。」
「ありがとそれなら調べてみるよ。」
ビャーミャ神か~。そもそも神様に名前がある事すら知らなかったから、聞きなれないけど、それでもジェームス君がいうんだから良い神様なのかな?
【行動上限があるミツキくんは最強になりたい】をご覧いただきありがとうございます。もしよければブックマークや評価をしてくださるとうれしいです。
投稿時間 7時&17時で毎日投稿です。




