26話目
26話
「はい大丈夫ですよ。」
僕は動きが鈍い校長に返事をしながら、今後どうしようか考えていた。もしこのような事がもう一度・・もしくは何度も起きたら僕はどうにもできなくそのまま死んでしまうだろう。それに今回の様な事も出来ないとなるとちゃんと考えなければいけない。
事が起きてから対策している状態なので正直遅いがそれでももう一度同じことが起きたとしても対策出来るようにしなければいけないだろう。
だが、まずはこの校長が倒れている状態を何とかしなければいけなさそうだ。
「校長こそ大丈夫ですか?」
「私は、まあ、大丈夫だよ。」
そんな事を言っているが、まだ立つことすら出来ていない状態を見るに大丈夫ではないのだろう。・・・今校長がなっている状態は、校長が言うには【魔法 未来予知】の代償だ。なんでもこの魔法を使うには大量の魔力を消費するほかに、一定時間体を動かす事すら出来ないくらいの怠さが来るんだとか。
その怠さが来ている状態が今の校長だ。
だけど、未来を見るのに必要な代償が魔力と怠さだけなんて、随分とコスパが良いなと思ったかもしれないが・・それは校長も言っていた。だけど、その代償のせいで戦闘には使えないし、それに遠い未来を見る時や、長く見る時はさらに代償を支払わなければ行けないみたいだから、結構使い勝手が悪いみたいなんだ。
だって、その使った後はずっと無防備になってしまうからもし殺されそうになっても何も出来ない。
それは未来を見る人間にとっては結構致命的で、、、代償が軽いのに使い勝手が悪いとよく言っている。
なので、今の状態は代償を掃いた状態だ。
僕は、魔法を使ってくれた校長に感謝しつつ介護をするために近づいて行く。
「魔導系列結界術 遮断壁」
腰のホルダーにある魔術本を取り出しその中に書いてある、結界術の一つを起動させる。ただ、僕も残り魔力が少ないので出来るだけ消費魔力が少ない結界術を。そして、その中でも効果が高い物を。
もし発動したとしても、簡単に校長が倒れていることがバレてしまった意味がないので。
まあ、結界術は魔力消費が少ない訳では無いんだけどね。
結界術はその特質性が類を見ないほど多く、その中でも目に映るのが発動したら常に魔力を送らないといけないと言う所。なので、一度使ったらそれでお終いと言う訳では無く、ずっと魔力を消費しなくてはいけないため、使う時間によってはどんな魔導よりも消費量が多くなってしまう。
それでもこの魔導を選んだということは、この状態に適していると言う事。
この結界術は、指定した範囲を遮断壁と言う壁で囲って、その中にいる指定した対象を見えなくすると言う物だ。指定する方法は、この本の中にある遮断壁の魔導回路と連結させている紙を対象に貼る事。
すると勝手に見えなくなってくれる。まあ、張ったとしても遮断壁で囲っている部分から出ると見えてしまうんだけどね。
「これで大丈夫かな?」
「ありがとう。」
校長はその行動に感謝している。だけど、魔力量的に5分くらいしか維持出来ないから早く回復してくれと思っている。もし5分経って校長が倒れていることがバレた時・・・もしかしたら校長を頃に来る人がいるかも知れない。
この学校の校長と言う立場はそれほど凄い物なのだ。
「・・・そう言えば、ミツキ君の魔法を見たのは今回が初めてだった。」
「あ~確かに僕の魔法って一度の魔力消費量がすさまじいんですよ。なのであまり使わないんですよね。」
僕の魔法はそこら辺の魔法とは違い悪魔が自由に決めるため、少量の魔力では発動できない。だから、「願いを叶える」と言う最高の魔法なのに使う機会が少ないのだ。・・・まあでも、大量の魔力を消費するだけで願いを叶えてもらえると思ったら良いのかも知れない。それに、報酬の魔力は小分けして渡せるから一気に取られることもないし。
だけど、魔力を消費する事は僕にとっては致命的だからそこまで頻繁に使うことは出来ない。それは魔力回復薬がある今でもだ。・・・魔力回復薬の回復量はそこまで多くなく、僕がここに来るときに持ってきた3級魔力回復薬は『制限』基準で約200程度。
なので小話をしたら消費してしまう位なのだ。そして3級と言ったからには2級や1級もあるのだが、3級に比べて作るために使う素材の希少価値が高すぎるのだ。それなら3級をがぶがぶ飲めばいいのではないの?と思うかも知れない。
だけどそれは出来ないのだ。これは魔力回復薬の回復の仕方のせいなのだが・・・魔力回復薬は言ってしまえば「魔力Ⅵ」でやる「魔力に関する詳細な分類」の知識があれば理解できるのだ。
その回復の仕方とは、体の中で第三内魔力と魔力回復薬に閉じ込めてある自身の第一内魔力を結合すると言う方法なのだ。
僕自身この方法を思いついたときは自分の事を天才だと思った。だって魔力を結合する事で体の中にある魔力量を増やすなんてそこら辺の人間では思いつかないだろう。
そもそも結合したものをそのままにしていいのか?と言う疑問や結合していいのか?と言う疑問があるかも知れないだけど、それらは全部僕の体が解決してくれたんだ。
なぜかと言うと・・・第一内魔力は博士の所でも説明した通り、基本的には補助的な役割。そしてその補助の方法とは、足りないほかの魔力と結合してその魔力に置き換えると言う方法なのだ。
だから、体の中では日常的に結合の様な事が繰り返されているし、それに第一内魔力は結合したとしてもその『全て』の性質上結合した相手の性質になるので心配はないのだ。
以上から特殊な方法を使って自身の第一内魔力を外部に保存して、魔力回復薬を作る事が出来たのだ。
それで、なんでその魔力回復薬をガブガブ使う事が出来ないのかと言うと、それは結合相手である第三内魔力の結合限界についてだ。これは割と大事な事なのだが、結合を同じ魔力で何回も繰り返すと、何回目かで結合しなくなるのだ。
これに関して詳しく解説するのは疲れるからしないけど、まあ結合できなくなる事だけ覚えてほしい。だけど、その魔力を一度何か、、、魔法や魔導で使うとまた結合できるようになる。
だから、使う量に制限があるのだ。
ちなみに、一度外部に出した魔力は内魔力だとしても、体に入れても勝手に雲散するから結合以外の方法は思いつかなかった。
なので、いまでも魔力量にはちゃんと計算して動かなければいけない。
それならなんで、注目される様な事をしたかと言うと、、、日々作って溜まった魔力回復薬を使ったら大丈夫なのではないのか?と思っていたからだ。まあ、ちゃんと失敗に終わったから今後は有名になる時はもっと考えないといけないよなと思っている。
ちなみに、その方法はもう見当が付いている。
それは『神聖術』だ。
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