2話目
2話
はぁ。。。。どうしよう。
俺は転生出来たという事実に戸惑いながら、これから訪れるであろう困難に意気消沈していた。・・・この先1~2年は動く事さえままならない。目を開ける事さえ数か月は無理な。そんな状況なのだから。
だから、転生したのはいいが・・・どうしようもなくこれからが不安だ。主に精神的な方で。
だからどうやって、この赤ちゃんの期間を切り抜けようか・・・・と言うかさ。なんか無き止まないんだけど。
先ほど俺はこの体で泣いたのだが、なぜか体の自由が利かず今も泣きっぱなしの状態なのである。まるで自分では操作出来なくなっているように、無き止むことが出来ない。そろそろ喉が痛くなるから止めたいのだが・・・
俺はその泣き止まない自分の体の状態に戸惑っていると、何処からか、軽快な聞き覚えの無さそうな音が聞こえてきた。その音はどこにでもありそうな音なのに、初めて聞いたようで。そして、なぜかその展開を知っていた。
ピロン
そんな音である。
ライトノベル、もしくはゲームなんかでよく使われるその音は、凄くなじみがあった。
するとその音とともに、何処からか文字が見えてくるでは無いか。今の俺は目が開けないと言うのに。だと言うのに、目の前に浮かんでいるように板が出てきて、文字が書いてある。
なぜかその状態に恐怖等の感情が芽生える事は無かった。反対に、楽しみ、なんかのこの展開を知っているからこその感情が出てきていた。・・・そう。この展開は異世界転生系ではよくある、最初のチート能力の発動なのではないのか!
よくあるのが、「ナビ」とか言われていて音声で指示をしてくれる自立型の説明スキル。
もしかしたら、俺もその能力を持っていてこれからの異世界生活でサポートしてくれるのではないのだろうか!そんな期待が芽生える中、その板を頑張って読むと、そこにはある文字が書いてあった。
『【泣く】動作および干渉を確認。
スキル 制限 の効果により、魔力を1徴収します。』
・・・なんなのか分からない。
その板に書かれている文字は、制限とか徴収とか今までかかわったことが無い言葉で、なんなのか良く分かっていない。
ただ、そこで理解できるのは・・・俺の魔力が泣いた事によって取られたと言う事だ。
は?
どういうことなの?もしかして、泣いたら魔力がなくなるの?
え、ちょ、なんなの?全く分からないんだけど?!と言うか魔力って何!
俺はその状態に思わず混乱を極めていた。だがしょうがないと諦めてほしい。だって、良く分からない事が連続して、その分からない事が怖そうなのだから。この状態になれば誰だってこんな風に混乱してしまう。
すると、先ほどの機械音とは違い自然的な音が聞こえてくるではないか。その音は誰かがこちらに近づいている音で、俺の泣き声に気が付いたのではないだろうか?
すると、俺の予想通り誰かが俺の体を持ち上げてあやすように抱っこしてくれている。多分お母さんとかなのではなかろうか。
俺はその力強い安心感に心が落ち着いてドンドン泣く声が小さくなってくる。俺が何ともできなかった事を何事もないようにやってのける・・・お母さん凄いぜ。
俺はその安心感に打ち解けていると、またどこから機械音が聞こえてくる。
ピロンっと。
だが、今回の俺はお母さんと言う最強の味方がいるんだ。こんなことで打ち破られていてはやっていけない。なので、前回の事を思い出しながらも今回もちゃんとその板を見る。すると、そこに書いてあったのは前回とは似ているが違った。
『人物に対しての干渉を確認。
スキル 制限 の効果により魔力を1徴収します。』
今は前回とは違い、泣いたことによって徴収された訳では無く、人に干渉したから魔力を撮られたようだ。・・・泣く以外にも取られるんだ。
・・・え。どうしよう。異世界にとって魔力って結構大事な物なんじゃないの?こんなに簡単に取られていたら、やばいんじゃないの?
その俺の考えを裏付けるように、体から何かが抜けていくような感覚がした。・・・多分魔力なのだろう。お母さんに抱っこされただけで、ちゃんと魔力を取られた。
え、まじでヤバくね?
そんな感情とは裏腹に、魔力はドンドン抜かれている。これが本当に1なのか信じがたい程抜かれている。すると、その魔力がそこに着いた感覚がすると俺の意識は飛んでいった。
☆
・・・はぁ。どうしよう。
俺は目が覚めてから数日たった今。状況を整理すると割とやばい事が分かってきた。まず、一つ目のやばいポイントが、動けないところだ。今までやれていたことが出来なくなったのは精神的に結構つらい。
そして、二つ目のやばいポイント。これが一番やばいと思うのだが、それは動くと魔力を取られて気絶してしまう。
それも、2回行動するだけで気絶するのだ。だから、真面に動けない。それに、俺が動かなくても、誰かが触れてきたらそれに酔っても魔力を取られる。・・・で、それについて分かった事が有るのだが、魔力を取る基準が俺が動いただとか、干渉しただとか板に書かれているから、多分だが・・・この世界に干渉したら魔力をとられるのではないだろうか。
ただ、それは俺が肉体的に干渉した場合に限ってだと思うが。・・・それにしても酷くないか?多分転生したから、デメリット的な感じで取られているのだと思うが。。。正直こんなことされたらずっと寝たきりの生活になってしまう。
おむつを変えるのも、食事をするのも、この世界に干渉しているから魔力を取られてしまう。だから、食事中に気絶してしまう事は結構ある。
だけど、最近分かったのだがその行動一回に付き一度しか魔力は取られないと言う事だ。だから、持続的に食事中ずっと取られると言う事は無い。
食事を始めた瞬間に魔力を取られてそれっきりだ。つまり、魔力が満タンの時は最初の行動だけ気絶せずに終わらせることが出来る。ただ、2回目の行動は俺の魔力が少ないのか、気絶してしまう。
まさか、そんなわけで毎日なんかも気絶しているのが現状だ。多分起きたり寝たりしている時よりも気絶している時の方が長い気がする。
・・・そうだ!こんなくらい話は置いておいて。最近一つ朗報が出来たんだ。
それは、、
「ミツキくん、ご飯の時間だよ」
「・・・」
声が聞き取れるようになったんだ。前までは上手く聞き取ることが出来なかったけど、最近は、お母さんの声が聞き取れるようになってきた。
お母さんは結構若いのか、声でも若い事が分かる。
・・・そうだ、俺が返事をしていないのは一つ理由があるんだ。赤ちゃん言葉を発したく無い訳ではない。ならなぜなのか?
声を出すと、世界に干渉していると認識されて魔力を取られるのだ。だから、満足に声を出すことが出来ない。
はぁ、なんでこんなデメリットスキルを渡してくるのかな・・・おれにチートスキルは無いのかよ。。。。
転生物の小説ではよくチートスキル。強いスキルが出てくるのだが、俺にはそんな素振りはない。まあ、今分かっているスキルはこの忌々しい『制限』だけなのだが。・・・まじいらないんだけど。
まあ、と言う事でご飯の時間なのだ。
今は魔力が満タンの2あるので、気絶する事無く食べることが出来る。・・・最初のころはどうして魔力が取られるのか分からなかったから、ご飯にもありつけることが出来なかった。でも、最近はコツがわかってきて成長を実感している。
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