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行動上限があるミツキくんは最強になりたい  作者: 人形さん
2章 僕は魔導研究者~学園は少々めんどくさい~
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17話


 17話


 太陽とは純粋な心を示していると言われている。


「【武装魔法 炎の剣】」


 その魔法はアルカロール教授の魔法だ。戦闘時には魔法と剣術を合わせて使うと聞いていたから、予想はできていたが・・・この魔法はペンダント型出ないと成立しない魔法だろう。


 もし、僕のような本型の物だと剣を持ちながら魔法を使うことは出来ないだろうから、僕にとっては馴染みがない。だけど、アルカロール教授と同じペンダント型で同じような魔法を使う人は知っている。・・・お父さんだ。


 お父さんは騎士になるために城の前で授かったためペンダント型を所持している。そして、その時授かった魔法が武装系の魔法なのだ。


 一度だけ見せてもらったことがあるが、お父さんが自分で地味と言っていたように、魔法を発動しても何ら変化があるようには見えなかった。


 それに比べて・・アルカロール教授の魔法は剣に火が纏わりついていて、すごい派手な魔法である。


 だが、その魔法は派手な見た目だけではないだろう。僕はそう警戒しながら、先程のように近づかせないように距離を取ることにした。


 その炎の剣がどのような魔法か知らないが、、もしその剣に触れただけでも火傷となってしまう。


「・・・いくぞ。」

「お好きにどうぞ」


 僕は余裕を見せながらも、どうしたらこの試合に勝てるかを考えるのに精一杯だ。だって、僕が今使えるのは「魔力に関する詳細な分類」の内容。つまり、魔力の結合などしかできない。


 なので、魔法なんてものは使えないのだ。


 自分で言った事ではあるが首を絞めすぎたと反省してしまう。


 すると、一テンポ間を起いたあと思いっきり間を詰めてきた。静かな足取りで急に近づかれたおかげで反応が遅れてしまった。だが、それはアルカロール教授の生い立ちを考えれば場が無いだろう。


 アルカロール教授はこの学園に来る前はとある戦地で兵士として生きていたみたいなんだ。そんな中でも様々な戦績をのこして戦争を終わらせたおかげで、その功績が認められて今はこの学園で魔法士として弁を叩いているのだが。


 兵士をしていた時のアルカロール教授は簡単に言ってしまえば、相手の本拠地に侵入して場を乱してくる潜入班だったみたいなんだ。だから、戦い方は奇襲が多いみたい。だけど、アルカロール教授が言うには潜入中に戦闘を行ったのなんてそんなに無いんだと。殆どが逃げの姿勢で、基本的に戦ったら負けとまで思っているくらいだ。


 でも、そんな逃げが正義の中でも戦闘が出来ないわけではない。・・・いや、「訳では無い」ではなく、やらないだけなんだ。言ってしまえば・・・アルカロール教授の戦闘能力は波の兵士レベルが別が違う。


 なんでなのか?相手の本拠地で戦闘をすると言う事は、相手に有利な状態で戦わなければいけない。そして、増援は無制限に出てくるという最悪な事になるのだ。だから、基本は逃げを優先する。


 だけど、アルカロール教授は敵の本拠地で戦闘を行い3・・も無傷で帰ってきたのだ。


 それはひとえに強さがあったこその事だと思う。

 そんな人の攻撃が僕の真ん前まで来ているのだ。


「死んでください!」

「っつ!」


 僕は反射的に事前に半径3メートルの場所に設置していた第一外魔力に高速で第二内魔力をぶつけ、魔力爆発を起こさせた。だが、その攻撃は聞いている様子はなかった。


 剣を下に降ろしていることから爆発は剣で防いだのだろう。正直、死ぬような威力にはしていなかったから、受け身で突っ込まれたらどうにもでき無いと思っていたが・・・その事を分かっていたのか、突っ込まれた。


 そして、さっきの様に一旦距離を話すことなくアルカロール教授は速度を再度上げながら走ってきている。たった一回で魔力爆発に対応してきたことから、もう一回同じことをやっても完璧に対応されるだけだろう。


 そう思いながらも走って来るアルカロール教授の対処法が見付からず、再度魔力爆発を発生させる。


『どっっ。。』


 だが、その爆発は不完全に終わってしまったようだ。


「何度も同じことをやっては意味がないですよ。」


 ・・・なぜ爆発が不完全になってしまったかは分かっている。第二内魔力と第一外魔力が疑似結合し魔力爆発が起こるところに、第四内魔力を結合されたのだ。


 第四内魔力が結合した事により爆発しそう状態にたいして「安定」の性質が発動するのだが、今回は第一外魔力を使って魔力爆発をしていたおかげで「安定」の性質が沈下し、「破壊」の性質が出てきた。


 すると「破壊」の性質は「安定」の性質のかわりをするかのように、魔力爆発の対処をしたのだ。


 簡単に言えば、第二内魔力と第一外魔力の結合部分を破壊することで溜まっていたエネルギーが雲散してしまった。本来ちゃんと結合をしていたなら、「破壊」程度の効力では結合が解かれる事は無いのだが、今回は疑似結合だったので結合部位の結合が弱く簡単に破壊されてしまった。


 だから、不発に終わってしまったのだ。


 ・・・戦闘には必要が無いと言っていたが、アルカロール教授一応ちゃんと「魔力に関する詳細な分類」は勉強している。と言うか、僕が教えたんだけどね。


 やっぱり、この学園に来た時は「魔力に関する詳細な分類」について知っている人は少なかったから、僕が直々に教授達に教えて回ったのだ。まあ、そのおかげで教育機関に授業で「魔力に関する詳細な分類」を授業内容に入れてもらう事を許可してもらえたんだけどね。


「戦闘では使わないと言っていたけど、今使ったね」


 まあ、いまは魔力爆発が突破されたことは重要ではない。さっき僕に対して戦闘では使えないと断言していた、アルカロール教授が自分から自信満々で使っている事の方が重要だ。


「・・・」


 するとどうだろうか。嫌な所を突かれたような顔を一瞬したがその足を止めずに近づいて来ようとする。


 僕は近づいてくる速度を落とそうと、魔力爆発を何度も起こしているがそのたび毎回不発に終わってしまう。・・・アルカロール教授は魔力操作が苦手で内魔力を体の外で結合させることは出来ないと思っていたが、この様子を見る限り全然出来るようだ。


 ただ、その毎回で剣を振るっているところを見ると、体に接している魔力でしか出来ないと分析は出来る。その剣を振る動作を強制させているおかげで、近づいてくる速度は弱まっているが、じりじりと近づいてきており事態の解決にはなっていない。


 僕はアルカロール教授が近づいてくるその数秒の間で思考を回しどうしようか頑張って解決策を考え出そうとしていた。


 ・・・!


「ふふふ。ここまで近づいてしまったらもう何も出来ないでしょう?」


 するといつの間にかアルカロール博士は剣が届く範囲内にまで近づいてきていた。・・・その瞬間、僕が知覚する速度以上の速さで剣を振ってきたではないか。やはり、元兵士と言うべきだろう流石の剣術である。


 僕は讃頌しながらもその攻撃を避けようとはせず、そのまま棒立ちでいた。まあ、反応が出来ていないのだからしょうがない。ただ、その攻撃が僕に当たろうとした瞬間。


「な!!!」


 アルカロール教授はなぜか攻撃を取りやめ、僕に当たる前に剣を横に逸らした。なぜこんな絶好のチャンスで攻撃を止めてしまうのか?このまま攻撃をしてしまえば簡単に試合には勝てる。だって、僕は反応する事すら出来ていないのだから。


 だが、そんな有利な状況でも攻撃を逸らした理由は見ている側からすれば明白であった。


 アルカロール教授の剣はボロボロになっていたのだ。いまにも崩れ落ちそうなくらいになっており、なぜこんな状態になっているか生徒たちは分からないだろう。


「・・・やりやがったな。」


 アルカロール教授は苦しそうにしているが・・・まあ、僕がやったのだからしょうがないか。


「生徒の皆はなんで剣がこうなったか分かる?」


 たまたま起きた事ではあるが、こんなに絶好の指導チャンスなので、生徒たちに魔力はこんなことが出来るんだぞと教えてあげよう。


「・・・」


 残念な事に誰も発言をして来ない。


「今のはね、第四内魔力の「安定」の性質を沈下させた時に出てくる「破壊」の効果を最大限引き出したんだ。普段は人間に被害を与えるほどの効果を示さない「破壊」だけど、とあることをすればこんな風に剣をも壊せる風になるんだよ。」


 勉強をしていない生徒たちには授業の様に教えても分からないだろうけど、表面的な部分でも分かって欲しいという気持ちで出来る限り分かりやすく説明をする。


 まあ、これで分かった人がいるならその人は天才だからぜひ魔導を勉強してほしい。


 それでなんで「破壊」の効果を増幅させられたかと言うと・・・僕は自分の第四内魔力に第一内魔力を結合する事で性質を「安定」から「破壊」にかえ、その結合した魔力をアルカロール教授の第四内魔力に結合させたのだ。


 すると、「破壊」の性質が強くなり結果として、剣をも壊すまでになったのだ。


 たぶん、アルカロール教授は爆発を警戒して剣に第四内魔力を纏わせていたんだろうけど、それが仇となり僕が活用してしまった。これは知識の勝利だね。


 ・・・ちなみに、今回剣に纏わせていた魔力が第四魔力で無かったら上手く対処することが出来なかっただろう。第四内魔力と第一内魔力は結合しても第四内魔力と同じ性質の魔力なので、上手く剣の魔力と結合できたが・・・もし、他の魔力を纏っていたら想像をしていない魔力に変化してしまったかもしれない。


 なので、僕がアルカロール教授の魔力と結合すると先読みをされていたら、他の魔力を纏わせて僕がさらに不利な状況になってしまったかもしれなかったのだ。


 もっと言えば今回は剣に纏わせてくれたから、アルカロール教授の魔力に干渉が出来たものの、もし手や脚に纏わせていたら同じことは出来なかった。武器に魔力を纏わせている時、もしくは魔力を体から離れている時はその魔力に対して干渉力が弱くなるんだ。


 だから、今回は僕が無理やり干渉してやったんだ。ちなみに、体に纏っていなかった以外にも干渉できた理由があり、僕の干渉力が物質に魔力を纏わせていたアルカロール教授の官署力より強かったと言う理由もある。ずっと前から魔力操作はやってきたから結構上手いんだよね。


 それに比べてアルカロール教授は最近から魔力操作を練習し始めたらしいのだ。まあ、その差は歴然としたものだったよね。


「流石にもう降参してよ?これ以上続けても泥沼になるんだけだしさ」

「っクソ。・・・今回はまことに申し訳ありませんでした。次回からはちゃんと「魔力に関する詳細な分類」に関しての授業をやらせてもらいます。」


 すると何と言う事だろうか。思わず言葉にならない声が出そうになった。僕の言葉に従って降参をしたうえその場で謝罪をしたのだから。・・・いや、別に謝罪が出来ない人だとは思っていなかったよ。だけど、さっきあれほど強気になっていたからここで降参をするのはプライドが邪魔をすると思っていた。


 なので、完全に予想外であった。


 それに完全に試合を再開する気でいたからコートの彼方此方に第一外魔力をまき散らして設置していた。まあ、せっかく設置した魔力は無駄になってしまうけど降参をするなら消してしまおう。


「じゃあ、今回は授業を行わなかった事については、僕は《・・》何も言わないよ。」


 そう言い僕はその場を立ち去る事にした。


 ・・・最後の悔しそうな顔は面白かったな





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