15話
15話
「オラ!!クソヤロウはどこだ!」
そこは学園のC棟の3階にあるとある教室。その教室に僕は扉を蹴り飛ばし破壊しながら入っていった。
その様子に、そこにいた生徒たちは驚いているようである。だが、それは想定内だ。だって今は授業の真っ最中。普通に授業を受けていたのに、何故か怒り心頭している僕が扉を壊しながら入ってきたのだから。
「な、何をしているんだね!ミツキ教授!」
そこで声をかけてきたのは、この授業を受け持っているアルカロール教授だ。何故か僕が入ってきたことに驚いているようだが、僕はなぜそのように驚いているか理解出来ない。
だって僕の標的はこのアルカロール教授なのだから。
「あ゛?契約に違反しているゴミクズをぶっ殺しに来た。」
「・・・誰が契約を違反したのかね」
授業で教えなければいけないことも教えていない割には、契約の重要性を理解しているようだ。・・・いや、僕が魔導を専門にしているから下手に手を出さないほうがいいと考えたのか?
「何いってんの?違反者はアンタだよ。」
「私は違反行為をした覚えがないぞ?」
その雲域が怪しくなる様子に生徒たちは困惑しているみたいだ。だが、その状態になってしまうのは今は致し方ないと我慢してくれ。この問題は今片づけなければいけないから。
「はぁ?貴方アルカロール教授は本来必須内容である、「魔力に関する詳細な分類」を教えていないでしょ?
先々年は教科内容の改定とか色々合って、それに僕が教師として入ってきたこともあって、教える事が出来なかったのかなと我慢していたけど、先年は教えることが出来たよね?これは「魔力」の教科を教える立場として契約している、契約内容に違反しているんだよ?」
僕はいいことを言った。・・・それにしても酷いよね。本来教えられるはずの内容を飛ばして他の事を教えられているなんて教える側もそうだけど、生徒側からしたら憤怒の嵐だよ。だって、約束を破っているんだから。
「・・・それについては申し訳ありません。今年度からはちゃんと授業をしておりますので、お許しを頂けないでしょうか。」
するとどうだろうか。アルカロール教授は、今年はちゃんと教えているからと許しを貰いに来た。確かに、契約を破ってはいるが、謝るのは重要だ。だが・・・僕はその謝罪を素直に受け止める事は出来ない状況にいた。
その理由は僕がこの教室に押しかけた時から、見えている。
「ふ〜ん。それにしては今教えている内容が進みすぎじゃない?今教えている内容は僕から見たら、「魔力操作の実戦」って言う「魔力に関する詳細な分類」の後にやるないよるじゃない?」
「・・・」
その僕の質問にはなぜか答えずずっと黙ったままだ。出来れば何か喋ってもらえれば反論も出来たものなんだがなと思ったが・・・僕はしょうがなく、次の手段に出る事にした。個人的にはやりたくなかったけど。
そう思い、僕は生徒が座っている席の方をぐるりと見渡し良さそうな生徒を見つける。
「そこの赤い魔法書を持っている赤髪の女の子。少し質問をさせてもらうよ」
「は、はい」
そのやりたくなかった事とは生徒を巻き込むことだ。だってこれは教授の契約違反の話であって、生徒が介入する事は無いはずなんだ。だけど、このままアルカロール教授が口を開かないなら話し合いも出来ないので、しょうがなく巻き込むことにした。
だけど、巻き込むと言ってもそこまで責任感のある事をやらせるわけではない。ただ、質問に答えてもらうだけだ。・・・これでも教授なんでね。
「第四内魔力が第四外魔力に変質したさい、性質「安定」に及ぼす影響はどの様な物なのか答えられるかな?」
この質問は内魔力や外魔力に関してちゃんと習っているのであればすぐに答えられるくらい簡単な問題だ。どれくらい簡単かと言えば・・・この分野を1週間毎日1時間習ったらすらすら答えられるくらいだ。
だから、僕が質問した・・・成績優秀な優等生で有名な女の子は答えることが出来るだろう。
「えっと・・・すみません。分かりません。」
「うん。ありがと。」
すると、どうだろうか。一切答えることが出来ておらず、まるでその内容を教えられていないかのようだった。
決定的な証拠が出た事により、僕は再度アルカロール教授をにらみつけどう言う事だと問いただした。もし下手な回答をすれば、契約違反となるからなと思いながら。・・・正直ここで契約違反としてこの学院の責任者に渡してしまってもいい。だけど、僕自身それではこの怒りが収まりそうにないので、私刑を実施している。
建前は事情聴取と言う事で。
「・・・私の授業は戦闘にお向きを置いた魔力の知識を中心に教えているので、「魔力に関する詳細な分類」を教える必要は無いと判断をしたんですよ」
「・・・?その回答だと明らかな契約違反として捉えることが出来るけどいいの?」
「いえ、契約違反ではありませんよ。戦闘に重きを置いた魔力に関する事を教えていると言いましたが・・それでもやらなければいけない授業はやっていますから。」
「・・・?えっと、其れこそ良く分からないんだけど、「魔力に関する詳細な分類」の授業はやっていないんだよね?それなら契約違反だよ。」
待って。本当にこの日尾Ⓣが言っていることが意味が分からない。だって、この授業を受け持つ時教えなければいけない授業内容が教えられるんだけど・・・その中にはちゃんと「魔力に関する詳細な分類」があったはずだ。それなのに、契約違反ではないって言う意味が分からない。
「いえ。私がこの授業を受け持つ時に契約した内容は戦闘に役立つ魔力の使い方の詳細です。私は「魔力に関する詳細な分類」の内容は戦闘には役に立たないと判断しているので契約違反にはなりません」
・・・待って本当に意味が分からない。いや、確かにこの人がこの授業を受け持つ時はそう言う内容で契約をしたのだろうけど・・・先々年に一度契約の内容を変えたはずなんだよな。
その変えた内容の中には「魔力に関する詳細な分類」の授業を行うと言う事も書いてあるはずだから・・・この人が言っていることは整合性が取れないんだよ。
ただ、そんな何も分からない中、唯一理解できることがあった。・・・こいつ僕の事なめているな。と。
いや、僕はまだ17歳のぴちぴちな若者だから目の前にいる30歳と言う年配者、別名年よりから見たら少年と何ら変わらないのかも知れない。それに僕は身長が伸びなかったせいか、160㎝にも届いていないのもあるかも知れない。
だけど、僕の実績に比べたらこの教授はそこら辺にある生ごみ位の価値しかない実績しか持っていないはずなのだ。それなのに、この僕に歯向かってくるのは・・・すっごいウザい。一度研究者としての現在の地位を考えてほしい。
それに、こいつ僕の研究成果の中でも最高級に位置する研究内容を、役に立たないものだと掃いやがった。これは僕の自尊心が傷つくぞ?
「ハハハハハ・・・・君の言い分は理解が出来ないけど、一度指導しなければいけない事は分かったよ。」
僕は自然と出てしまったその不気味で下に見るかのような笑い声を止め、この人のため脳みそを治してやろうと宣戦布告をした。
「表へ出な。手加減してあげるから。」
「・・・」
アルカロール教授は何をするか分かったようで、渋々ながらも戦闘場へと出て行ってきた。
「生徒の皆はごめんね。少し自習の時間にするから」
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