プロローグ
それはとある日の散々な出来事から始まった物語だ。
☆
「行ってきまーす!!」
俺はとある高校の入学式に行こうとしている、高校一年生の神崎 徹。頑張って受験勉強して入ったその学校は俺が昔から行きたいと思っていた場所だ。
だから、毎日何時間も勉強をしたんだけど、そのおかげで中学の頃は勉強の虫って言われていたな。だけど別に勉強が好きなわけではないから・・・誤解みたいな感じになって居たけど。
だけど、その誤解を正すことは出来なかったんだよな。だって俺が好きなのは、「ライトノベル」なのだから。・・・そんな事を同級生なんかに話すのは結構難易度が高かった。
まあ、ライトノベルは好きだったとはいえ、受験のために勉強も結構長い時間やっていたし勉強の虫なのは間違ってはいないのかも知れない。
・・・まあ、そんな事はどうだっていい!だって、今日はついに憧れの学校に行けるのだから!
俺は周りの通行人にも分かるくらいウキウキで歩いて学校に向かって行った。すると、これから毎日乗るであろう、電車が来たではないか。
昔から電車は酔ってしまうから苦手なのだが、それでも今日と言う日はそんな酔いも余興として楽しめる気がする。
ホームで電車を待っていると、後ろからドンドン人が並んできて一番前にいた俺は少し緊張が走る。これがラッシュなのかと。いつもは、こんな早くに電車には乗らないから、ラッシュは今日が初めてなんだ。
だからか、その人の熱に圧迫感を感じてしまう。もし、俺が何かミスをすればこの人たちが・・・なんて思ったり。だが、そんな事は起きないと思うので気軽に居ようと、緊張したその体をリラックスさせる。
「ふぅ」
学校の緊張の前に電車で緊張をするとは思わなかった。だからか、その緊張に誘発されて学校に対して緊張してきた。
髪型は大丈夫かなとか。制服に不備は無いかなとか。
思わず、キョロキョロしてしまうが大丈夫そうなのは分かった。
・・・あ、靴は大丈夫かな?
俺はその流れで思ったそれを確認しようと下を見ると、なぜか後ろから大きな声が聞こえてきた。
なにかな?と思いながらも、靴を見るのに夢中でそちらの方は見ようともしなかった。・・・それが運命の分かれ道だったんだろう。
その声はドンドン近づいてきており・・・なぜか、俺の後ろにいた人が移動した。横にずれるように。
その時やっとなんだろうと、思った俺は後ろを見ると・・・その瞬間体に強い衝撃が走った。それは誰かに押されるようで、飛ばされるように倒れてしまう。
何が起きたのか?俺はその後ろを向いた1秒以下の時では理解出来なかった。・・・でも、錯乱したおじさんが俺の方に向かって走ってきたのは分かった。
つまりだ。
俺はおじさんに押される感じで倒れた。
ただ、普通に倒れるだけならまだいい。吹き飛ばされて倒れたのだ。
俺が立っていた場所はホームの一番前。つまり目の前には線路である。
俺はその線路に落とされてしまった。・・直ぐに戻ろうと思ったが、落ちた衝撃で足を打ってしまい真面に動かせそうにない。それに腕も、後ろを向いた俺を前に向かせるために振り回したおかげで、落ちた時に骨を折ってしまい動かせそうにはない。
そして、最悪なのが・・・目の前から電車が来ている。と言う事。このままだと、引かれて死んでしまう。自力で逃げようとも動くことが出来ず。だが、誰かに助けて貰おうと思っても、俺を助ける間にその人が死んでしまうかも知れない。
それなら、緊急停止するボタンを押せばいいのでは?と思うかも知れない。電車のホームには落ちた人が居たら鳴らすボタンがあるのだが・・・・そもそもこの事態に気付いている人が、あまりいない。
この状態をゲーム的に言うと
「詰んだ」
チェックメイト、勝利、ドン勝つ。何でも良いが・・・俺の高校生活は無くなったのであった。
☆
耳心地のいいそよ風が自身の肌を撫で、それが俺の眠気を促進する。そのまま寝てしまいたくなるようで、気持ちがいい。
そこで俺は何かがおかしいと気がついた。
・・・俺はさっき電車に轢かれて死んだはずだ。なのになんで寝っ転がっているんだ?
そう、俺は今さっき死んだはずなのだ。よそ見していた俺がおじさんに押されて、無惨にも線路の上に落っこちて、無事轢かれて死亡。
そのはずなのだ。だから、突拍子もない考えに至ってしまうのはしょうがないと思う。それに俺はラノベをよく読んでいるから、そういう発想にたどり付きやすかった。
・・・もしかして、、異世界転生したのか。。。いや、ありえるぞ。
その発想は割と有り得るのではないかと本気で考えてしまう。だって、死んでいるのだからそれくらいの事が起きているに違いない!それに、転生モノではよくある死に方だ。これで、転生していないと考えるのは反対に変なのではないだろうか!
なので、自分が転生していると確証できる証拠を探そうとしてみることにした。・・・のだが、、、
体が動かない、まぶたが開かない。呼吸しかできない。
それ以外わからない。
・・・転生しているという確証が取れないのであった。
でも、一つの可能性としてとあることが思い浮かんだ。もしかしたら、今は赤ちゃんなのではないだろうか?
いや、だって、今の状態は赤ちゃんの状態とよく合っている気がする。
まず体が動かないのは、生まれたばかりで体がしっかりしていなくて、まぶたが開かないのは赤ちゃんもそうだ。
だから、今の俺の状態は赤ちゃんなのではないのか?それに、心臓の鼓動が聞こえるというか、打っているの’振動でもよく分かるから、生きているということはわかる。
これだけの条件が揃っていて、転生していないわけ・・・。
俺はその瞬間嫌な予感がした。一つの考えが頭に浮かんだのだ。その考えは割とありえることなのだ。
・・・もしかしたら、植物人間状態なのではないのだろうか?
いや、もしあの事故で生き残ったとしたら・・・こんな風になってしまっているのは納得してしまう。
今の医療技術で、直せるような状態ではないだろう。そう思っていたから、転生のあとに思いついたのだが。
もしかしたら、無理にでも生き残らせようとほとんど死人の状態で別途に眠っているとか。
・・・わりと有り得そうなんだよな。今のそよ風だって病院のまどから入ってきたと思ったら納得してしまう。
納得はしてしまうが・・・絶対に嫌だーーー!!!!!死ぬなら楽に死にたい!
何もできないまま何年も生きるのなんて、ただの生き地獄だろ!!ただの地獄よりも業が深いんじゃないのか!
そう思い、俺は感情が高まると・・・何故か涙が出てきて、叫びたくなってきた。
するとどういうことだろうか。
「ぎゃーーーー!!!」
俺から鳴き声が聞こえたではないか。
それは俺が動ける証拠であり、赤ちゃんに転生したという証拠にもなり得るのだ。
つまり・・・俺は転生したんだ!
・・・ちょっとまって、赤ちゃんだとしても生地獄じゃね?植物人間とそんなに変わりないじゃん。
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