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魔神ちゃん止まって!!第一章は「1滴の泥を落とされた楽園の中であっても」  作者: ショコラ・ホワイト・リリムリリス
1滴の泥を落とされた楽園であっても
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ep22 魔神ちゃん止まって!煌めく星々に粘りを込めて

「じゃあ、投げますよ……」

「安全のためにもなるべく遠くに投げといてね」

「わかりました。せーーーンのっ!!」

 デハルタの言う通りにキスアが投げた爆弾は、放物線を描き高く、そして遠くまで飛んでいき――。

 

 ドーーン!!!

 という音と共に光を放った。

 

「さて、どうなるかな」

「何かこれで変わ――――

「でりゃああああああああ!!!罪人っ!!だなぁああっ!!おまえーっ!」

 キスアの声を、頭上から降ってきた叫声が掻き消した。

 

 キスアが投げた爆弾により、森に木霊した轟音と光。そしてその直後、頭上より聞こえた声の主は何者なのか。


 二人が聞いたのは、女の子の声だった。デハルタとキスアの間を割って入るように、頭上から声と共に何かが振り落とされる。


 ズドーン!


 砂煙を上げ、二人の咳き込む声が聞こえる中、デハルタは一人涼しい顔をして砂煙から抜け出していた。表情からデハルタは、砂煙を物ともしていないことが見て取れた。


「「エホエホ!エホゴホ!!」」


 「大丈夫かなーっ? ここーっ空気が淀んでるしーっ、砂煙もすぐに止まないよーっ」


 ふわふわした口調で、砂煙に向かってデハルタが声を張る。どうやらキスアだけでなく、もう一人にも向けて言っているようだった。


 デハルタが言った後、手で顔を煽りながら、キスアともう一人が並んで砂煙の中より出てきた。


「なんなんですかもう……デハルタさんどこですかーっ」

「こっちこっちー。あ、仲良く出てきたね……」

「え……?」

 デハルタの言ったことがキスアはわからなかった。砂ぼこりでまともに目を開けられず、声の方に向かって歩いただけで、周りを見る余裕がなかった。


「罪肉どこじゃ~」

「ひえっ」

 すぐそばで聞こえた声にキスアはびっくりし、すかさず走ってデハルタのもとへ駆け寄った。一方、声の主は腕を振り回し、『罪肉』を捕まえようとしていた。


アクアメディカル(目薬)差す?」

「あはい、助かります」

 キスアはデハルタから目薬をもらって、瞳にそれを垂らした。

 まぶたを数回パチパチとさせて、目の全体に生じていたゴロゴロとした不快な違和感が取れたことを確認し、スッキリになった後、デハルタが指す方を見た。

 その指先には声の主がいて、その姿を見たキスアは少し嬉しくなった。何故ならその子は、かわいい女の子だったから。

 

 かわいいものには目がないキスアは、例えば危険な子……そう、今しがた上から、頭ほどあるゴツゴツの拳アーマーを振り落とした子でさえも一瞬嬉しくなってしまう。


 そしてその危なくてかわいい子は、ヘヴィグ・ロイコンという少女だった――。


 未だ視界が碌に確保できず、目のゴロゴロと戦っているのか、時折顔を手でぬぐいながらブンブンと腕を振り回す少女をしり目に、デハルタはキスアに語り掛ける。

「さて、あの子どうしようか」

「どうしようかって……。確保……?」

 キスアは少し着せ替え欲が出たのか、上目遣いで無理を通そうとした。

「……それもいいかもね」

 その言葉にキスアは『着せ替えしてもよい』の許可が出たと一瞬思ってしまい、キスアは満面の笑顔が一瞬覗いたものの、その顔を真面目なものに直した。

 デハルタとしては、キスアの欲が見えていない為に、情報収集ができるだろうという判断でそう言っただけ。それはキスアもわかった、一瞬淡い欲を満たせる気がして、気が付いた後に少しがっかりし、それを飲み込んで真面目な顔をしたのだ。


 「クソォ!卑怯だぞ罪人ん!アァアア!」

 二人のやり取りの間も、ヘヴィグはその場で暴れていた。目がゴロゴロしていてイライラが止まらないのだろう、苦しみを解放してあげられるのはキスアの持つ目薬だけだが、近づけば拳の餌食となって、ただでは済まない。

 確保しようにも、キスアがまともに使える魔術はどれも人に使えるようなものではなかった。


「うーん、どうしよう……。あ、アンバライトの弾丸を使えば……」

 罪の印をつけられた後、何かが起きると予想して、事前に砕いて(こしら)えたアンバライトの弾丸。キスアが着けている籠手型武器にそれを装填し撃ちだせば、遠距離からの拘束に使える。そのことに思い至り、キスアは宝収輝石(ほうしゅうきせき)に触れ、一瞬の輝きの内にアンバライトの弾丸を取り出した。


「そうだねぇ……。でも動き回るあの子を正確に、両手足を拘束できるように撃つのは難しそうだけれど……」

「うぅ……」

 デハルタの一言に装填する手が止まる。キスアは、それならばどうしたらいいのか考える――。

「アンバライトはどれくらいあるんだい?」

 デハルタはキスアに尋ねた。

 

「50発ほどはあります」

「数は十分あるね。なら当てずとも無力化できそうじゃないか」

「あっそうか……!」

 デハルタの言葉にキスアは閃いて、装填する手を再び、今度は素早く動かしアンバライトの弾丸を込めた。

 

 「まずはこれ……っ!」

 キスアが手に持ったウェウリュミナイトは『流れ』の事象を起こす石。澄んだ蒼をしているそれを目の前に投げ割って『流れ』の源流を生み出した。

 

 ダッ! ビシュゥウ!

 

 駆けだしその流れに飛び乗ると、キスアの身体は高く舞い上がる。

 

「この角度なら……っ!」

 ダンッダンッダンッ!

 

 ウェウリュミナイトの『流れ』の事象は、魔力を込めた使用者の意志のままに操ることができ、それによりキスアは一瞬のうちに高い角度からヘヴィグの足元を狙うことができた。


 上空より撃ちだされたアンバライトの星々が落ち、ヘヴィグの足元へ強力な粘性トラップが大量に展開される。

 

「わっ!うわわぁっ! あぶっ!」

 あちこちをうろつくヘヴィグの足を不可視の粘性トラップが絡めとり、その体を勢いよく地面に(いざな)った。


 

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