1 プロローグ
ここ、レヴァル大陸には多くの軍団がひしめき合っている。
多くの者は、真の冒険者になることを夢見ている。
そして冒険者一本で食べていくことができたら一人前と呼ばれている。
中には、いずれは独立したいと夢を抱いている者も少なくない。
ここでいう独立――それは自分の連盟を持つこと。
剣士や魔導士といった専門職を従え、己の掲げる信念と理想へ向かって万進していく。
そんな野心家たちの集まるこの世界に不本意ながら呼び出された者がいた。
それはごく平凡な日常を送っていた、ただの青年だった。
職業、廃プログラマー。
休みなどまったくない厳しい環境下で、ひたすらなんか良くわからないシステムを生み出す、いわゆるブラック企業の社畜。
独身、恋人歴なし。
だがそんなものは関係ない。
オンライン・ソーシャルゲームを心から愛し、休みの日には僅かな給料からちょっぴり課金してマイキャラを育成することを楽しみに生きてきた。
彼女?
――2Dでいいじゃん?
そんな彼の名は、黒沢陽彩。
体躯はすっとした細身で、おしゃれをすればそれなりに見えるだろう自分の容姿にまったく興味がないといったオーラ全開で無精ひげなんかまで蓄える。
だが。
今、彼は苦境に立たされていた。
突如、なんも分からないまま、こんなサイコバトラー達……弱い奴はクズだ、強い冒険者以外人ではない、力こそすべてよ、てな具合の野蛮でいかれた連中共が支配するサバイバルな世界に呼び出されたのだから。
頑張ります!!!!