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ダブルリフト  作者: 桜乃倖
第二条 同じものを二度繰り返して見せてはいけない。
6/14

  十鳴の事件発生から三日が経っていた。

 十鳴の同僚。つまりはマジシャンやショー劇場関係者を調べていったが、

 未だに手掛かりは見つかってなかった。

 何度考えても、やはり田瀬もしくは飯沼の犯行なのではと思ってしまう。

 しかし、それはやはり()()()だった。

 捜査の行き詰まりに追い打ちをかける事態が発生した。

 新たな事件が起きてしまったのだ。

 しかも、被害者は聴取したばかりのマジシャンの内の一人だった。



  「倒れていたのは人気マジシャンのJokerさん。本名は一木 遼二。

 普段はピエロみたいなメイクをしていますが、発見時はノーメイクでした。」

 彼の自宅の中にある一室だった。佐々木と香椎が入っただけで動きづらさを

 感じる程に狭い部屋だ。壁や天井、床までも黒一色で窓も無く、部屋の中には

 マジック道具であろうものや書類のようなものが入った段ボールが無造作に

 置かれていた。

「被害者はここで探し物でもしてたのか?」

 佐々木は段ボールを開けて中身を軽く確認しながら香椎に話しかけていた。

「わかりません。ただ第一発見者は探し物をするために、

 この部屋へ来たようです。」

 香椎の答えに佐々木は嫌な予感がした。

「おい。まさか、この部屋って...。」

「密室でしたよ。()()()()()()。しかも、第一発見者は事件発覚時、

 部屋の中にいたようです。」

 香椎の抑揚のない説明と無表情さえも三日前と全く一緒だった。

 そして、佐々木自身もまた同じように大きくため息をついていた。


  さすがにあの部屋内では関係者に話を聞くには手狭だったので、

 二人はリビングへと移動することにした。

 リビングには二人の男女がソファに座っていた。

 一人は黒い髪に顎髭を綺麗に整え、目鼻立ちもはっきりしており、

 所謂イケメンというやつなのだろう。眉毛なんかも綺麗に整えられていた。

 もう一人の女性は外国人のようだ。もしくはハーフだろうか。

 金髪の長髪を後ろで束ね、ブルーの瞳に真っ赤な唇。

 どこから見ても、とても魅力的な女性だ。

「こちらは佐々木警部です。今回の事件を担当されます。

 警部。こちらが今居 友介さんです。隣の女性が屋久敷 ローズさん。

 二人ともJokerさんのお弟子さんです。第一発見者で通報されたのは

 今居さんの方です。」

 香椎がそれぞれの身分を明かし、軽く一礼をしあった。

 佐々木が促すのを合図に皆がソファへ腰を下ろした。

「では今居さん。お手数ですが、もう一度ご説明をお願いします。」

 正面に座っている今居の目は赤く腫れて少し潤んでいた。

 直前まで泣いていたのだろうか。

 隣に座っているローズは今もなお涙を流しながら泣いていた。

「ええ。構いませんよ。私はマジック用の道具を探しに一人で

 倉庫の前に来ました。鍵はかかっていませんでした。時刻は十三時頃です。

 探し物は先生に頼まれたものでした。はっきりとは覚えてはいないのですが、

 鍵は私が中に入ってから掛けたんだと思います。」

「何故鍵をかけたんですか?」

 佐々木は書いていた手帳から目を離し、今居を見つめた。

 今居は視線を落ち着きなく左右に振り、佐々木とは目を合わせなかった。

「あの。癖というか。本当に無意識で、前にも他の部屋でも同じようなことをして

 怒られたことがありました。中に入ってからは電気をつけて五分ぐらい

 探していたのですが見つからず困っていた時に後ろから

 何か音がした気がしたんです。」

「音ですか?どんな音でした?」

 佐々木は今居に質問しながらもローズの方へ目をやった。

 ローズは下を向いて涙を流したままだった。

「気がしたというだけで、何の音というのはわからなかったのですが、

 もしかしたら気配を感じただけだったかもしれません。

 何気なく後ろを振り返ってみると、先生が床に倒れていました。

 もちろん、入った時にはそこには何もありませんでした。

 私が言うのは可笑しな話なんですが、まるでマジックのようでした。」





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