❶
スバルは新しく仕入れた酒をバックバーへと並べていた。
『ラフロイグ クォーターカスク』『ブルィックラディ 二十一年』
常連の愛酒たちをいつもの場所へ並べた。
今度はお試しで入れてみた新人に手をつけ始めました。
『グランドマニッシュ 十二年』『カリラ カスクスロレングス』
この中から新たなエースになってくれるやつが出るかもしれない。
期待を込めて、目立つ所に置いてみるかな?
後ろから入口の木製の扉が開く音が聞こえた。
スバルが振り返ると、そこにはアコが立っていた。
「いらっしゃい。ちゃんと新しいの入れといたよ。」
スバルは今日仕入れた最後の瓶を持ち上げた。
『ボルス・アドボカート』
それを見たアコの口角は自然と上がっていった。
「ロックでお願いね。」
アコがいつものようにアドボカートのロックを何杯か
飲んだ時だった。
マジックショーのない日にしては珍しく、本日二人目の客が訪れた。
「いらっしゃい。」
スバルの言葉でアコが入口の方を向くと、そこには金髪で西洋人風の
とても綺麗な女性が立っていた。
「ローズさん!お久し振りですねー。」
元気の良いアコに応えるようにローズは笑顔でアコの隣に座った。
長い金色の髪からは、ふんわりと甘い薔薇のような香りが
アコを優しく包み込んでいった。
「アコちゃん。久し振りね。」
「ローズはいつものでいいかな?」
「ええ。ブルィックラディをロックでね。」
スバルはローズの返事を待たずに、お目当てのボトルに向かって
手を伸ばしていた。
ロックグラスに綺麗に成型された丸い氷を入れると琥珀色の液体を
手際よく注いだ。
「お待たせ。」
その言葉に反して、あっという間にグラスはローズの前へと置かれた。
「全然待ってないわよ。ありがとう。」
ローズは笑いながら愛酒を口へ運んだ。
「後で今日仕入れたやつらも良かったら試してみてよ。」
そう言うとスバルは、さっき並べたばかりのボトルの方を見た。
それにつられローズとアコもそちらへ目を向け品定めをしてみた。
「やっぱり私はこの卵ちゃんがあればいいや。」
アコは愛おしそうにグラスを撫でながらそれを飲み干した。




