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「関東技術科学大学卒業。知識も有り、実行も出来た。
更に十鳴事件のアリバイもなし。」
話を聞き流しながら、佐々木は狭い部屋内で紫煙を燻らせていた。
「倉庫内には黒い布、マジック用に細工された段ボールも
見つかってます。決まりですよね。」
「まぁな。端から容疑者は二分の一だからな。容易な捜査ってな。」
署内のオアシスである、この二畳程の狭い喫煙部屋を出るべく
佐々木は重い腰を上げた。
「行くぞ。」
二人は表に止めてある車へ向かって歩き出した。
その時、先を歩いていた香椎が手帳を落とした。
佐々木は徐に手帳を拾い上げた。無意識にパラパラとページを
めくってみた。
分かっていたことだが、手帳は全て白紙のままで
何も書き込まれてはいなかった。




