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Vtuber二、囚ワレマシタ。  作者: フェイクピエロ
4/5

無作為に選ばれた無ノ人-02

■用語解説■

△Literacy V△

└日本語:リテラシー V

└動画共有サービス

└2030年の世界では、かなりの復旧率を誇っている、動画共有サービスである。

└配信者は視聴者に見える名前を変える事は可能であるが、内部システム的な名前の部分は実名で処理されている。

│例:視聴者側に見えているチャンネルの名前『ルルリ』 内部『姫森 明日奈』

│上記によって、配信者のプライバシーが守られている。

「それでは、説明は以上になります。なにか、質問などはございますか?佐藤 優月さいとう ゆつきさま」

 5分ほどの軽い説明を聞かされた僕は、その内容の凄さに驚きつつも、怪しんでいた。

 しかし、その怪しんでいることがばれてしまうとまた、先ほどのように右太ももに風穴を開けられてします可能性があるため、表面上は笑顔で契約事項を聴いていた。というより、契約してしまってから聞かされているので、単なる事後報告みたいなものだ。

「あります」

「なんでしょうか」

「私の衣食住に関する説明はされていなかったのですが」

「安心してください。佐藤 優月さいとう ゆつきさまの口座はもうすでに特定しているので、現在、入金手続き中となります。他に、質問はございませんか?」

 人の口座をもう特定しているとか速すぎだろ。

 一応、現代の社会では一般人の口座でも、国の口座並みに暗号化、並びに秘匿性があるはずなんだが。

 あ、ちなみに2030年の現在日本は、全ての取引が暗号通貨、つまるところの電子マネーで取引が可能になっている。

 現金も一応使えるが、有人の店では迷惑がられる傾向にある。

「ないです」

「そうですか、それでは、また、お会いしましょう」

 そういって、アウネは光の粒子になって消えた。


「ふぅ~これでやっと帰れ……ん?僕どうやって帰ればいいの⁈」

 急に連れてこられて、恐らく、連れてきたであろうアウネは先に消えてしまい、残された僕は、帰り方を教えてもらっていない。つまりこれは……つんだのではないだろうか?

「……あ!」

 叫んでいると、急に視界がまた、ブラックアウトした。


 目覚めるとそこは、いつもと変わらない8畳、1LDKの自分の部屋だった。

「あれ、戻ってきてる。というよりも、ベットで寝ている」

 おかしい、朝起きてから、確実にベットから立ち上がって起きたはずなんだが……まあ、判らないことを考えてもしょうがないし、いいか。とうか、夢だったのではないだろうか?

 そう思いながら、頭に着けていたVRGIAを外し、ベットから立ち上がろうとすると手首に違和感を感じた。

「……夢じゃなかった?」

 手首には、夢だと思いたかった世界で付けられた手錠のようなものが窓から差し込む朝日を反射して、鈍く銀色に輝いていた。

 ちなみに、この手錠もどきを取ろうと色々試してみたがダメだった。

 なので、途中で取ることに頭を使うのを放棄した。


 そうして僕は、いつもの、通例の、習慣の、愛着のある自分の、自身だけの席についた。

「今日も、面白そうな動画でも探しますか‼」

 なんてことのない日常、生命活動、非生産的で、社会不適合者で、ダメ人間と呼ばれるであろう活動を始める。

 この活動に意味があるのかと問われれば、ないと僕は、回答するだろう。

 ただ、意味はなくとも、意義があり、僕の唯一の癒しである。

 僕は、PCを立ち上げる。

 押し込まれたPCの電源ボタンは、待っていましたよとばかりに青く光り、パソコンの起動を知らせてくる。

 僅かながらに聞えてくる、風を取り込むファンの音が僕に安らぎを与えてくれるような気がする。


「あ、ライブ配信が始まってる」

 通知にチャンネル登録をしている、チャンネルの通知が表示される。

 僕は、その通知をダブルクリックし、病月 ルエちゃんのLive配信画面へと飛ぶ。


「お兄ちゃん、こんやみ~」

 可愛らしい声で、Vtuberの『病月 ルエ』ちゃんが挨拶をしてくれる。

 これに対して、しっかりと、コメント欄にて、コメントをする。

 ------------------

 7:00-秋田 健二:Konyami~~!!

 7:00-秋田 健二:Konyami~~!!

 7:00-佐藤 優月:こんやみ~!!

 ・

 ・

 ・

 ------------------

 この時代のコメント欄はというよりも、アカウント登録はすべて実名で行うことが義務づけられている。

 いわゆる、コメントの匿名性をなくし、アンチなどがわいたとしても直ぐに責任追及をできるようにするためらしい。

 そのため、2020年時代の動画共有サービス時代より、アンチと呼ばれる人々が湧かなくなり、コメントに対して責任を持つようになったらしい。


「うんうん、お兄ちゃんも頑張ってるんだね。ルエ応援してるよ」

 ルエの優しい応援ボイスを聞いて、コメント欄が沸いている。

 少し暗いけど、吸血鬼らしい、八重歯が可愛い。

 赤と黒を基調としたゴスロリと呼ばれるジャンルの服を着ている。


 それから、1時間ほど経過し。配信が終了する。

「おつやみ~~」


 配信の最後に『病月ルエ』目が合った気がしたが、気のせいだろう。

次回

『病みへ落ちる』

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