ファンタジー世界にて
今日、今日!遂にこの日がやってきた!
「じゃあお母さん行ってくる〜!」
俺は父親と一緒にこれから教会へ向かうのだ。今日は俺が10才になった日。10才になると教会へ行き、神託の儀式を行う。
「お父さん、俺どんな能力を貰えるのかな!」
神託の儀式ってのは、神の恩恵を授かる儀式だ。神の恩恵は2つあり、基礎体力を上げるのと特殊能力だ。特殊能力には聖剣を作り出したり、空を飛んだり。凄い能力が貰えるのだ。俺は特殊能力が楽しみで、目をキラキラさせているのだ。
おっと、教会に着いたみたいだ。教会の中はとても神秘的だった。内装に魅了されていると、神父が言った。
「それでは、儀式を始める。少年は前の魔法陣の真ん中に来るが良い。」
俺はルンルン気分のまま、指示通りにした。
「では、目を閉じなさい。」
目を閉じた。すると…何かが触れて心が暖まった。
「目を開けなさい、少年。」
俺は目を開けて、自分に力がみなぎるのを感じた。そうして、今お父さんと一緒に家に帰っているのだ。
「シュウト、今日は疲れただろ。お父さんが何か買ってあげるぞ!」
お父さんはそう言ってくれるが、僕は遠慮している。お父さんが奮発した日にはお母さんの顔が鬼なのだ。それで、お父さんが3時間叱られてるのを見たことがある。
「ハァッ…ハァッ…」
俺は息が苦しいことに気づいた。本当に疲れているのかもしれない。早く、家に帰ろうと思ったその途端、目の前が真っ暗になった。倒れてしまったのだ。
「おい、シュウト大丈夫か!」
…。次、目を開けたのは見知らぬ家だった。わけもわからず回りを見てみるとそこにお父さんがいた。
「シュウト大丈夫か?ここは魔術医者さんの家だから大丈夫だぞ。」
魔術医者さんの家らしい。安心してリラックスしていると魔術医者さんが入ってきた。そして、俺にとある紙を見せた。
「あなたの能力は…全反射です。これはとても希少な能力なのですが、これが原因であなたは呼吸をおこなえていないのです。なので、今は神の恩恵の無効化を余儀なくされています。非常に残念ですが、あなたは実質、神の恩恵を受けれない忌み子と同じです。」
俺は楽しみだった今日を最悪な今日になった瞬間を感じた。
それから、5年後―
俺は街に出る事にした。このクソみたいな神の恩恵を持ったまま。俺は魔道具技術士から神の恩恵をオンオフできる装置を貰った。まぁ、オンにする意味が無い気はするが…。
「シュウちゃん、気をつけてね!」
「ちゃんと、街でもやって行くんだぞ!」
母さんと父さんに見送られ俺は馬車に乗り、街へ出た。
ここまで、読んで頂きありがとうございます。
気が向き次第の続編になりますが、お付き合い頂けると幸いです。