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この魔界は僕の手の中に!  作者: 怪盗N
2/4

村と村人、消失

よろしくお願いします!



村長に許可を貰い5日後に新たな村となりそうな場所を探しに行くことになり、ルディアは早速3つ目の魔法を練習するため村を出て森まで来た。

いつも練習場所にたどり着く。

ルディアの前には幹が直径20メートルもある大木がある、いつもこの木に向かって魔法を放っており練習後はこの木も含めあたり一帯を破壊するのだが、次の日に来る頃には形は違えども元に戻っているのだ。

これも魔力のおかげで森はその形を保ち続ける。


「よし、やるか」


まずは1つ目の魔法。

地形変化グランカン

手のひらに魔法陣が浮かび上がるとルディアの周りの地面が波を作り、目の前にある大木に衝突。

凄まじい衝撃と同時に大木は倒れそのまま奥の大木達もまとめて倒す。


「うん、コントロールよし!」


2つ目の魔法。

冠水砲カノンガン

再び手のひらに魔法陣が浮かび上がり、魔法陣からものすごい勢いの水が放出された。

水は一直線に進み、障害物を次々と破壊していった。


「これもいいなけど一直線にしか進まないからな…こうやって手のひらを動かせばいいんだけどこれじゃみんなと一緒に戦えないしな」


手のひらを左右に振ると向けられた場所は粉々の水浸しである。

威力、範囲どちらも村人達では誰もできない。

そのためルディアは単独で戦うことが多かった。


「最後の魔法はまだうまくできないんだよな」


魔法陣ができていないために使うことができない。


「頑張って作るか」


ルディアが使用している魔法は【始源魔法】

という。

【始源魔法】は魔法を創った者の専用魔法となる、しかし、魔法陣に使用者の情報を付け加えれば他の者でも使うことができる。

【始源魔法】を創るには始源魔法の適正がないと創ることはできない。

創ることができたとしても魔法を理解して作り上げないと弱く、使い勝手が悪いものになる。


次に【階級魔法】はこの世界ができたと同時に生まれた完璧な魔法。

【階級魔法】は階級ごとに威力、効果、発動に必要な魔力量などが決まっている、階級は1から13まで存在する。

階級が上がると魔法の行使が難しくなる。

魔法陣が読めればその階級が使えると分かる、読めなければ使えないと分かる。

種族問わず誰でも使える。

魔法として完成しており、威力、効果範囲、持続時間などなど調節などもできる。


それからルディアは何ヶ月前から創り始めていた新しい魔法を創ることができた。

出発する日は明日、ギリギリだが完成したなら後は制御するだけだ。


「行くぞ《風魔斬ウィン・ア・ザン》」


風の斬撃が何本もの大木を切り倒した。


「すごい威力、これなら大丈夫だな」


魔法、食料、体力どれも絶好調なため、ルディアは予定通り明日出発することにした。



次の日


ルディアは剣と必要最低の物を入れた小バックを持って村長の家を出る。

水は魔法で、食料は魔物の肉、森にある山菜などで十分やっていけるため、荷物がこんなに少ないのだ。

家を出て村の外に出ると後ろから村のみんなから激励の言葉を貰らい村を後にした。


村から随分と遠くまで歩いたが周りの景色は全く変わらない、どこを見ても木々ばかり。


「やっぱり、あの村の場所だけが開けているのかな」


歩いていても時間を無駄にすると思いここからは走ることにする。

しかし、どんなに走っても景色が変わることはなかった。

日が落ちたのでルディアは木の上に登り、左右の高さが同じ枝を見つけハンモックを設置、横になる。


「今日だけでもだいぶ歩いたし、走ったのに…魔界ってどれくらい広いんだろ」


その夜はハンモックの上で夜空の星々を見ながら瞼を閉じた。


あの日から数日、永遠と続く森の中を走り続けた、景色が変わる時はいつも魔物と相対した時だけ、他は何も変わらない、この頃になってルディアは気づいた。

村に帰れないかもしれない、一応、印などを残してはいるがこの森はまるで生物のようで形を変えることがある、そのため目印も消えている可能性があるかもしれないと。


「どうしようかな…?」


そんな時、ルディアの魔眼は代わり映えしない森の奥に木々が無い土だけの場所を発見した。


「やった」


ルディアはその場所へ走っていき、何かに吹っ飛ばされた。


「かはぁ」


ルディアは生まれて初めてここまで強い攻撃を受けた。

吹っ飛ばされた場所でうつ伏せの状態から顔だけを上げ、敵を確認する。


全身薄黒い肌に青い触手がいくつもうねっている、四足歩行の前腕が発達した、全長15メートルの顔がない魔物。

異様な魔物だが強い。


「開けた場所かと思ったら、お前が暴れたからこんな風になってただけかよ」


言いながら立ち上がる、痛い、こんな痛みを感じたことはない。

どうやら触手の一本で吹っ飛ばされたようだ。

攻撃…今はこの魔物からどうやって逃げるかだ、魔物はルディアを見続けている。


「クソ、油断したせいで」


剣を構えながらも逃げるために重心を魔物ではない方へかける。

しかし、最初は近づいただけで攻撃してきたのだが、剣を構えている今はルディアを見るだけで何もしてこない。

ルディアは魔物が動かないため、このまま相対している意味もないので、大きく後ろへ飛びそれから全力で走った。


「あの魔物一体何だったんだよ」


しばらく背中を見せて走っていたが、襲ってくることはなかった。


「と言うか、あの魔物、俺のこと目もないくせに見ていた…なんで僕あの魔物に見られてるって思ったんだろう」


ルディアはこの事が何故かとても気になり、もう一度あの魔物の側に向かった。


「あれ、あの魔物がいない」


あの魔物がいた場所から遠く離れた草むらの中から、覗いたのだが、あの魔物は姿を消しており、そこにはだだっ広い所々土が盛り返された大地があった。


「この場所はすごいな僕が《地形変化グランカン》を使ってもこんな風にするのに結構魔力使うだろうな」


この広場は直径約300メートル。

広場の中央まで来てあの魔物が座っていた、少し高いところへ行く。


「ここから見ていたんだな、ここから僕が出てきた、あの場所まで触手がよく届いたな」


登ってきた方と違う反対側を見ると、あの魔物が進んでいったと思われる、木々が倒され、土がむき出しの一本道ができていた。


「…」


その一本道を見ていた時ルディアは違和感の正体に気づく。


「あの魔物、僕の魔力を見ていたんだ」


この一本道はルディアが自身の魔力を目印にして付けてきた道を一直線にしたものだ。


「あの魔物より早く村に帰ってみんなに知らせないと」


ルディアはその一本道に沿って走り出す。


「まずはあの魔物に追いつかないと、でもついさっきまでここに居たんだから、直ぐに追いついてみせる」


ルディアはここに来るまで魔法などは使わずに素の身体能力だけで来た。

しかし、帰りはあの魔物に追いつき、追い越さなければならない。


「魔力が勿体無いなんていってられないな、《身体強化パワー・エンハンス》」


ルディアが使った魔法では無くの【魔力制御】によって身につく能力の一つ、《身体強化パワー・エンハンス》。

元々魔族の身体能力は高い、そこに強化を加えれば魔物なんかに遅れはとらない。

ただの魔物になら…



真っ暗な闇の中を全速力で駆け抜ける。

数日間走ってたどり着いた場所から1日で帰ることは出来ず、何度か魔力の回復のために休憩もしたが、ルディアは魔法を使いながら全力で追いかけたのだが追いつくことはなかった。


「あの魔物、どんだけ速いんだよ」


すると遠くの方で煙が上がっているのが見えた。


「頼む間に合ってくれ」


煙を確認してから1時間走り続けてたどり着いたのは、荒らされた畑、燃え上がる村の家、横たわる村人そして村の中央にあの魔物がいた。

未だ触手で破壊行動を行なっていた。


「…」


足が止まる、全身の力が抜け、膝をつく。

自身の魔眼に映る光景を信じたくない、信じたくない。

しかし、その光景は現実である。


「アアアァァァァァァァァァァァァアアアアァァァァァァァァァァァァアアアアァァァァァァァァァァァァアアアアアァアアアアア」


現実だと知り、ルディアは悲しみと怒りがごっ茶混ぜなった声で叫ぶ。

そのまま魔物に向かって走り出す。

走りながら魔法陣が複数浮かび上がる。


「《身体強化パワー・エンハンス

地形変化グランカン

冠水砲カノンガン

風魔斬ウィン・ア・ザン》」


身体能力を上げ、 《地形変化グランカン》を遠隔操作で魔物の直ぐ近くの土を使い、太さ1メートル、長さ2メートルの先端が鋭くした槍を何本も魔物へ射出。

その間、右手のひらに 《冠水砲カノンガン》、左手のひらに 《風魔斬ウィン・ア・ザン》の魔法陣を展開。

先に 《風魔斬ウィン・ア・ザン》を放ち、その場に止まり足に力を入れる、右手をあの魔物に向けて 《冠水砲カノンガン》を放つ。


魔物はルディアの叫び声に直ぐに気づき、その後の飛んで来た槍たちを触手で難なくはたき飛ばし、漆黒の風の斬撃を躱す、最後の水の咆哮には魔物達が使う【種族魔法】の1つ、《魔力砲マナ・ガン》で対抗する。


ルディアの《冠水砲カノンガン》と魔物が放つ《魔力砲マナ・ガン》が衝突する。


魔力の制御をこの世界の者は必ずする、魔力制御ができるようになり、いくつかの能力を得るその1つが魔力感知だ。

あの魔物と戦闘を始める前に魔力感知で生存者がいないか確認をしたのだがいなかった、ためにルディアは全力で戦えているのである。


両者の魔法の余波であたりが吹き飛ぶ。

ルディアは踏ん張りなんとか対抗していたが徐々に押されていった。

ルディアの魔法陣が砕け、魔法が解除される。

目の前には《魔力砲マナ・ガン》が、とっさにルディアは【魔力制御】の恩恵の一つ、《肉体強化ボディ・エンハンス》を使用、顔の前で両腕をクロスさせ、受ける。




太陽の光がルディアを照らす。


「うぅぅぅぅ」


ゆっくりと目を開ける。

ルディアは生きていた、動こうとしたが体は少しは動くが立ち上がることができない。

目だけを動かし、あたりを確認する。

目の前には自分が受けた《魔力砲マナ・ガン》の跡である一本道ができて、ルディアの体は岩に埋まった状態である。

魔物はまた姿を消していた。


「この…状態じゃあ…《回復ミムア・チュウ(中)》」


【階級魔法】の第4階級の回復を数回使用する。

四肢の欠損はなし傷だらけだが《回復ミムア・チュウ(中)》で傷を治すと痛みが無くなり、立ち上がることができた。


「頑丈な体に感謝だな、それにしても軽い傷ばかりで深い傷は一つもなかったな…変なの」


ルディアが寸前で《肉体強化ボディ・エンハンス》を使っていなければ、四肢の欠損どころか死んでいた可能性もあった。


「村に行くか」


魔力砲マナ・ガン》によって作られた一本道を歩いて行く。


「ごめん、みんなのこと無視して戦っちゃって」


体がそのまま残っている者はいないためアンデット になることはない、体の一部を燃やして骨を、体がなくなっていた者は思い出の品を探し出して、それらを村の端へ。

お墓を作った。


「ごめんなさい」


朝日がルディアを優しく照らした。


「みんなが僕の背中を押してくれているみたいだな…そうだといいな」


涙を拭き、ルディアが今考えていることをみんなに伝える。


「みんな、僕強くなる、強くなって多くの者達を守れるようになるよ、だから見ててね」


ルディアは歩き出した。

ここからルディアの魔界統一が始まる。







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