73話 エンディングだぞ
73話 エンディングだぞ
なんとか、地獄の試合を乗り越え、元の講堂に強制転移で戻されたトウシたち。
彼らに『しばしの休憩』を言い渡したアダムが瞬間移動でその場から去った瞬間、
全員が、ワっとトウシのところに集まって、トウシという英雄を全力で讃えた。
「神に! 勝った!」
「トウシくん、ハンパないな!」
「これ、生き残れるだろ! トウシくんが神殺しを果たして、俺ら、余裕で生き残れるパターンの、ハッピーエンド的な物語のアレだろ!」
ラスボス・鬼門である『神』に勝てたという事実は、彼らに大きな希望を与えた。
ここまでは、どこかで、
『結局、神様には勝てないから、最終的には、全員殺されるだけなんじゃ……』
という不安があった面々だが、
神との1打席勝負で、トウシが勝った事で、全員の心に、『まっすぐな希望』が灯った。
「いける! いけるぞ! トウシくんがいれば、俺達は生き残れる!」
「神様がなんぼのもんじゃない!」
「俺らは神話狩り! 神を殺す剣!」
と、そこで、称えられ続けているトウシが、
「まだ、わからへん……野球の勝負で勝てたからって、それがなんやねん。ガチンコで殺しあったら、神様の方が確実に強いんや。球遊びの結果でうかれんな、アホども」
辛辣な言葉を投げかけたが、
しかし、
「……まあ、でも……」
トウシは、そこで、口をモニョモニョとさせて、
「確かに勝てた……少しだけやけど、可能性は見えた……そして、それは……」
全員を見渡して、
「……お前らがおらんかったら、出来んかった事……それは……まあ、事実……やから、まあ……その…………ありがとう……いろいろ」
そう言ったトウシの姿に、裏でキュン死しかけているジュリアの向こうで、
「デレた! トウシくんがデレましたよ!」
「私達、ついにトウシくんを攻略したのね!」
「エンディグだぞ、お前ら、泣けよ!」




