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49話 一位……


 49話 一位……


(っと、あかん、あかん、余計な事考えとる余裕はない……まだ、2000点くらいしか取れてへん……)


 一瞬だけ雑念にとらわれかけたが、その後、トウシは、心を無にして、ただひたすらに数式と向き合った。

 トウシのレベルまでくると、数学の問題を『考えて解く』ようなマネはしない。

 ぷよぷよやテトリスの達人同士の闘いをイメージすれば分かりやすいかもしれない。

 一瞬でも手が止まったら負けなのだ。


 頭の中に刻まれた『おびただしい解答パターン』で、

 ひたすらに問題を喰い殺していくトウシ。


 試験が終わると、


「……ふぅ」


 トウシはシャーペンを放り投げて、天を仰いだ。



 と同じタイミングで、アダムの、パチンと『指を鳴らす音』が聞こえた。

 すると、机の上から紙とペンと消しゴムが消えて、


「採点終了。結果を、ここの黒板に張りだしておく。各自、確認しておくように」


「……は、はや……100人分のテストを、一瞬で採点って――」

「って、これ、100人分じゃねぇ。30000以上の順位がキッチリと張りだされているぞ」

「ハンパない速度やな……」

「いちいち、規格外……」

「で、どう? 全員、100点以上とってる?」

赤原「あ、俺は80点くらいだから、全員ではない」

坂本「私は……70ちょっと……」

岡葉「き、きみたち、なかなか酷い点数だね……まあ、数学って、苦手な人はとことん苦手だから仕方ないけど……」

赤原「俺は苦手なんじゃない。やってないだけだ」

坂本「私は……普通に苦手……」


 などと言いながらも、30点くらいなら、トウシから買ってしまえばいいとの想いもあったのか、内心ではそこまで焦っていなかった。

 しかし、


「で、一位は?」

「聞くまでもないだろ。トウシくんに決まって……ん?」


 結果を先に言うと、一位と二位の点数だけケタ違いだった。

 一位は『7052点』で、二位は『6830点』。

 三位は雷堂の『520点』なので、上2人がいかにズバ抜けているか、よく分かる。


「二位トウシくん……」


 二位にはトウシの名前。

 そして、一位には、



「一位……モンジン……」



 この異世界デスゲームの主催者、偉大なる『神の王』の名前が記されていた。


「ぁ、あの神様、ふざけてんのか……なに、中学生の数学テストに参加してんだよ……」

「恥も外聞もないのか……」

「え、ちょっと待って……これ、一人、完全に落ちるってことじゃ……」


 そこで、アダムが、


「よく気付いたな。一位が主上様である以上、貴様らの中の最下位は93位となる。つまり、一人脱落確定。現時点で最下位の坂本が失格になる」


 絶望の表情を浮かべる坂本。

 アダムは、一切の容赦なく、アレスに命令を下し、坂本の携帯ドラゴンを瞬殺した。

 結果、坂本の体は光の粒になって……



「ぁ、あぁ……そ、そんな……ぁ――」



 世界に熔けるように、消えていった。

 そんな坂本を、残った連中は、歯噛みしながら見つめていた。


「ふざけるな! 俺ら以外は、100点が上限って言っていたじゃないか!」

「カス共の上限は100だと言った。主上様はカスじゃない。その対極におられる、この上なく尊き神の王」

「か、神様も参加するなんて……聞いていないのですが」

「ああ、言っていないから、当然だな。で、それがなんだ? だからやり直せとでも言いたいのか? なぜ、私が貴様の注文を聞かなければいけない? 私は貴様のウェイトレスではないぞ?」

「……」

「そんな顔をするな。絶望するほどの事じゃない。ことは非常に単純だ。勝てば問題ない。今後、ずっと、全員が主上様以上の成績を取り続ければ、なんの問題もなく全員生き残ることができる。非常にシンプル。何も難しくない。そう、貴様らが……くく……主上様に勝てば……くくく……あははははは! ふっ、不可能すぎる! 絶対にありえない! あははははははは!」


(((((((こ、このクソアマ……)))))))



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