42話 高次の対話。
42話 高次の対話。
「数式だけでリアルの全部を手に入れようなんて思っとらん。『果てなき反復』の重要性は理解しとる。ただ、ワシは、極限を超えた時間短縮&最効率化を実行しとるだけ。武術の達人に、ネットワークで加速させた演算能力で勝つ……ワシからすれば、そこにこそロマンを感じる。それだけの話」
トウシは加速していく。
その速度は限界を超えていく。
(凄まじい成長速度……タナカトウシ……貴様の頭脳は、本当に凶悪だ……)
(分かる。理解できる。ジャミは強い。本当に強い。だからこそ、ワシは、もっと――)
密度が増していく。
指数関数的に、闘いの濃度が増していき、
ついには、
「……くっ……タイムアップだ……」
トウシを殺し切れず、悔しそうな顔でそうつぶやくJジャミ。
「言っておくが、逃げる訳じゃない。本当に今回は時間切れだ。貴様よりも、オレの方がまだ強い……まだ……わずかに……くっ……」
そこで、ジャミは、悔しそうな顔を残して、その場から瞬間移動で消えてしまった。
残されたトウシは、
(確かに、まだワシはジャミより弱い……けど、ワシは、もっと行けた……ワシの成長は、まだまだ始まったばかり……ワシはここから強くなる……)
グっと空を見上げて、息を吸い、
(おもろいな……この『戦闘』ってゲーム……ただの暴力やない……超高次の会話……限りなく奥深く『互いを知っていく対話』……これを極めた『先』……見届けたいと強く思う……)
ジャミとの戦闘の余韻に浸っていると、
――アダムが現れて、
「驚いた。まさか、ジャミに勝つとは……なかなかの資質だ」
言ってから、
「ジャミに勝った報酬だ。受け取れ」
『100万を超えるMDP』と『限定☆Xの強化パーツ』をトウシに与えるアダム。
「その強化アイテムは、ほとんど、貴様専用の強化パーツと言っても過言ではない」
「……ワシ専用?」
「劣化融合などしなくとも、貴様の脳をマルチコアにするアイテムだ」
「っっ?!」
「この上なく偉大な主は、貴様の成長を大変喜ばれておられる。貴様のために特別に創られたその『専用強化アイテム』を使い、もっともっと、果てなく強くなれ。貴様が強くなることを、主上様は望まれている。主上様の期待を裏切るな」
そう言って、アダムは姿を消した。
残されたトウシは、
(神の期待ねぇ……もしかして、あの神様は、『強い遊び相手』を望んどるんか? このデスゲームは、まさか、神様の遊び相手をつくるためのゲーム? ……もし、ホンマにそうやとしたら、なんて迷惑な話なんや……)
ボソっとそう言いながら、
しかし、
(けど、おかげで、新しい世界を知ることができた……せっかく、ここまで来られたんやから、もっとエグく欲を出したる。『神様のちょっとした遊び相手』なんていうヌルいステージにとどまらん。神を超えたる。他の奴には絶対に出来んが……ワシなら出来る。いや、というか、これは、ワシにしか出来ん不可能や)




