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13話 それぞれの思想。


 13話 それぞれの思想。


赤原「病気以外の不幸なんざ、この世に山ほどあるぞ」

A「じゃあ、この世から不幸をなくしてくれって願えばいいだけだろ」

B「そうなると、次は、不幸の定義がどうこうって話になってくるな。人を殺す事でしか幸福を得られない人間は、人を殺せないと不幸になる」


 議論が過熱してくると、

 赤原以外の、大金チームのメンバーの一人(C)が、手をあげて、


C「そのパターンだと、『人を殺す事でしか不幸を得られない』という不幸がなくなるんじゃね? 普通に考えて」


B「ああ、なるほど、その考えはクリティカルだな」


D「ていうか、クリアした後の事なんて考えている余裕あるの? 9999階まで上がらないと死ぬんだよ?」


赤原「これは、余裕があるかどうかって話じゃなく、モチベーションをどう上げるかの問題じゃないか?」


A「お前のモチベーション、金かよ。ははっ」


赤原「それの何が悪い。論理的に言ってみろ」


 赤原は、ハッキリと『ムっ』とした顔になって、そう言った。

 そんな赤原と対峙して、一歩も引かないA。


 ――そこからも、しばらく議論は続いていた。

 話は、哲学や倫理にまで飛んで、

 収集がつかなくなりそうだった。


 そんな彼らの向こうで、


 トウシとジュリアは、


「なんでも願いが叶うんやて。良かったな。ついにワシを殺せるやん」

「何度も言わせるな。あんたは、この手で殺す。他人になんて任せない」

「他人やなくて他神やけどな」

「どうでもいい」

「まあ、確かに」


 などと、じゃっかんのんきな言葉を交わしていた。



 ノンキなトウシたちと違い、他のメンツは、いまだ終わらない喧騒を続けていた。



赤原「――だから、結局のところ、不幸どうこうの定義は難しいだろ。俺だって、ガキの頃は色々考えた。で、結局のところ、金って結論に至ったんだよ。金ってのは、全世界共通認識の『力』なんだ。食っていくとか、病気を治すとかも、結局のところは、金次第。それってつまり、『命は金で買える』ってこと。というか、『命は金でしか買えない』ってことだ。それが現実なんだ。愛で病気は治らない」


 赤原のマシンガントークはとまらない。

 言葉の弾丸で、異思想者を叩き潰そうと、


赤原「金が全てって言っているんじゃないぞ。金は原動力だって言っているんだ。車で例えるところのガソリンが、金なんだ。貧困を解決するとか、学校を建てるとか、国を維持するとか、インフラを整えるとかも全部、金さえあれば、あとは、人間の底力でどうにかできる。だから、俺は金を望むんだ」


A「……か、金だけあったって意味ないだろ。そんなに金が好きなら、無人島で金だけ抱きしめて死んでろ」


赤原「いや、だから、そんな話はしてないだろ。何言ってんだ、お前。人の話を理解する能力が死んでるのか?」


 人の話を理解する能力が欠如しているわけではなく、

 ただ、赤原の怒涛・圧迫感に負けて、

 つい、自己主張だけが飛び出してしまった、というだけのチンケな話。


 ハッキリと険悪にもなってきた空気の中、岡葉が、


「はい、そこまで! 全員、まずは落ちついて。とりあえず、議論はこの辺にして、そろそろ行動を起こそう。モチベーションを上げるのは確かに大事だけど、一番大事なことは、その上がったモチベーションをどうするか、だろ?」


 岡葉は、大金チームに入ったというワケではないが、

 ソロプレイを宣言している訳でもなく、

 全体を見渡しながら、冷静に、場をコントロールする役目に徹している。


「というわけで、ここらで、いったん、無料10連を引いてみない? 互いの戦力差をハッキリさせておくことは、今後の行動の基準になると思う」


「ぴよぴよ(ハッキリさせる必要はないんじゃない? ていうか、ハッキリさせるのイヤなんだけど)」


「別に、手札を全部見せろと言っているわけじゃないよ。たとえば、『☆Xが当たった人がいた』ってなれば、たとえ、性能がどんなものであれ、その☆X持ちを警戒するだろ? それとも、そういう強敵を下手に敵に回して『余計な被害』をこうむりたい?」


「ぴよぴよ(なるほど、そういう考えね)」




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