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12話 大金チームの結成。


 12話 大金チームの結成。



 去っていく密波の背中を見送ってから、岡葉は、周囲に目を向けて言う。


「他の皆は?」


味崎「俺も一人でやる。他人は信用できない」

雷堂「私は単純に一人の方が気楽だから、チームとかは組みたくないかな」


 と、何人かは、ソロプレイを宣言して、この場から去っていく。


 もちろん、そんな者だけじゃなく、


「俺は生きて帰れればそれでいい。願いがないワケじゃないけど、俺の願いは、どれも、元の世界に帰れば、自分の力で叶えられるモノばかりだ。俺みたいなヤツ、他にいないか? チームを組もう。単独より複数でいた方が、色々と安全だし、荒野でサコを狩るのも楽になる」


赤原「じゃあ、俺と組もうぜ。俺の願いは『神様じゃないと叶えられない無茶な願い』だ。俺に願いの権利をくれるのなら、死ぬ気でがんばるぜ。ちなみに、俺の願いは『数千京円超えの超々々々大金』。当然、その数千京という金がただのインフレにならず、きちんと世界で機能する事を条件にした上で、満額払ってもらう」


「なるほど、確かに、それは、神様じゃないと叶えられない願いだな。数千京円を機能させようとすれば、資源とか土地とか増やさないと無理だから」


赤原「そういうこと。で、これは、分配可能な願いだから、チームのメンバーには、当然、分け前をくばる」



 と、そこで、

 それまで周囲の様子をうかがうだけだった、デブメガネの佐藤ツカムが、


ツカム「いいですね、それ。――分かりました。入ります。他にいませんか? このチームに所属してクリアすれば、大金が手に入りますよ」


 そこで、鈴木宝馬も、


ホウマ「ぴよぴよ(私も入るわ。その方が攻略効率よさそう)」


 そう返事をした。

 ホウマの返事を聞いたツカムが、


ツカム「え……あの、『ぴよぴよ』ってなんですか? ……ていうか、なんで、ぴよぴよしか言っていないのに、言いたい事が伝わってくるんですか? ぇ、なんか、恐いんですけど」


ホウマ「ぴよぴよ(これは単なるキャラ作り。私の言いたい事が伝わっているのは、私が引いたキャラパーツに、テレパシー機能がついているから。それだけ)」


 と、そこで、彼女のことをよく知っている岡葉が、


岡葉「ああ、えっと、彼女は、なんていうか、『こういう感じ』の子なんだ。悪い子じゃないし、めちゃくちゃ優秀なんだけど、ちょっとズレているというか……」


「ぴよぴよ(私は、別にズレていないわ。ただ、『常に異端でありたい』と願っているだけ。だから、実をいうと、この状況に、かなりワクワクしているの。念願だった『異能持ちの女子中学生』になれて……正直、大満足)」


 ホウマのそんな発言をうけて、ツカムは、渋い顔で、


「なるほど、奇人ですね……かなりの美人さんだというのに……なんて残念な人なんでしょう……まあ、いいですけど。さて、他にはいませんか? ぶっちゃけ、全員で力を合わせた方がいいと思うんですよね」


「あ、じゃあ、俺も入る。『特別叶えたい夢』とかないし。――あえて言うなら、こんなところで死にたくないってのが、現状で叶えたい一番の願いだな」


 ――と言った感じでチームを組んでいく者達。

 

 そんな大金チームに対して、


「金がどうこうって願いをするくらいなら、さっきの三つ編みの子に願いの権利をくれてやればいいのに」


 などという者もいた。

 その反論として、


赤原「たった一人の病気を治すだけってより、手に入れた大金で世界の医療レベルを上げたりとかした方が、よっぽど大勢の人を救えるんじゃね?」


 大金が願いだと公言した少年――『赤原』が、ムっとした顔でそう答えた。

 それに対し、金という概念に対して嫌悪感を持っている少年(A)が、


A「それだったら、『この世から病気をなくしてくれ』って願ったらいいって話になるだろ」


赤原「病気以外の不幸なんざ、この世に山ほどあるぞ」


A「じゃあ、この世から不幸をなくしてくれって願えばいいだけだろ」


 と、そこで、別の少年(B)が、サっと手をあげて、


B「そうなると、次は、不幸の定義がどうこうって話になってくるな。人を殺す事でしか幸福を得られない人間は、人を殺せないと不幸になる」



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