表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

103/144

101話 ここは、まだ、


 101話 ここは、まだ、



「ワシは……どうなった?」

「扉を開いた。現世の限界を超えた。今、お前は、神の領域に辿り着いた。いや、正確に言うと、神を超えた世界に辿り着いた」



「あんたと同じ領域に行けた……ってこと?」


 トウシの問いを、

 ソンキーは笑う。


「お前は高みに立ったが、しかし、俺は、そんなお前の、はるか上にいる」


 事実の集合体。

 美しくゆる、命の華。


 ――かつて最強だった神は言う。


「俺は、究極超神ソンキー・ウルギ・アース。かつて、命の頂点に立っていた純神の一等星」


 間違いなく、ソンキーは、かつて、輝きの最果てだった。

 武の極みに、誰よりも近い場所にいた。


「現実を知らないお前からすれば到底信じられない話だろうが、俺の視点で言えば、今のお前は、まだまだつぼみ。神を超えた先――『超神』という領域に至ってなお、まだまだ産声を上げたばかりの赤子でしかない」


 言いながら、ソンキーは、また、ゆるりと武を構え、



「面白くなってきた――と心底から思っている。この俺に、『他人の磨き方』を考えさせるとは、大したものだ。その特異性に敬意を表し……ここから、俺は、もう一歩、踏み込んで――お前を殺しにいく」




 膨れ上がった、静のオーラ。

 おだかやで、気品があって、けれど、決して慎ましやかではない。


 あまたの矛盾を飲み込んだ、高次魂魄の乱舞。

 象を失った嵐に包まれるトウシ。



「タナカトウシ。お前は、どこまで駆け上がる? お前の才能、その限界はどこにある?」



「ワシの限界……最果ては……」


 いまだ、トウシは混乱の中にいる。

 渦巻く混沌の奥で、けれど、確かな光を見つめている。



「お前の全てを俺に教えろ」



「すべて……余白のない……ワシの……深部……」


 言語を処理する能力が、一時的に著しく低下していることに、トウシは気付いていない。

 トウシの『今』は、『次』だけを求めている。


 魂の深部が理解している、自分という世界の一部。

 一部でありながら、すべてでもあるという、頭の悪いナゾナゾ。


「ワシは……」


 ソンキーとの闘いが始まって以降、トウシの脳は、たえず、豪速で回転して続けている。

 普通の脳味噌ならとっくに爆発している異次元の回転速度。


 その、とどまることをしらない思考は、

 しかして、


「まだ……」


 タナカトウシという核の、






「――まだ――」






 ――『一部』を理解した。







 ★



 ネオバグの討伐から、きづけば、2時間が経過していた。



 この2時間の間、岡葉たちは、大金を全員で均等に分け合い、

 デストロイ・アルテマゴッドキャンペーン・ガチャを引いて、戦力を整えた。


 1回し300万というふざけた価格のガチャだったが、その額に見合うレアパーツを排出してくれたので、不平不満の声は一切聞こえてこない。


 ――彼・彼女らは強くなった。


「戦争開始時刻は数時間後と言っていたけど……具体的には、いつだ?」

「いま、ちょうど、サブイベント(ネオバグ討伐戦)終了から二時間が経過した……」


「二時間後ではなかった、と」

「てことは、三時間後か?」

「ピッタシとは限らない。数時間後に始まるとしか言われていないのなら、2時間1分に始まる可能性だってある」


「ていうか、トウシくんは、まだ見つからないのか?」

「ああ、校舎中、くまなく探したが、どこにもいない」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ