第5話 Grand Fantasy
Grand Fantasyとは、オンラインゲーム世界総ダウンロード数5年連続1位のMMORPGゲームである。6つの大陸に分かれた世界での冒険を自由に楽しむゲームであり、その自由性が人気となり世界中でプレイされている。約5000種類の魔法や武技。人間種・魔族種・異形種など多数の種族から選べるアバター。その膨大なデータ量も世界に注目されている。俺は、そのゲームを配信日からプレイしており、プレイヤーランク世界27位。日本では2位の成績を残している。
……それで俺はこの世界に入ってしまったらしい。
「そういえば、自己紹介がまだだったね。私はエミル・ローリー・ブラッド・デ・セシル。エミルでいいわよ。君は?」
おいおい、名前長すぎだろ…。
プレイーヤーネームって感じじゃないよな?NPCかな?それにしては感情豊かな気がするけど…。
「俺はツバサって言います。えーと、その始まりの街に向かっているんですよね?よかったらついていってもいいですか?」
「ツバサ?そういえば先代魔王を倒した勇者様もそんな名前だったわね。
--いいわよ。始まりの町まで案内してあげる。」
先代魔王を倒した勇者?
それってもしかしなくても俺のこと?
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8月19日・日本・林道家
「やばいやばいやばい、魔王倒しちゃったよ!!」
————夏休み終盤、俺は東の大陸の魔王を倒した。
Grand Fantasyは、亜州サーバー・欧州サーバー・阿州サーバー・北米サーバー・南米サーバー・大洋州サーバーに分かれており、それぞれ行動できる範囲が決まっている。
亜州サーバーは、東の大陸。
欧州サーバーは、中央大陸。
阿州サーバーは、西の大陸。
北米サーバーは、北の大陸。
南米サーバーは、南の大陸。
大洋州サーバーは、列島大陸。
そして、その大陸に一体の魔王が存在しプレイーヤー達の多くは魔王討伐を最終目標としていた。(出会い目的でプレイする人もいたが…)
また、魔王を倒すことは大陸一回までとなっており一度成功すると他のプレイヤーは討伐することができないようになっていた。
しかし、魔王討伐は超高難易度であり、初めて討伐に成功したのは欧州サーバーの中央大陸で、ゲーム配信から6年後、つまり一年前であった。
それを皮切りに北の大陸、南の大陸、西の大陸、列島大陸と、魔王討伐が行われ、最近まで残すは東の大陸だけとなっていた。
--そして8月19日、つまり一週間前に俺は念願であった魔王討伐に成功したのであった。約6年間の血が滲むような努力が実った瞬間であった。
これにより全大陸の魔王は討伐されGrand Fantasyは、配信終了になると噂された。しかし、その2日後予想をはるかに覆す発表がされたのであった。
それは、
全世界のサーバー合体と、真六大魔王の復活。
つまり、今までできなかった他の大陸への移動が可能となり、パワーアップした魔王が復活するということであった。
(あれだけ頑張って倒した魔法が復活するとかどんな鬼畜ゲームだよ……)
最初はこう思ったがそれでも新たな目標ができたことにその時はワクワクしていた。—————まさかその世界に入ってしまうとはその時の俺は思いもしなかった…